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sasanoji radio Awards 2018 【Best Newcomer Solo】編

2018

 

こんばんは。
人知れずコッソリ不定期放送中、フェイクラジオ・sasanoji電台です。

 

2018年を振り返るsasanoji radio Awards 2018、今夜は【Best Newcomer】部門の【Solo】編をお送りします。前回のGroup/Band編に負けず劣らず、コチラも激戦になりましたよ~。外してしまった皆さん、本当にごめんなさいね~^^;。

 

僕が選んだ2018年度【Best Newcomer Solo】部門の候補は、この8名です!

 

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雅維・茉芮Yawai・Mawlin『斯瓦細格』(3月,亞神音樂)

Yawaimawlin2018 

生年は未公表。昨年3月30日に1stアルバム『斯瓦細格 Swasieq』(…Swasieqは彼女が生まれ育った部落の名前)でデビューした、原住民族・泰雅タイヤル族出身の新人女性シンガーソングライターです。中文名は林怡君。ネットで情報を検索しても、まだメーカーインフォメーション以外ほとんど出てこない状況ですが、どのような経緯でそうなったのか、デビュー直後の4月9日にはもう東京・青山月見ル君想フでライブを行なっています。また今年3月にも原住民金曲歌王・陳建年と来日し、東京・名古屋・大阪の三都市で『台湾原住民音楽の夜』と題するライブに出演、好評を得ています。母語で歌いながら敢えて現代的にアレンジした彼女の曲は、とても軽やかで聴きやすい。それでいて原住民族らしさも十分に備えている巧妙な仕上がり。女性シンガーソングライター・何欣穗ciaciaがボーカルプロデュースを務めたヒーリング成分豊かな1枚です。

 

張涵真Hannah Chang『半天假』(5月,禾廣)

Hannah_chang2018 

まるで昼過ぎまで寝ていたかのようなレイジーなボーカルとラップ、二度寝に誘うかのようなゆったりとしたテンポがなんとも心地良い、独立系レーベル・喜國娛樂Cheer Musicに所属する新人女性シンガーソングライターです。大学4年生のときに出場したコンテストでレーベルのボス・周世暉に認められ、卒業後2年余のトレーニングを経て昨年5月4日に1stアルバム『半天假』でデビューしました。アルバムコンセプトは慢時尚、つまりスローファッション。これは現在主流となっている大量生産、大量消費する快時尚(ファストファッション)とは逆の概念。彼女はそれをこのアルバムの中で表現しました。作詞作曲は全て張涵真、プロデュースは周世暉。2017年まで在籍していた麋先生Mixerの喆安が編曲で参加していますね。また彼女自身も聖皓にかわって同僚女性歌手・伊雪Eisheiに楽曲提供するなど裏方としても才能を発揮しています。

 

ØZI『ØZI: The Album』(7月,禾廣)

Zi2018 

1997年アメリカ・ロサンゼルス生まれ。本名は陳亦凡Stefan Chen。母親は台湾を代表する大物女性歌手・葉璦菱Irene Yehです。早期に中国語を学ばせたいとの両親の考えで2歳のとき台湾に戻り、以降台湾で育ちました。天母のアメリカンスクールで出会った黒人講師にピアノを勧められ音楽の才能が開花。卒業後はボストンのBerklee College of Musicに進んでいます(…台湾での音楽活動を先行させるため現在は休学中)。芸名はアメリカンスクール時代にその黒人講師から教わったイギリスのロマン派詩人・Percy.B.Shelleyのソネット『Ozymandias』から。“名声は永遠ではない”の戒めを込めて、自身の左腕に『Ozymandias』の文字を刻み、また昨年7月にリリースした本作の冒頭でも、その詩の一節を引用しています。Eminemに大きな影響を受けたという彼ですが、現在流行りのスタイルもいずれ過去のものになると達観する早熟の新人です。

 

王艷薇Evangeline『框不住的艷薇』(9月,禾廣)

Evangeline2018 

見た目が年齢不詳っぽいですが、1993年生まれの現在25歳。個性的なハスキーボイスが印象深いマレーシア出身の新進女性シンガーソングライター・王艷薇の1stアルバムです。17歳のときに参加した地元の音楽フェスで李宗盛に歌声を絶賛され、歌手になろうと決意。2年後、交換留学生(國立臺北教育大學)として渡台したのを機に本格的に音楽活動を開始しました。2015年に一度レコード会社と契約をするも、社内の人事異動のあおりを受けご破算に。大学も卒業して在留期限が迫っていたところを有名プロデューサー・陶山Skot Suyamaに救われました。極めて中毒性が高いと評される独特の歌唱もさることながら、その驚異的な創作能力も魅力で、有名歌手に多数楽曲を提供しているほか、昨年は小男孩樂團Men Envy Childrenが歌ったプロ野球チーム・Lamigoの応援歌『We Are』を作曲(…陶山との共作)したことでも注目を集めています。

 

王笠人Rennie Wang『首張同名全創作專輯』(11月,福茂)

Rennie_wang2018 

1993年生まれ、中国・南京市出身。台湾のメジャーレーベル・福茂唱片イチオシの新人女性シンガーソングライターです。彼女に与えられた冠は『月光系創作女聲』。幼少時から成績優秀だった彼女は、11歳のとき英・ロンドンのMarymount International Schoolに留学。その後オーストラリアに渡り、メルボルンのJMC Academyで音楽を専門的に学びました。卒業時に発表した曲『Heavy on my soul』が学内で大評判となり、たまたまYouTubeでその映像を見た福茂唱片のボス・張耕宇が彼女との契約を即断。福茂の最重要新人としてドラマ主題歌を歌わせるなど3年間大切に育てられ、昨年11月4日に本作で正式デビューしました。ジャケット写真やMV等から受ける彼女の第一印象は、真面目そう。で、実際に中身を聴いてみると、やっぱり真面目でした^^。本当に新人かしらと思うくらい、しっかりと纏まっています(…纏まりすぎかも^^;)。

 

安懂Andung『私物招領』(12月,禾廣)

Andung2018 

原住民族・卑南プユマ族出身。2011年結成の男性5人組原住民族バンド・Savakan樂團の主唱兼鍵盤手・安懂の1stアルバムです。民族名はHu Wat、中文名は洪煒勛。安懂(安懂乖Andungkuay)はニックネームです。現在の年齢は23歳前後というところでしょうか。雰囲気がデビュー当時の林宥嘉に似ていますね。アンニュイな声質も。メーカーインフォメーションではSavakanについてはとくに触れておらず、18歳のとき貢寮海洋音樂祭で10強入りと紹介していますが、これはおそらく2014年にバンドで出場した回のことを言っているのでしょう。Savakanは結成以来、台東を中心にいくつものコンテストで優秀な成績を収めていて、翌2015年の海洋音樂祭でも10強に選ばれています。本作のクレジットを確認したところ現メンバーが全員参加していますし、体裁は安懂のソロアルバムですが、Savakanの別コンセプト作品と見ることも出来そうです。

 

林愷倫Karencici『SHA YAN』(12月,華研國際)

Karencici2018 

1998年生まれの中国系アメリカ人。華研國際音樂HIMから弱冠20歳(当時)でデビューした新人女性シンガーソングライターです。本名は林澤茜、英語名はKaren Lin。家族からは“茜茜(CiCi)”の愛称で呼ばれていたので、その2つをくっつけて“Karencici”としました。これまでに書き溜めた楽曲が400近くもあるそうで、2016年には田馥甄Hebeのアルバム『日常』に彼女が作曲した『無用』が採用され話題となっています。2014年(16歳)に単身で渡台、華研の旗下芸人となった林愷倫は、先輩たちの励ましを受けながら練磨を重ね、歌唱コンテスト番組出演やドラマ挿入歌を歌うなど徐々に露出を増加。2018年7月、彼女に注目をした韓国レーベル・Ocean Star Musicとの合作EP『Blow-Up』で、まず韓国から先行デビューしました。本作『SHA YAN(傻眼)』はその5ヶ月後にリリースされた彼女の本格デビュー作。華研が“秘密武器”と呼ぶ、要注目の大型新人です。

 

林翰宇LINION『Me In Dat Blue』(12月,奇清唱片)

Linion2018 

21歳、独立系レーベル・奇清唱片Chiching Recordsからデビューした台湾ネオソウルの新星。LINIONのLINは彼の名字から、IONは電子が出たり入ったりして出来るあのイオンですね。小中学生の頃からギターとベースを同時に学び、ドラムやピアノも弾きこなす音楽の申し子。槍擊潑辣Guntzepaulaの子豪(Ba,Vo)経由で紹介された音楽家・林少英の奨めで、18歳のときにアメリカの音楽専門学校・Musicians Instituteに留学。Henry Brewer(Key)やEfa Etoroma, Jr.(Dr)らに師事し、ブラックミュージックの真髄に近づくべく朝から晩までひたすらに練磨に励みました。また彼と同じく台湾からやってきた留学生たちとネオソウルバンドを結成。これに大きな可能性を見出し台湾での再会を約して帰国したのですが、バンドの中心人物であった吉他手の突然の訃報が…。落胆する彼を残りのメンバーたちが叱咤し、ここに全才音樂人、LINIONが誕生しました。これは本当に聴いておいたほうがいいです。断言しま…す^^;。

 

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以上がsasanoji radio Awards 2018【Best Newcomer Solo】部門の候補8名でした。
ここもかなり迷いました~。以前紹介した黃乙真Yvetteはもう…涙を飲み、鼻水をすすりながら外しました。女性シンガーソングライター・Cottonの一人二役Cotton & Nottocも要注目でしたが平謝りしながら外しました。マレーシア出身の女性シンガーソングライター・Visingはもう一息、次作に期待です。金曲奬的に選べば呂程程Shinyもアリかもしれません。こんなところでいかがでしょうか。

 

第30屆金曲獎の候補が発表されたので追記します。今回はソロ部門です。

【最佳新人獎】
The Fur.『Town』
王艷薇『框不住的艷薇』
Karencici『SHA YAN』
美秀集團『電火王』
ØZI『ØZI: The Album』
厭世少年『青春校園戀愛物語 Campus Romance』
劉柏辛『2029』

 

王艷薇、Karencici、ØZIは同感ですねー。僕が入れた雅維・茉芮Yawai・Mawlinは年度專輯獎のほうでノミネートされていました。王笠人が入っていなかったのはちょっと意外だったかな。金曲獎、こういうタイプ好きだと思っていたのですけど。劉柏辛は全くのノーチェックでした。英語名はLexie Liu、中国湖南省出身。名前を見て男性かと思っていたら女性なのですね。韓国のオーディション番組『K-pop Star』第5シーズンからデビューしたと。Karenciciとタイプが被っているような気も…。毎年、基準がよくわからない部門ではあります。

では金曲獎予想ですが、本命はØZI。今回の金曲獎のØZI推しは流石にやりすぎでは…とも思いましたが、獲る可能性が一番大きいのはこの部門ではないでしょうか。対抗は美秀集團。厭世少年もありそうですけどね。単穴は…王艷薇にしておきます。ということで、僕は本命・ØZIを推しておきます。

 

追記:
第30屆金曲獎【最佳新人獎】は、本命・ØZIが受賞しました~!おめでとう~!!

 

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たぶんこれが最後のS電賞。