sasanoji電台【台湾ポップス専門】

こちらはsasanoji電台第1廣播、TW-POP専門チャンネルです。

sasanoji radio Awards 2013 【Best Band】編

【Best Band】部門です。
選んだ候補は以下の6組。

 

麋先生Mixer『馬戲團運動』(6月)

mixer2014 

独立系レーベル・喜國娛樂Cheer Musicの所属。高雄の高校で同級生だった林子安(リンズーアン)と呉聖皓(ウーシェンハオ)が結成した男性5人組ロックバンドです。メンバーは子安(A.Gt)、聖皓(Vo)、小B(E.Gt)、以諾(Ba)、逸凡(Dr)の5名。2011年に子安聖皓ZA-SHの名前で活動を開始し、同年9月、1st EP『然後,我們懂了』でCDデビューしました(当時の鼓手は阿丁)。2012年10月、バンド名を子安聖皓から麋先生Mixerに改名。『馬戲團運動』は昨年6月にリリースされた麋先生名義での1stアルバムとなります。

彼らについてはこのブログ中でも折に触れて取り上げてきました。平均年齢は24歳。清々しさが漂うストレートなボーカルと若々しい疾走感に溢れるサウンド、それでいてクールな大人っぽい雰囲気も感じさせる。僕はそんな彼らの音楽が大好きで、個人的にですけど『“冷静と情熱のあいだ”のロック』と呼んでいます^^。ぜひとも日本で売れてほしいと思っているバンドの1つです。

 

觸執毛Chochukmo『A Tragedy Your Majesty』(10月,香港)

chochukmo2013 

觸執毛Chochukmoは、王菀之や何韻詩、馮翰銘、盧凱彤ほか多くの大物と共演し、また多くのアーティストたちから共演を望まれている香港のカリスマインディーズバンドです。2005年の結成以来何度かメンバーの交代・増減があり、現在はJan Curious(Vo)、Mike Orange(Gt,Key)、Les Hunter(Gt)、Waiting Soul(Ba)、Kitty Trouble(Dr)の5名で落ち着いています。2008年リリースのインディーズコンピレーションアルバム『The Underground #1 Something Alternative』(2枚組)に収録された2曲『Head to Toe』と『Number One』が業界から高く評価され、インディーズマガジン『Time Out Hong Kong』による『香港的20大音樂人』に選出。翌2009年、その2曲を含む1stアルバム『The King Lost His Pink』でCDデビューしました。2010年8月、中国大陸9都市を巡るコンサートツアー終了後に一旦は解散したものの、翌2011年3月11日に発生した東日本大震災の被災者支援チャリティーアルバム『Light For Japan』に参加するため再び結集。新曲『Higher Higher』の収録をキッカケに活動を再開しました。

本作『A Tragedy Your Majesty』は、『Higher Higher』とその後にリリースされたシングル3曲を含む彼らの2ndアルバムです。音楽理論や技術的なことはまったくわかりませんが、とにかくカッコイイ音を鳴らしてくれます。カッコイイ…以外の言葉が見つからないほど、しびれます^^;。台湾盤はリリースされていません。YesAsiaで購入可能です。

 

法蘭黛樂團Frandé『隨波逐流我不介意』(10月)

frand2013 

2009年結成。甘くアンニュイなボーカルと波間を揺蕩うようなメロディラインが印象的な個性派女性シンガーソングライター・法蘭Franを中心とするオルタナティブロックバンド、法蘭黛樂團Frandéの2ndアルバムです。

法蘭(陳怡穎)は大学在学中だった2007年にクリエイターズサイト・StreetVoiceにUPした楽曲が好評を博し、翌年メジャーレーベル・艾迴avex(現・愛貝克思)から1st EP『Miss Fran』でCDデビューしました(当時のアーティスト名は法藍)。しかしながら、彼女にとってこのデビューは大いに不満が残るものだったようです。プロデュースや編曲に意見を言えず、また不本意なプロモーションを要求されるなど、幻滅した法蘭は甜梅號Sugar Plum Ferryの孟諺(Ba)、電話亭樂團Telephone Boothの小光(Dr)、TUTU樂團の小龍(Gt)らと自分のバンド・法蘭黛樂團を結成し、独自色を強く出した音楽活動を展開していきます。その後、小光と小龍が抜け、代わって這位太太Mrs. Thisの江鎮宇(Gt)、Tizzy Bacの哲毓(Ba)が加入。2011年、1stアルバム『受寵若驚』をリリースしました(鼓手は孟諺が担当)。2年ぶりのアルバムとなる本作『隨波逐流我不介意』では、トリップホップ的要素が濃かった前作よりもギターサウンドが強調されていて、バンド感が格段にアップ。昨年10月には甜梅號のギタリスト・昆蟲白も新たに加わり、法蘭の魅力を100%体現するために参集したプロジェクトチーム的な雰囲気がさらに増しています。

 

hush!樂團『異常現象』(12月)

hush2013 

ボーカル・HUSHのアンニュイなハスキーボイスと彼が創り出す天文学、哲学、心理学などを絡めた人文学的世界観、それにピタリと填まったブリティッシュテイストサウンドが魅力のインディーズフォークロックバンド、hush!樂團の2ndアルバムです。メンバーはHUSH(Vo,Gt)、熊爸(Dr)、卡貝Cabeza(Ba)の男性3名。結成は2010年。これまでにダウンロード専用EP『Tracks』(2011年)、1st EP『天文特徵』(2012年)、1stアルバム『X』(2012年)をリリースしています。僕は個人的に彼らの音楽を『文系ロック』と呼んでいます^^。

2010年夏、当時ソロで活動中だったHUSHは、金曲奬バンド・1976樂團の阿凱がオーナーを務めるライブカフェ《海邊的卡夫卡》で働いていたときに、這位太太Mrs. Thisの女性ボーカル・黑郎から潘尼巷樂團Penny Laneの鼓手・熊爸を紹介されユニットを結成。同年末、貝斯手・卡貝Cabezaが加わり、斯くしてスリーピースバンド・hush!樂團は誕生しました。ライブやStreetVoice、iNDIEVOXなどのインデーズサイトで音楽ファンの注目を集め、2012年5月、1st EP『天文特徵』をリリース(阿凱らが同年3月に設立した自主レーベル・re:public studioの第1号作品)。メジャーアーティストたちからも絶賛されたこのEPは限量リリースだったこともあって、しばらく入手困難な状態が続いていましたが、現在は五大唱片や博客來など大手CDショップでも購入が可能です。2枚目のアルバムとなる本作『異常現象』の世界観も基本的には1stアルバム『X』と同様ですが、今回は前作にあったバイオリンやフレンチホルン、ピアノなどのゲストは入っていません。ギター、ベース、ドラムのみの、とてもシンプルな、原点を再認識させるようなサウンドに仕上げられていて好印象です。

 

飛兒樂團F.I.R.『Better Life』(12月)

fir2013 

飛兒樂團F.I.R.は、女性ボーカル・飛Faye(Vo)、陳建寧Ian(Key)、阿沁Real(Gt)が2002年5月に結成した中華圏最強の男女3人組ロックバンドです。今回選んだ候補6組のうち、本当にメジャーらしいメジャーと呼べるのはこのF.I.R.だけですかね。本作『Better Life』は、2011年の『第六章【亞特蘭提斯】』からは2年8ヶ月ぶりとなる7枚目のオリジナルアルバムです。メンバー単独での活動が長く続いたため解散説が流れたりもしましたが、ジャンルにとらわれないゴージャスな音楽スタイルは本作でも健在。一方歌詞のほうは、厳しい現実社会の中で未来を信じることの大切さを訴えるタイトルナンバー『Better Life』、反原発のテーマソングとして作られた『孩子的天空』ほか、3人それぞれが充電期間中の体験から得た概念を反映させた、よりメッセージ性の濃い内容となっています。

日本では昔から、女性ボーカル1名+男性メンバーといったロマンティックな雰囲気を醸し出す男女混成バンド・ユニットに根強い人気があります。実際F.I.R.にはそのようなエピソードもあったわけですが、耳に心地の良い彼女たちの音楽は、ボーカル・Fayeの神憑り的な美しさとも相まって必ずや日本の大人のリスナーに受け入れてもらえる…と僕は思っているのですけれど、どうでしょう。

 

GO CHIC『We Ain't Home』(12月)

Go_chic2013 

フジロックフェスティバル(2010年)やサマーソニック(2011年,2013年)で日本の音楽ファンの注目を集めたガールズメインのエレクトロパンクバンド、GO CHICの2ndアルバムです。

結成は2007年。メンバーは同じ高校に通っていた女子3名、賴思勻Sonia Lai(Machine,Key,Gt)、鄭思齊Ariel Zheng(Vo)、溫一珊Sarah Wen(Ba,Key)に男性鼓手1名(現在は友人の劉宣成Stanley Liuが担当。彼女たちは彼を『奴隷』と呼んでいる^^;)という編成。2010年3月、自主制作1stアルバム『I'm confused!』をリリース。国内外、大小を問わず多数の音楽フェスに出演し、その熱いパフォーマンスは海外の業界やアーティストたちからも高く評価されています。3年9ヶ月ぶりのアルバムとなる本作『We Ain't Home』のプロデュースを担当したのは、カナダ出身で現在はベルリンに在住するエレクトロパンクの女王・Peaches。『I'm confused!』リリース直後の2010年4月、GO CHICはPeachesの台湾公演で前座を務めたのがキッカケで彼女に気に入られ、翌2011年秋からベルリンに渡って本作のレコーディングを行ないました。また、このアルバムはボーナストラック2曲を追加した日本盤が製作され、本国台湾より2週間早く日本で発売したことでも話題を呼んでいます。今年2月には大阪、名古屋、東京でアルバムリリースライブを開催。日本での活躍がますます期待されているバンドです。

 

2013年は本当に注目作や話題作の多い年でした。各音楽賞におそらく絡んでくるであろうTizzy Bac、閃靈ChthoniC、大物3名(陳綺貞,鍾成虎,陳建騏)によるTHE VERSE。ベテラン勢では董事長The Chairman、四分衛Quarterback、甜梅號Sugar Plum Ferry、拾參樂團The 13 Bandらが久々にアルバムをリリース。日本でも人気の高いモッズバンド・旺福Won Fuは新作リリース&小民がTwiggyにプロポーズしOKをゲット。蘇打綠Sodagreenはメンバーの兵役で中断していた『ビバルディ計画』を再開、五月天Maydayは日本進出を本格化…と話題が尽きません。

日本とのつながりということで言えば台湾が身近になってきたことの表れとして、男女3人組インディーズバンド・Manic Sheepや候補に挙げたGO CHICのほか、バンド作品以外でも盧廣仲、新生・PiA樂團の作品を国内のレーベルやショップが扱い始めるなど、台湾ポップスを売りたい・聴きたいムードが徐々に…ですが高まりつつあるように見えます。また、先日発生した台湾学生による立法院占拠運動・太陽花學運をSNS等で知った日本人の中には、テーマソング『島嶼天光』を歌った滅火器Fire EX.や支援を表明したアーティストたちに興味を持った方もいるようです。

ほか、注目しているバンドをいくつか挙げると、女性ベーシスト・張凱婷が可愛らしい男女3人組マスロックバンド・大象體操Elephant Gymは期待度大。台北の5人組メタルバンド・尋找海洋大樂隊Seeking The Oceanもそそるものがありました。女性シンガーソングライター・林意倩を中心とするトリップホップバンド・林瑪黛Ma-te Lin、DJ Codeのテクノユニット・紅樂團RED、ポストクラシカルアンサンブル・Cicadaも良かったですし、ラグタイムバンド・泥灘地浪人The Muddy Basin Ramblersも面白かった。この泥灘地浪人のアルバム『寶島賣藥秀』はジャケットデザインも秀逸で、部屋のインテリアに使えそうなくらいイイ味が出ています。それから、それから…と、キリがないですね^^;。

 

THE VERSE『52赫茲』
Manic Sheep『Manic Sheep同名專輯』
蕭賀碩與冷笑話樂團『繆思尋』
花世紀『窮追不捨夢』
FUN4樂團『出口』
丁丁與西西『他們都說外面很危險』
Tizzy Bac『這是因為我們能感到疼痛』
滅火器樂團『再會!青春』
閃靈樂團『武德』
大象體操『平衡』
Tizzy Bac『易碎物』
猛虎巧克力『夜工廠』
四個朋友『四個朋友』
放客兄弟『放客兄弟』
林瑪黛『古老的記號』
四枝筆樂團『PM:1159』
暴君樂團『水沙漣 序』
放射空間『終點.起點』
Cicada『邊境消逝』
隨性樂團『人生路途』
董事長樂團『一條命』
紅樂團『RED 2013』
旺福『旺得福』
伍佰&China Blue『無盡閃亮的哀愁』
四分衛樂團『愛可以讓我們在一起』
蘇打綠『秋:故事』
小老鷹樂團『仲夏之呱』
二手玫瑰『一枝獨秀』
瑪啡因樂團『迴』
泥灘地浪人『寶島賣藥秀』
尋找海洋大樂隊『夢醒時分』
唐朝樂隊『芒刺』
放射空間『簡單生活』
先知瑪莉『My Fake True Love』
甜梅號『金光之鄉』
胖虎『反轉未來』
三秒樂團『來回』
五月天『步步自選作品輯 The Best of 1999-2013』
幻眼樂隊『SUPERNATURAL』
拾參樂團『Lucky 13』