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sasanoji radio Awards 2014 【Best Group】編

前回【Best Band】編からだいぶ間が開いてしまいました^^;。
sasanoji radio Awards 2014、今回は【Best Group】部門です。選んだ候補は以下の5組。

 

慢慢說樂團Murmurshow『MURMURSHOW』(4月)

murmurshow2014 

 

小塵埃Lil' Ashes『Be Little』(6月)

lil-ashes2014 

 

PiA樂團『生活不就是這樣』(7月)

pia2014 

 

鍾氏兄弟The Chung Brothers『極』(7月)

the-chung-brothers2014 

 

Robynn & Kendy『Picturesque』(10月)

robynn-kendy2014 

 

候補1組目は、女性シンガーソングライター・利得彙Freda Liと現在は彼女の公私に渡るパートナーでもある男性ギタリスト・沈志方Jack Shenによる爽やかカップルユニット、慢慢說樂團(マンマンシュオユエトアン)です。慢慢說は日本の大手芸能プロダクション・Amuseが2011年に設立した台湾子会社・雅慕斯娯樂Amuse Taiwanの第1号契約アーティストで、本作が彼らのメジャーデビューアルバムとなります。
ユニットの結成はAmuseの公式プロフィールでは2012年となっていますが、少なくとも2011年には既にこの形で活動を開始していて、翌年2月、2人は食費まで切り詰めながら自主制作EP『等』をインディーズでリリースしています。その後、YouTube上で開催された歌唱コンテストで優勝したことがキッカケでAmuse関係者の目に留まり、2012年12月に同社と契約。メディアへの露出を増やしながら、2014年4月16日、1stアルバム『MURMURSHOW』をリリースしました。メジャーレーベルに相応しく本作には日本・台湾の一流スタッフが多数集結。これまでの質素な慢慢說のイメージを覆す贅沢な内容のアルバムとなっています。幸せ感溢れる2人の雰囲気に当てられっぱなしの…なんだか聴いていて悔しくなってしまう1枚です。

 

2組目は香港の若手アーティスト集団・平原習作O.U.R. Worksに所属する屈霆軒Jonathan Wutと湯凱婷Pollie Tongによる男女デュオ、小塵埃(シャオチェンアイ)です。コチラもカップルユニットですね。
専門学校時代に知り合った2人は2011年にユニットを結成。翌年スペインの女性シンガーソングライター・Russian Redの香港コンサートで前座を務めて名を上げ、2013年、メジャーレーベル・索尼音樂Sony Musicが【Original】、【Unique】、【Refreshing】をコンセプトにスタートさせた若手アーティストサポートプロジェクト・平原習作O.U.R. Worksに参加しました。同年10月、所属メンバーの顏培珊、黃浩琳、樂遊團らと共にコンピレーションアルバム『OUR 1st Works』をリリース。本作『Be Little』が小塵埃の初単独アルバムとなります。まだ若いながらけっこう渋い雰囲気を醸し出す女性ボーカル・湯凱婷の歌声に屈霆軒の軽やかなフィンガースタイルギターが絶妙にマッチして、とても聴き心地の良い作品に仕上がっています。要注目のハイセンスシティフォークユニットです。あ、屈霆軒がメインボーカルを務めている曲もありますが、余興程度に^^;。

 

3組目は女性シンガーソングライター・Piaこと吳蓓雅を中心とする男女3人組ユニット、PiA樂團です。2010年の結成当初は男性ギタリスト・郭一豪との2人組でしたが、1st EPリリース後に以前から面識のあった女性シンガーソングライター・江松霖とドラマーの林弼達が加わり4人編成のバンドスタイルに。そして2011年、2nd EPリリース後に男性メンバー2名が抜けてヒジョ~に癒やし度の高い女性デュオスタイルとなりました。翌年2人は1stアルバム『真心話』をリリースし、ついにPiA樂團は完全体になった…と僕はそのとき思ったのですが、2013年1月、江松霖がソロ活動に専念するため離団…。本作『生活不就是這樣』は新メンバー・俞心嵐と陳柏誠を得てリリースした、新生・PiA樂團による2ndアルバムです。
楽曲のクオリティは変わらず高いものの、ユニットとしては吳蓓雅の個人色をより前面に出したソロプロジェクト的な雰囲気が増していて、これをどう評価するか難しいところ。2013年11月には日本向けベスト盤『夢みるキンギョ』もリリースしていますし長続きしてほしかったのですが、結局このチームも2014年9月のライブを最後に解散しています。

 

4組目は兄・鍾一匡Henry(Hca)と弟・鍾一諾Roger(Vo)による香港の実力派ゴスペルユニット、鍾氏兄弟(ジョンシーションディー)です。2人ともアメリカで音楽を学び(Henryはジャズ、ブルース、ゴスペル、ハーモニカ、Rogerはピアノと声楽)、作詞作曲、編曲、プロデュース等すべてを自分たちでこなす正統派の音楽家兄弟です。2009年にリリースした処女作『鐘聲』、続く2011年の2ndアルバム『齊唱‧吳秉堅之歌』がゴスペルアルバムとしては異例の大ヒットを記録し、全球華語金曲獎【年度最佳爵士藝人】のほか多数の音楽賞を受賞。鍾氏兄弟は一躍香港ゴスペルミュージック界の第一人者に数えられる存在となりました。2枚組でリリースされた今回の3rdアルバム『極』には、Ghost Style、Kwokkin、梁球、大AL、夏韶聲、岑寧兒、辛尼哥哥ら香港勢だけでなく、李壽全、林生祥、史茵茵ら台湾勢、先日亡くなったアメリカのグラミー賞シンガー・Andraé Crouchのほか、スウェーデン、ドイツ、ハワイなど欧米からも有名アーティストや実力派ミュージシャンが多数ゲストで参加しています。アメリカ、台湾でレコーディングを行なった、これまで以上に豪華で国際色豊かなハイクオリティーアルバムです。

 

最後5組目も香港のユニット、2011年に葉晴晴Robynn Yipと孫曉慧Kendy Suenが結成した女性デュオ・Robynn & Kendyです。
毎年コンスタントにアルバムをリリースしてくれる彼女たち、この『Picturesque』で4作目となるわけですが、台湾に進出する気配は一向に見えません。完全に香港に落ち着いてしまいました。今回もコレだけが香港輸入盤です。このブログでは台湾でリリースされたCD作品をメインに取り上げているので本来であれば外すところなのですが、彼女たちのことは本格デビュー前から気に入って取り上げていましたし、前回、前々回も選んでいますし…。正直、このレベルの女性デュオが果たして現在の台湾にいるかどうか。本作『Picturesque』も2人の安定感のあるボーカルとコーラスワーク、楽曲をストレスなく楽しめる、ひじょうに完成度の高い作品に仕上がっています。非の打ちどころがなかなか見つかりません。強いて挙げるとすれば、あまりにも安定しすぎているためにややドキドキ感に欠ける、というあたりでしょうか。もう少しスリリングな楽曲を入れてアクセントを付けてもいいかもしれません。本作はDemoバージョンを収録したDisc 2との2枚組で、そちらも聴きどころ満載です。

 

以上がsasanoji radio Awards 2014、【Best Group】部門の候補5組でした。

昨年に続いて今回も1枠減としました。バンド部門に比べると、ちょっとアッサリとした印象でしょうか。この部門にはどうしてもアイドルユニットが集中してしまうので、それらを外すと結果的に似たような編成、音楽スタイルのユニットばかりになってしまいがちです^^;。

候補には入れませんでしたが個人的に注目しているユニットをいくつか挙げると、ロックバンド・輕鬆玩Relax-ONEの女性ボーカル・徐鳳玉Summer Hsuが結成した男女4人組アコースティックユニット・我們愛we.man.Love、これは要注目。男性メンバーの邱廉欽kimがボーカル&ギター、女性メンバーの李凡萱Oceanがチェロという男女逆転ユニット・OK繃樂團もおもしろかったです。それから新人ではありますが久々に台湾に登場した正統派の女性デュオ・CS晨悠(郭惟晨+吳以悠)にも期待度大です。ひょっとすると現在空席となっている台湾正統派女性デュオの位置を埋める存在に育ってくれる…かもしれません。金曲獎的に選ぶとすれば、やはり新寶島康樂隊は外せないでしょうね。