sasanoji電台【台湾ポップス専門】

こちらはsasanoji電台第1廣播、TW-POP専門チャンネルです。

今夜は台湾の高校卒業歌アルバムについてのお話。

令和4年9月18日、日曜日。時刻は午後11時になりました。

皆さん、こんばんは。三連休、いかがお過ごしでしょうか。人知れずコッソリ不定期放送中、フェイクラジオ・sasanoji電台です。

 

9月も後半に入りました。早いですね~。学生さんたちは2学期が始まって半月。調子は戻りましたか。大学生の皆さんは…まだ夏休み中という方もいらっしゃるでしょう。僕は8月の終わりから9月上旬に掛けてのこの時季というのがハッキリ言って嫌いでして。毎年なんとな~く気分がシャッキリとしないといいますか、身体が重いように感じてしまうのですが、皆さんはどうですか。

夏バテかな~とか、歳のせいもあるのかもしれませんけども、僕はこの気力の低下は子供時代の記憶の蘇り、夏休み症候群の後遺症の再発、ではないかと思っています^^。長い夏休みが終わって2学期が始まるときの、アノなんとも言えない気持ちがバイオリズムに染み付いてしまっていて、大人になった今でもこの時季になるとそれがぶり返してきて、気分や体調に影響を与えているのではないかと。やる気が起こらない言い訳に無理矢理こじつけたりしておりますがww。

 

 

さて、台湾では9月というと、日本と違って新学年、新生活が始まる月なんですね。世界的に見ると4月入学、3月卒業という日本の年度の区切りのほうが珍しいそうで、台湾では5月、6月が卒業シーズンになります。で、その5月、6月から新学年が始まる9月に掛けて、毎年ネット上で注目を集めているのが、高校や大学の卒業生たちが制作したオリジナルの卒業歌(畢業歌)です。今年1月29日の放送『台湾でブームの卒業歌、日本でもやってみませんか?』で2021年度の作品を取り上げましたが、どの曲も本当にクオリティが高くてビックリしましたよね~。毎年、高校の卒業歌だけを集めたアルバムがリリースされているくらいブームとなっているのですけども、その高校卒業歌アルバム、11作目となります2022年度版が先月31日にリリースされました。今夜はその中から何曲かご紹介しながら、お話をしていく予定です。ご興味のある方、よろしければしばらくお付き合いくださいませ。

 

 

では、今夜の1曲目です。2012年の第1作『風箏』から誕生したボーカルグループ・四個朋友Four Friendsの林正と劉亦璿、同じく『風箏』に参加していた、現在は問題總部It's Your Faultの鍵盤手兼錄音師としても活躍しております吳昱陞がプロデュースを担当した2022年度の合唱曲をお聴きください。編曲と吉他手、貝斯手、鍵盤手は数多くの有名アーティストの作品に携わっているミュージシャンの姜道John Jiang、鼓手を陳柏州Mr.Qが務めています。

 

 

 

2022高中原創畢業歌合輯『拓』(2022年)

 

2022年8月31日に擎天娛樂Skyhigh Entertainmentからリリースされました、台湾高校オリジナル卒業歌アルバムの第11作です。毎年合唱曲名がそのままアルバムタイトルとなっています。

コロナの影響で卒業イベントが中止、あるいは縮小されたりと、未だ身動きが取りづらい状況が続く中、FacebookInstagramで4月18日から5月20日までの約1ヶ月間作品を募集しました。昨年よりも30校多い69の高校から応募があって、6月中旬、LINE VOOMを使った匿名投票と各校による相互投票のポイントを合算し、上位30作品を選出しています。合唱曲『』とそのカラオケバージョンを含む全32曲を収録した2枚組アルバムです。なお、エントリーしなかった高校の作品や募集期間以降に発表された作品は、当然ここには入っていません。それらについてはまた別の機会に改めて取り上げようと思っております。

 

 

では、今夜の2曲目です。最多ポイントを獲得した台中市文華高中[*1]の卒業歌Log Outをお聴きください。コレ、高校生が作った曲なんですよね~。参っちゃいますよねww。

 

 

 

2012年に15校から始まった台湾の高校卒業歌アルバムは今年で11作目、10周年を迎えました。年度を重ねるにつれて応募数が増えてきて、2017年には126校に達し、翌2018年も126校が参加。2019年は105校とやや減りましたが、台湾では卒業歌制作が季節のイベントとして確実に定着してきていると僕は感じていました。この活動を経て本格的に音楽の道に進んだアーティストも現れ始めていますし、新たな逸材を発掘する場として、業界からの注目度も上がっている状況だったんですよね。

ところが、2020年です。皆さんももうウンザリしていると思いますが、コロナですよ。その影響で学生さんたちも活動を自粛せざるをえなくなってしまって、2020年の応募数は74校に激減。昨年は2012年の第1作を除けば過去最も少ない39校にまで減ってしまいました。これまで大体CD2枚組とか、多いときは4枚組だったこともありますが、昨年は記念すべき10作目だったのですけども、15校の作品を収録したCD1枚のみのリリースとなっています。でも逆に内容が濃くて僕はこのアルバム好きですけどね。印象に残る曲が多かったですよ。

 

 

では、今夜の3曲目です。コチラも台中市の学校です。青年高中乘風破浪をお聴きください。コレ、卒業歌なんですね^^;。主演は…劉卉芸Liu Hui Yunですか、インパクトがあります。彼女の名前、覚えておきましょう^^。

 

 

 

今年2022年度は、昨年よりも30校多い69の高校から応募がありました。WITHコロナに方針転換したとはいえ、さすがに2017年、2018年の数字まで戻すには、まだまだ時間が掛かりそうですね。それでも30校増えたのですから、これはすごいことですよ。来年…、再来年に期待しましょう。

と、言いたいところだったのですが、じつは今、そうも言っていられない大きな試練に、台湾の高校生たちは直面しているようです。

 

皆さんは《108課綱》というワードを見たこと、聞いたことは~…ないですよね。僕も今回、2022年度版の卒業歌アルバムのことを調べていて初めて知りました。

《108》というのは中華民国暦108年のことです。西暦で言うと2019年。日本の暦だと平成から令和に切り替わった年です。《課綱》授業計画(シラバス学習指導要領のことですね。《2019年に国が新たにスタートさせた学習指導要領》とでも言えばよいのでしょうか。これが今までの学習スタイルをガラリと変えなければならないくらい、現場はもちろん、保護者も巻き込んだかなり大きな改革だったらしいのですよ。

ざっくり言うと《社会の変化に対応する生涯学習》をテーマに、小、中、高の12年計画で、《知識を習得》する学習ではなく、《習得した知識を活用》する能力を身に付けましょう、小、中、高の12年間を掛けて、ということなんですね…。要するに、これまでの大学入試用の暗記型の学習方法が通用しなくなった、ということです。この試練を最初に受けることになってしまったのが、2019年に高校に入学した少年少女たち、つまり今年卒業した彼らですよ。これは学業と音楽活動の両立はかなり難しかっただろうと思いますね。今回応募数が少なかったのはコロナだけでなく、この新学習指導要領の影響も大いにあったのではないでしょうか。募集の締め切りが早すぎたのかなという気がしました。

 

 

では、今夜の4曲目です。桃園市立平鎮高中の卒業歌嚮往をどうぞ。ボーカルは耀柏深、鄭俊妤、顏紫晴、宋晟榆、張語學の5名です。青春を感じさせてくれますね^^。

 

 

 

高校の卒業歌制作は108課綱の影響とか、これからどうなるかちょっと先行きが心配ですけども、今年は3年ぶりにLegacy台北で高校卒業歌発表会が開催されましたし、このムーブメントが萎むことなく、長く続いてくれるといいなと思いますね。むしろ大学の卒業歌が注目を集めるチャンスかもしれません。実際、既にプロと遜色のない作品が多数出てきていますので、皆さんも大学の卒業歌、ぜひチェックしてみてください。将来デビューするかもしれないアーティストの原石を発見出来るかもしれませんよ。

 

 

今夜は台湾の高校卒業歌アルバムについて、お話をいたしました。いかがだったでしょうか。少しは興味をお持ちいただけましたでしょうか。

それでは今夜のラストナンバーです。先ほど触れましたけども、2012年に初めての台湾高校卒業歌アルバム『風箏』がリリースされて今年で10年となりました。それを記念してリリースされた合唱曲『風箏』の十年復刻版です。オリジナルを歌ったメンバーが10年ぶりに集まって新たに風箏を収録したんですよ。これはね~、本当に感動モンです。プロのミュージシャンになった人、ビジネスマンになった人、料理人になった人、一人ひとりの10年に思いを馳せて、もぉ~涙が出てしまいました。ぜひ10年前のオリジナルを見てから十年復刻版を味わってみてください。

明日もう1日お休みの方が多いのでしょうか。台風が来ていますので外出はあきらめるしかなさそうですね。台湾の地震も心配です。皆さん、どうか怪我をしないように、じゅうぶんに気をつけてお過ごしくださいませ。ご無事をお祈りしております。では今夜はこの辺で。お相手はsasanoji電台でした。ごきげんよう。拜拜!

 

 

今週金曜日からの三連休も天気悪そうなんですよね~。
今年の休みは天気に恵まれないな~。

 

 

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本日のオンエア曲

 

 

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脚注

*1:高中は高級中學(高等学校)の略。