今夜最初にお送りした曲は、6月29日リリース、マレーシア出身の実力派シンガーソングライター・戴佩妮(ダイペイニー)の6年ぶりの新作となります、13枚目のアルバム『被動的觀眾』から、OPナンバー『隨風所欲』でした。
令和4年7月31日、日曜日。時刻は午後10時6分になるところです。
皆さん、こんばんは。いかがお過ごしでしょうか。人知れずコッソリ不定期放送中、フェイクラジオ・sasanoji電台です。
7月、今日で終わりですよ。毎日あっついですね~。今年は梅雨明けが早かった所為か、もう夏終了でいいじゃん、カンベンしてくださいみたいな気分になってきていますが。年齢的なものもあるのでしょうけど、精神的にも肉体的にもかなり厳しい1ヶ月でした。これでまだ8月が丸々残っているんですから、どうなってしまうんでしょうね~。コロナの感染者数も急増していますし、ホント気持ちがネガティブなほうにばかり向いてしまいます。
さ、今回は戴佩妮の新作をピックアップいたしますが、彼女は2016年に前作『賊』をリリースした後、じつは鬱というか…ちょっと精神的にネガティブなゾーンに入ってしまったそうで、表舞台からしばらく遠ざかっていました。ということで久しぶりの戴佩妮となります。よろしければしばらくお付き合いくださいませ。
戴佩妮Penny Tai『被動的觀眾』(2022年)
戴佩妮のプロフィールを簡単にですがご紹介しておきます。
1978年生まれ、マレーシア出身。孫燕姿Stefanie Sun、周杰倫Jay Chou、林凡Freya Lim、范瑋琪Christine Fanらと同じ2000年にデビューした実力派女性シンガーソングライターです。2011年からは彼女のバックを務めるD-powerのメンバーと結成したバンド・佛跳牆Buddha Jumpのボーカルとしても活動中です。今作を含め個人としてはこれまでに11枚のオリジナルアルバムをリリースしていますが、メーカーインフォメーションでは13枚目となっていますね。戴佩妮は2006年に6thアルバム『iPenny』をリリースした後、メジャーレーベル・EMIを離れて2年間くらいでしたか、ネット上で作品を発表していた時期があって、当時としてはかなり早い試みだったと思いますが、そのときにダウンロード専用作品をリリースしていました[*1]。あるいは初期のベスト盤『So Penny』とライブ盤『野薔薇』が出ているので、ひょっとするとそれも含めた数なのかもしれません。どういう計算なのかちょっとよくわからないです。
金曲獎には個人、バンド、他アーティスト関連を含めてこれまでに11回、延べ19部門にノミネートされていて、2006年の第17屆で最佳作曲人獎(戴佩妮『愛瘋了』)、2014年の第25屆で最佳專輯製作人獎(劉思涵『擁抱你』)と最佳國語女歌手獎(戴佩妮『純屬意外』)、2015年の第25屆で最佳編曲人獎(佛跳牆『給你看』)と最佳樂團獎(佛跳牆『給你看』)を受賞しています。2000年以降のC-POP界を代表する女性アーティストの1人です。
ではここで1曲。最新アルバム『被動的觀眾』の中から、7曲目に収録されております『多虧你啊』をどうぞ。これもコロナ禍で生まれた曲ですね。行きたい場所に行けない、会いたい人に会えない、孤独や退屈を感じてしまうけれど、笑いと感謝を忘れないで。厳しい中でも自分たちを守ってくれる愛がある、傍にいられなくても寄り添う心はいつもそこにあるんだよ、という思いが込められた歌です。
ドラム式の洗濯機の中に入っているシーンがインパクトありますねww。彼女はただでさえ紙片人と呼ばれるほどの痩せっぽちなのですが、それがさらに痩せてしまって…、撮影当時は体重が40kgしかなかったそうですよ。
戴佩妮が頑固な完璧主義者であることは以前にもお話をしたことがありますが、対人関係の悩みなどもあったようですね。それが自己不信を招いて、精神状態がちょっとネガティブなほうに入ってしまったと。長い間、自分自身を否定して、彼女は『自分を愛する方法がわからない』と語っていたようですけども、それで精神的にも肉体的にも不健康な状態になってしまったようです。ここ2年くらい病院に通ったりしてだいぶ改善してきたとのことで、体重を増やす努力もしているようですね。それらの経験やコロナ禍で溜まった欲求不満が、この作品を生む源となったそうです。
ではもう1曲いきましょうか。最新アルバム『被動的觀眾』の中から、4曲目に収録の『鬧劇』をどうぞ。嘘か真実か、そんなものは本人たちにしかわからないよねという、恋人たちの別れを描いた歌みたいです。今作には12曲が収録されていますが、そのストーリーは全て彼女の友人や、または彼女自身が経験した出来事がモチーフになっているそうで、誰のことを歌っているのかは当事者本人が聴けばわかると、彼女は答えています。怖いですね^^;。
アルバムタイトルの『被動的觀眾』、日本語に訳すと『受動的な聴衆』とでもなるのでしょうか。ただ彼女が言わんとするテーマは逆で、一方的な受け身はやめて対話をしようよ、ということなんですよね。全12曲、いつものように戴佩妮自身が作詞作曲をしていますが、これは彼女からリスナーに向けられたメッセージであると同時に、彼女自身がつらい事実と改めて対峙し克服しようとする治癒行為の過程、つまり自分自身を救うために作った作品とも言えるのかもしれません。
このアルバムの制作はコロナ禍ということで、初めてオンラインでレコーディングを行なったそうですが、22年間のキャリアの中で交流を深めたアーティストがたくさん参加しています。みんな戴佩妮のことをよくわかっている人たちです。なので、とても温かい雰囲気に満ちたアルバムに仕上がっています。聴けばきっと皆さんも癒やされると思いますよ。孤独や不安が身近な今だからこそ、ぜひ聴いてほしい1枚です。
今夜は戴佩妮の最新アルバム『被動的觀眾』をご紹介いたしました。いかがだったでしょうか。僕は1曲目のギターが聞こえてきた瞬間からもう鳥肌が立ちっぱなしでした。戴佩妮らしい微妙なビブラートが掛かった儚げな歌声…、本当に帰って来てくれたんだなという感じで…良かった。CD、今はほとんど買っていないのですけど、コレは迷わず買いました。しばらくはこのアルバムだけでお腹イッパイかな。
それでは最後に、3曲目に収録されておりますアルバムタイトルナンバー『被動的觀眾』を聴きながら、お別れです。
明日から8月、東京・練馬の天気は曇り時々晴れ、最高気温は36℃…ですか。そうですか…。暑いですね…。で、雷雨の可能性もあると。猛暑日が続きますが、皆さんどうぞ体調管理にはじゅうぶんに気をつけてお過ごしください。では今夜はこの辺で。お相手はsasanoji電台でした。ごきげんよう。拜拜!
早く春にならないかな~。
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脚注