sasanoji電台【台湾ポップス専門】

こちらはsasanoji電台第1廣播、TW-POP専門チャンネルです。

進む台日コラボに、ワクワクが止まらない!


今夜最初にお送りした曲は、2021年11月リリース、メンバー全員2002年生まれですか…、いやあ驚きました、要注目の男女4人組バンド・chilldspotと、台湾の新鋭ソウルシンガー・LINIONによるコラボナンバーmusic feat. LINIONでした。

 

 

令和4年6月5日、日曜日。時刻は午後10時5分になるところです。

皆さん、こんばんは。いかがお過ごしでしょうか。人知れずコッソリ不定期放送中、フェイクラジオ・sasanoji電台です。

 

OPでお掛けしたchilldspotLINIONのコラボ、どうですか~、イイですよね~。近年目に見えて増えてきている台湾と日本のアーティストの共演、こういう組み合わせで来たかと、けっこうビックリさせられることが多いのですけども、今回はそんな台日コラボナンバーの中から、sasanoji電台オススメの曲を何曲かご紹介していきます。よろしければ、しばらくお付き合いくださいませ。

 

 

今夜の2曲目です。sasanoji電台に台日コラボの魅力を強烈に印象づけた作品、2010年リリースですね、当時は新進気鋭と呼ばれていましたが、今や台湾のヒップホップシーンはこの人を中心に回っていると言っても過言ではないと思います、鬼才アーティスト・蛋堡Soft Lipa(杜振熙)と日本のクラブジャズバンド・JABBERLOOPのコラボアルバム月光から、I Want Youをどうぞ。

本作『月光』は2011年の第22屆金曲獎で最佳國語專輯獎(最優秀標準中国語アルバム賞)にノミネートされました。また、JABBERLOOP名義のアルバム『経典!』として日本盤もリリースされています。その後、蛋堡の5thアルバム『你所不知道的杜振熙之內部整修』(2013年)にJABBERLOOPからMAKOTO(Tp)が参加したり、JABBERLOOPの5thアルバム『魂』(2014年)の台湾版に蛋堡とのコラボシングル『恍惚』が付属したりと、この2組は2010年代前半の台日音楽融合を象徴する存在でもありました。

 

続いても蛋堡Soft Lipaです。2011年リリース、兵庫県尼崎出身の天才トラックメイカー・Shin Skiのバンド・ShinSight Trioの3rdアルバムMoonlight Sunriseから、蛋堡がゲストボーカルを務めたMusic Is Magicをどうぞ。同年リリースの蛋堡の4thアルバム踩腳踏車にも収録されています。

Shin Skiと蛋堡は『月光』のラストに収録されている『過程』のリミックスバージョンで既にコラボしていましたが、当時の台日アーティストの交流は、DJやラッパー、ビートメイカー、トラックメイカーたちのほうが、歌手やバンドよりも積極的だったのかもしれませんね。

 

次は2013年9月に突如公開されたジャズホップグループ・Juzzy Orange汁橙音樂と、台湾のラッパー・MC Ai aka 秋甚湯宇、日本のストリートカルチャーをリードするTOKYO FANTASTICの主宰・Crawl SuzukiによるコラボナンバーHolidayです。Juzzy Orangeの女性ボーカル・開水小姐Miss Waterをメインに据えた2014年リリースのアルバム水喔!にも収録されています。

Juzzy Orangeのビートメイカー・Tower da Funkmastaは現在、吳卓源Julia Wu壞特?teJinboほか才能溢れる新鋭を多数発掘して注目を集めている独立系R&Bレーベル・ChynaHouseのマネージングディレクター、プロデューサーとしても活躍しています。

 

 

さて、台日コラボといえば、やっぱり五月天Maydayですが…、有名なコラボ曲が多いのでまとめてご紹介いたします。五月天との交流がいちばん長いのはGLAYでしょうね。2001年に出会っているそうですが、なかなかコラボが実現しなくて、flumpoolに先を越されたような形になってしてしまいました。その後、B'z松本孝弘ポルノグラフィティ岡野昭仁ともコラボして話題を呼んでいます。5曲続けてどうぞ。

 

ちょっと変わったところだとこんなのもあります。コチラは日本でも公開された台湾映画『海角七號』(2008年)、『賽德克・巴萊』(2011年)に続く魏德聖監督作品KANO(2014年)の主題歌勇者的浪漫です。奄美大島出身の中孝介と仙台出身のRake、台湾原住民族出身の范逸臣舒米恩羅美玲によるコラボナンバーで、Rakeが作詞作曲を担当しています。

 

2014年、最も大きな話題となった台日コラボといえば、コレでしょうね。蔡依林Jolin Tsaiの13thアルバムから、蔡依林安室奈美恵、台湾と日本を代表する歌姫2人が共演したゴージャスなナンバーI'm Not Yours。蔡依林は2018年に行なわれた安室奈美恵引退前日の前夜祭ライブに出演した唯一の海外アーティストだったそうです…が、僕はこの辺あまり詳しくないので軽く流します。スイマセン…^^;。



 

さ、ストライクゾーンを戻しましょうww。次は2012年結成の男女3人組ポストロックバンド・大象體操ElephantGymです。彼らの元々の基本スタイルはボーカルレスのマスロックでしたが、現在はボーカルもありで、マスロックに拘らず様々な角度から面白い音楽的アプローチをしています。
2018年リリースの2ndアルバム水底収録のナンバー、日本のソウルバンド・WONK長塚健斗が作詞とボーカルを担当した被子、京都を拠点に活動するシンガーソングライター・YeYeが作詞とボーカルを担当した月落、2曲続けてお聴きください。

 

大象體操の3曲目は、今年5月にリリースされました3rdアルバム夢境からです。OPでお掛けしたchilldspotのメンバー・比喩根が作詞とボーカル、台湾のR&Bシンガー・9m88が作曲で参加しております影子をどうぞ。

 

 

LINIONとコラボした日本人アーティストの作品、他にもありました。1989年生まれのメンバー3人によるユニット・THREE1989Horoyoi Karasu、ライフスタイルレーベル・Chilly Sourceに所属する大分在住のビートメイカー・illmoreVirtual Lover、共に2020年リリースのシングルです。

 

 

ここでシブいのを1曲、挟んでおきましょう。2019年リリース、個性派アーティスト・許哲珮Peggy Hsuの9thアルバム失物之城から、日本の三重奏団・KOBUDO(古武道)が編曲と演奏で参加したナンバーをお聴きください。これは彼女じゃないと思いつかない融合ですよね~。

KOBUDOはこの曲で、2020年の第31屆金曲獎《最佳編曲人獎》を受賞しています。許哲珮は《最佳編曲人獎》を含め主要関連合わせて6部門にノミネートされていましたが、残念ながら受賞はこの1部門のみに終わりました。

 

 

続いては、東日本大震災の被災地を訪れて復興支援ライブを行なうなど、コチラも日本をとても愛してくれているバンドです。2000年結成、台湾を代表するロックバンド・滅火器Fire EX.のナンバーを4曲お送りいたします。
2016年リリースの日本デビュー盤REBORNから、彼らがリスペクトするHUSKING BEE磯部正文が作詞とボーカルで参加した残像モーションと、親交が深いMONOEYES細美武士が作詞作曲とボーカルで参加したDon't You FightBRAHMANが2019年にリリースした台湾向けベストアルバム『兼愛非攻から、滅火器の呼び掛けに応じて実現したコラボナンバー兼愛非攻。2020年にリリースされた滅火器のアルバム『無名英雄』(2019年)の日本盤UNSUNG HEROESから、ASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文が作詞作曲とボーカルで参加したThe Lightです。お聴きください。



 

2010年代になって台日アーティストの交流が大きく進んだのは、やっぱり東日本大震災が1つの契機になったとは思いますね、不幸な出来事ではありましたけども。あの災厄があって、それまで台湾の存在を意識していなかった日本人が、日本の傍にこんなにも自分たちのことを思ってくれている国があるのだと知って、興味を持って話題にするようになりました。ただ、当時は観光や食の話題が中心で、なかなか音楽のほうにまでは関心が向かなかった。台日アーティストのコラボにしても、2010年代前半は五月天Maydayを中心としたメジャーアーティストの作品が目立っていた状況でした。なので蛋堡Soft LipaとJABBERLOOPのコラボは、当時としては本当にイレギュラーでエポックメイキングだったと思います。

その後、2010年代後半に入って滅火器Fire EX.を中心とした動きはあったものの、大きなムーブメントとはならなくて、しばらく停滞した状況が続いていたのですが、2018年、2019年頃からですね、ちょうど日台間のインバウンド、アウトバウンドが最高記録を更新し続けていた時期ですけども、台日コラボがまた増えてきて、日本の一般の音楽ファンの耳にも台湾の音楽が届きやすい状況が出来つつあるのかなと、当時は感じていました。

 

 

では、2018年、2019年リリースの作品からいくつかご紹介いたします。まずは吳卓源Julia Wuからいきますか。台湾の若手実力派R&Bシンガー・吳卓源と日本のシンガーソングライター・向井太一のコラボでRendezvous(2018年)、2019年の資生堂『アネッサ』CMタイアップ曲SummertimeRIRIKEIJU小袋成彬)のJulia Wu Mixバージョン、2曲続けてどうぞ。

 

続いては、台湾を代表する男女3人組ユニット・F.I.R.飛兒樂團と、2019年にデビュー20周年を迎えた日本を代表する男女2人組ユニット・Do As Infinityによるコラボです。2019年にリリースされたDo As Infinityの13thアルバムDo As InfinityからForever Young ~不死鳥であるために~をどうぞ。これはしびれるコラボですね。中国語版の無限青春Forever Youngのほうは、もっとしびれますよ。



コチラはなかなかユニークな組み合わせです。日本のR&Bシンガー・AIと台湾の人気ヒップホップグループ・頑童Mj116がコラボしたナンバー、You Never Know。聞くところによると、頑童Mj116の音楽を聴いてビビッときたAIのほうからコラボを申し出たとのこと。お姉さんと弟たちがワイワイやっているみたいなハッピーな雰囲気イッパイなのが良いですよね。



あ~コレもありましたね。2017年に解散した人気バンド・MP魔幻力量の元メンバー、鼓鼓こと呂思緯GBOYSWAGの2ndアルバム蟲洞(2019年)収録のナンバー超展開、その日本語バージョンです。リリースは翌2020年2月となっていますね。日本の3人組ダンスボーカルグループ・Leadと共演したポップで楽しい曲。2018年、2019年頃の台日コラボはバラエティに富んでいて本当に面白かったですね。

 

 

で、このままイイ感じで台日コラボが増えていくのだろうなと楽観していたのですけども、そこで出てきたのがコロナですよ。2019年12月でした。アッという間に全世界に拡大してしまって、これで2020年、2021年と日台間の行き来がほとんど出来なくなってしまいました。せっかく台日コラボのムーブメントが大きくなりかけていたのにと、当時ガッカリしたことを覚えております。
ところが、危機は時代を動かすというのは本当なのですよ~。ネットを通じてコラボするという新たなムーブメントが起こったのですね。たしかに以前からやっていた人はいるのでしょうけど、それが一気に拡がったのが、この2020年、2021年だったと思います。

 

 

この2年は意外性のあるコラボが多かったですね。例えばコチラ、台湾の人気バンド・TRASHのボーカル兼ギタリスト・阿夜としても活躍しているラッパーのMarz23と、日本のロックバンド・RIZEThe BONEZのボーカル兼ギタリスト・JESSEによるコラボナンバー擊敗我。Marz23がJESSEに呼び掛けて実現したコラボだそうです。英語、中国語、台湾語、日本語、4つの言語で歌っています。



コチラはYuqi(Vo,Composer)を中心とするプロジェクト・UQiYOと、日本でも高い評価を受けている台湾のシューゲイザーバンド・I Mean Usによるコラボナンバー6000℃です。UQiYOとI Mean Usは2019年に開催された音楽祭・Camp de Amigoで出会っていて、将来いっしょにやりたいねと約束をした、それを今回実現させたとのことです。見事と言うほかないコラボですよね。



次、これはかなりたまげましたね。2021年8月リリースの作品です。テレ朝系で昔、全国のアマチュアアーティストを紹介する『THE STREET FIGHTERS』(通称:ストファイ)という番組をやっていました。そのストファイが後年開催していた『ストファイHジェネ祭り'09』出身のシンガーソングライター・日食なつこの3rdアルバムアンチ・フリーズ収録のナンバー泡沫の箱庭です。なんと台湾の個性派アーティスト・Ruby Fataleが打ち込みで参加しているんですね。Ruby Fatale、要注目ですよ。



兵役で活動を休止していたnoovyの活動再開後初めてのシングル、Before We Die日本語バージョンです。Sony Music所属の同僚アーティスト・Anlyが作詞とゲストボーカルを務めています。noovyとAnlyは、noovyがまだ日本を拠点に活動していた頃、彼女のライブを観に行ったのが最初の出会いで、そこで互いに音楽の好みが共通していることを認識しました。今回noovyからのオファーを受けたAnlyはすぐに快諾したそうです。日本語の歌詞は単純に中国語を翻訳したのではなく、そのアンサーソング的な内容になっているのですね。とても素敵なコラボだと思いました。

 

これも素敵なコラボですね。日本の新世代シティポップギターバンド・Yogee New Wavesの4thアルバムWINDORGANから、台湾のアーバンメロウポップバンド・落日飛車Sunset Rollercoasterのボーカル兼ギタリスト・國國Kuoと共演したToromi Daysです。本当に自然ですよね。水と水がスッと混ざり合ったような。この2組は一緒にアジアツアーを行なっていますし、互いのツボを心得ているなと感じます。素敵。



それから、ØZIですね。今年に入って日本のマネジメント会社と契約したんですか?ちょっと調べてみたところ、サマソニなどのロックフェスを手掛けるCREATIVEMAN PRODUCTIONSが新たに起ち上げたSPACE ODD MANAGEMENTと契約したようです。ラップアーティスト・さなりとは既にコラボしていますけども、今後さらにいろいろな日本のアーティストとの共演が期待出来そうです。ということで2曲お送りしましょう。2020年リリースのさなりのシングルNights feat. ØZI & eillと、今年3月にリリースされた倖田來未のニューアルバムheartから、Outta my control  feat. ØZIをどうぞ。



 

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今夜は台日コラボについて、いつもより長めにお送りしましたが、いかがだったでしょうか。次はどんな台日コラボが出てくるのかな、こんなコラボやってくれるといいな、なんて想像するとワクワクしますよね。期待しましょう。

 

 

今夜最後の曲です。これが今回いちばんヤバいですかね。先月公開されたばかりのホカホカの新曲。日本の男女3人組オルタナティブロックバンド・羊文学と、2000年生まれの台湾の新人シンガーソングライター・LÜCYのコラボナンバーOH HEYです。LÜCYは以前から羊文学の音楽が大好きだったそうで、自分のほうから掛け合って今回のコラボを実現させたそうですよ。今夜はこの曲を聴きながらお別れいたしましょう。

明日からまたしばらくハッキリしない天気が続くようですが、皆さん、どうぞ体調には十分に気をつけてお過ごしくださいませ。では今夜はこの辺で。お相手はsasanoji電台でした。ごきげんよう。拜拜!

 

 

今回は長すぎたので、6月の放送はこれでお終いです。7月にまたお会いしましょう。

 

 

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本日のオンエア曲


五月天Mayday『Dancin' Dancin' feat.TERU(GLAY)』と『Song for you feat. Akihito Okano(PORNOGRAFFITTI)』はSpotifyにラインナップなし。

 

 

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