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呂薔、18歳。マジか…。

呂薔Lu Chiang『We Don't Talk(2012)

Lu-chiang2012

 

1994年生まれの18歳。2012年12月27日に代理発行レーベル・美樂帝音樂Melody Musicからリリースされた、ソウルフルなボーカルがビリビリと響いてくる原住民族・泰雅タイヤル族出身の新人女性シンガー・呂薔(ルゥチアン)の2枚組1stアルバム、CDデビュー作です。

 

上から、3曲目に収録の『脆弱』とDisc2収録のタイヤル語歌『泰雅』。下はCD未収録、齊秦Chyi Chinのカバーで『外面的世界』。耳で聴く…というより、骨伝導で響いてくるカンジ^^。

 

先日ハスキーな歌声が魅力的な21歳の新人女性シンガーソングライター・白安Annをピックアップしました。その白安よりもさらに若い18歳で、このボーカルです…。
こういった作品に出会うたび、原住民族出身アーティストが生まれながらに備えている音楽的素養のアドバンテージはいったいどれくらいあるのだろう…と、ついつい考えてしまいます。

呂薔は昨年、彼女の故郷である新北市主催による原住民バンドコンテスト『第二屆原Band大賞』に呂薔&Phantom18として出場し決勝に進出。残念ながら受賞はなりませんでしたが、最終10強に名を連ね実力をアピールしていました。

 

2012年9月15日、第二屆原Band大賞の映像。Adeleの『Rolling In The Deep』をパワフルに歌いあげています。

 

彼女の詳しいプロフィールはまだ不明ですが、CD紹介文などによると、2011年から1年半に渡って毎週レコーディングスタジオに通ってトレーニングを続けていたようです。第二屆原Band大賞へはその過程での出場だったのでしょう。彼女をサポートしたPhantom18には、原住民族バンド・GUTS樂團のメンバーで第23屆YAMAHA熱音大賽に於いて最優秀ギタリストに選ばれた布農ブヌン族出身の高治軍(Gt)、XL特大號樂團の団長・阿鋒(Ba)と李杰(Dr)ら一流のミュージシャンが参加をしていました。現在は呂薔の単独名となっていますがギターは引き続き高治軍が担当していて、2人での活動がメインであることから治軍とのユニットといった雰囲気が感じられます。※今作では主に尤景文Eugene Yuがギターを担当しています。尤景文は多数のアーティストの作品に参加しているベテランで、彭佳慧Julia Pengらの専属ギタリストも務めていました。昨年12月28日、華納Warnerから自身の1stアルバムをリリースしています。

 

今回リリースした1stアルバムはいきなり2枚組となっています。Disc1には中文歌10曲を収録、Disc2には彼女の母語であるタイヤル語歌3曲を収録しています。エレクトロサウンドを絡めるなど現代的なスタイルでアプローチした原住民族の音楽は一聴の価値アリです。
阿美アミ族出身の男性アーティスト・Sumingは今の阿美族の音楽を若い世代に聴いてもらいたいと、伝統的な民族のリズムをベースに様々なジャンルの音楽を融合させた現代感覚溢れる作品づくりをしていますが、彼より遙かに若い世代からこういった作品がどんどん出てくるようになれば、台湾原住民の音楽に馴染みの少ない日本人リスナーが興味を持つキッカケにもなるでしょうね。