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sasanoji radio Awards 2017 【Best Female Artist】編

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2017年を振り返るsasanoji radio Awards 2017、今回は【Best Female Artist】部門です。僕が選んだ候補は以下の6名!

 

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小球Ball(莊鵑瑛)『星之所向』(3月,環球)

Ball2017 

2013年に活動を休止した男女2人組ユニット・棉花糖のボーカル、小球こと莊鵑瑛の初個人アルバム。棉花糖はリリースした3枚のアルバム全てで金曲獎にノミネートされた稀有なユニット。にもかかわらずナゼ活動を休止したのか。互いに発展していくためと言いながら、その後の彼女の苦労を見るとやはり『ナゼ』を消すことは出来なかった。実は彼女、中学の頃から父親との折り合いが悪く、ほぼ断絶状態だったらしい。事あるごとに自分を否定する父親に反発して、家を飛び出した。棉花糖でいくら頑張っても、何度金曲獎の候補になっても一人前と認めてくれない父親…。どうもその辺りに独立の理由がありそうな気がする。でも、もういいんじゃないか、お父さん。2017年、小球が出演した映画『52Hzのラヴソング』は大ヒットした。『星之所向』も本当に素晴らしい作品だ。立派じゃあないか、あなたの娘は。いいかげん褒めてあげたらどうですか。

 

陳惠婷the Huiting『Voyager 3』(7月,亞神音樂)

The_huiting2017 

1999年結成の男女3人組ロックバンド・Tizzy Bacの中心メンバー、陳惠婷の3rdアルバム。メンバー間の不和でバンドの維持が困難となり、2014年に単身メジャーレーベル・索尼音樂SONY MUSICと契約。2枚のアルバムをリリースした後、2016年に再びTizzy Bac時代と同じ独立系メジャー・亞神音樂に戻った。昨年11月、突然Tizzy Bacの新作MV『暴風』が公開されたときは、ついに活動再開かと驚喜したが、どうやら2016年3月頃から関係の修復を図っていたらしい。貝斯手・許哲毓の身体に癌が見つかったのもちょうどその頃で、陳惠婷はソロとバンド両方の楽曲創作、哲毓は病と戦いながらTizzy Bacの再生を目指した。昨年12月、第2弾MV『The River』の公開直前に自分が癌であることを公にした哲毓は、その1ヶ月後の2018年1月23日に帰らぬ人となった。陳惠婷の心痛、察するに余りある。哲毓の死後、2月10日に公開されたMV『沙漏』はもう涙なしには見れない。彼の最後の仕事となったこれらの新曲、どうか形にして世に出してほしいと心から思う。

 

黃麗玲A-Lin『A-LIN同名專輯』(9月,SONY MUSIC

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2006年に愛貝克思avexからCDデビューした『天生歌姬』、原住民族・阿美アミ族出身の実力派女性シンガー、A-Linこと黃麗玲の8thアルバム。avexからは2012年の『幸福了 然後呢』まで6枚のアルバムをリリースしているが、同社の華語部門が廃止となったため、2014年に索尼音樂SONY MUSICに移籍、心機一転を図った。同年リリースした7thアルバム『罪惡感』は、それまであった歌謡曲っぽい雰囲気が消えて、ここまで変わるかと思うくらい女性らしい艶やかさに溢れた作品となっている。本作も基本的には前作からの流れを踏襲したものだが、多様な音楽スタイルへの挑戦、初心回帰の意味も込めて、初めて自分の名前をアルバムタイトルとした。未だ受賞はないものの金曲獎ではこれまでに4回、最佳國語女歌手候補に選ばれている実力者。円熟味も増している。もうそろそろ1つ欲しいところだったのだが…。

 

呂薔Amuyi『O_LOVE』(10月,avex

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1994年生まれ、2012年に代理発行レーベル・美樂帝音樂からCDデビューした原住民族・泰雅タイヤル族出身の新進女性シンガー、呂薔の2ndアルバム。ここでは2013年1月に1stアルバム『We Don't Talk』を取り上げた際に彼女を紹介したことがある。呂薔はこの作品で第24屆金曲獎の最佳新人部門にノミネートされているが、当時メディアへの露出はほとんどなく、話題にも上っていなかった彼女を候補に選ぶとは…と感心したものだった。その後、学業に専念するということで動静が途絶えていたが、昨年無事に大学を卒業し、メジャーレーベル・愛貝克思avex(2016年に華語部門を復活)と契約、歌手活動を再開した。合わせてアーティスト名の英語表記を、レーベルの先輩・浜崎あゆみ(Ayumi)や安室奈美恵(Amuro)ら“A”を頭文字に持つ天后に倣って民族名のAmuyi(阿慕依)に改めている。前作よりも洗練されてしまったのが、個人的にはちょっと残念。点数は若干甘めに付けている。

 

劉思涵Koala Liu『不特別得很特別』(10月,種子音樂)

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1989年生まれ、中国・四川省成都出身。四川外国語大学フランス語学科卒。2013年に台湾レーベル・種子音樂からCDデビューした新進女性シンガー・劉思涵の2ndアルバム。プロデュースは前作に続いて実力派女性アーティスト・戴佩妮が務めている。李玟が『天使之音』と讃えた滋味深い美声、あらゆるジャンルを歌いこなす卓越した歌唱力、フランス語を思わせる独特の発声法、全てが魅力的。他人の作品のプロデュースなどまずしない戴佩妮が、その歌声に惚れ込んでデビュー作のプロデュースを自ら買って出た話は今や有名な語り草となっているが、続けてとなるとこれはもう大事件と言ってよい。ただ、前作では全12曲中7曲が彼女の提供楽曲だったのに対し、本作はゼロ。今回は完全に裏方に徹し、劉思涵の個性を伸ばすことのみに留意しているようだ。それでもアルバム全体から戴佩妮の香りが感じられるのは、さすがと言うほかない。この2人、本当の姉妹のように仲が良いらしい。

 

張惠妹aMEI『偷故事的人』(12月,環球)

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中華民国憲法に初めて『原住民族』が正式名称として明記された1996年に、彼女はデビューした。原住民族・卑南プユマ族出身、アジアを代表する歌姫・aMEIこと張惠妹の19thアルバム。民族名の阿密特Amit名義でリリースした前作『阿密特2』からは2年8ヶ月ぶり、張惠妹としては2014年の17thアルバム『偏執面』以来3年5ヶ月ぶりとなる新作。“アルバムを出せば金曲獎”というイメージの強い張惠妹だが、ノミネート総数自体は多いものの、実は受賞した数は驚くほど少ない。2010年の『阿密特』の6部門受賞を除けば2002年と2015年に最佳國語女歌手獎を受賞したのみである。このsasanoji radio Awardsは元々アンチ金曲獎として始めたようなところもあって、張惠妹ら大物は敢えて避けていたのだが、今回は外せなかった。全体的にオーソドックスでシンプル、ゆえに物足りなく感じた声もあるようだけど、僕は好み。彼女の歌唱をじっくりと楽しめる良作だと思う。

 

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以上がsasanoji radio Awards 2017【Best Female Artist】部門の候補6名でした。
この部門、毎年候補選びで苦労するのですが、今回は購入した作品の半数以上がココに集中してしまい、いつにも増してタイヘンでした~^^;。羅晴、姚亦晴、范安婷、曾立馨、繆以欣、亦帆、王詩安、張涵雅、林采欣も最後のほうまで残っていました。

 

第29屆金曲獎の女性候補はコチラです。

【最佳國語女歌手獎】
呂薔
徐佳瑩
Faye飛
aMEI
彭佳慧

【最佳台語女歌手獎】
林喬安
張艾莉
朱海君
張涵雅
吳申梅

【最佳原住民語歌手獎】
桑梅娟

 

 

僕は言語で部門分けしていないので、台語(台湾語)、原住民語、客語(客家語)の女性候補もここに入ります。今回、客語の女性候補はいませんでした。
呂薔と張惠妹の2名が一致していますね。徐佳瑩とFaye飛も納得です。ただ、A-Linが漏れているのは解せませんねー。今年は國語部門の枠が1つ減って5枠になっていますが、いつものように6枠あれば、A-Lin入ってましたかねー。5枠としてもフツー外しませんよね~。で、申し訳程度にMV部門に入れるとか?選考委員さん、A-Lin嫌いなのかもしれませんねー。と、まあ冗談はこれくらいにして^^。

國語部門だけ金曲獎を予想すると、本命はaMEI、対抗が徐佳瑩、単穴がFaye飛でどうでしょう。あ、台語は張涵雅に獲ってほしいです。

 

追記:
第29屆金曲獎【最佳國語女歌手獎】は、徐佳瑩が受賞しました!

 

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