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第24屆金曲獎・最優秀ボーカルグループ賞 -ノミネート編-

昨年はエスニックグループ3組の中に自由發揮がいるという面白い雰囲気になっていましたね。受賞は僕が予想した南王姐妹花ではなく、陳昇の新寶島康樂隊でした。新寶島康樂隊は今回も最佳台語專輯と最佳作詞人の2部門でノミネートされています。

今回の最佳演唱組合獎候補は以下の5組です。

 

【第24屆金曲獎最佳演唱組合獎】

棉花糖『不被瞭解的怪人』
JS『聽見』
暗黑白領階級『回家的路』
湯姆與哈克『夾腳鞋』
歐開合唱團『O-Kai A Cappella』

 

意図したものか偶然かはわかりませんが、今回のボーカルグループ部門は標準中国語中心の作品が2つ、ホーロー語や客家語を中心とする作品が2つ、そして原住民語中心の作品が1つという現在の台湾を象徴するような、とてもバランスの良い選出となっています。以前ボーカルグループというスタイル自体が、『台流』、即ち民族アイデンティティを表現するのに最も適した単位なのではないかと書いた記憶がありますが、改めてそう感じました。金曲獎、ちょっと、いや、だいぶ見直しましたヨ^^。

ただ、復活成ったS.H.Eにも…ご祝儀で何かあげたかったかな~。

 

結成6年、男女2人組ユニット・棉花糖katncandix2は同部門3度目のノミネートです。これまでにリリースしたアルバムは3枚。つまりパーフェクト。今回候補となった3rdアルバム『不被瞭解的怪人』は従来のふんわりとしたイメージではない、ズシッ…と力強い小球のボーカルが印象的でした。今後さらに進化した棉花糖が聴けるに違いないと楽しみにしていたのですが…、なんと金曲獎ノミネート発表直後の5月31日、2人はユニットでの活動を停止すると発表。ブログにUPされた説明文によれば、お互いそれぞれが発展していくための前向きな決定とのこと。『暫定休團』の文字もありますし、時期がくればいずれまた2人でやってくれると思いますが…、寂しいですね~。小球、アーティスト名はどうするのだろう。本名の莊鵑瑛を使うのかな?

 

兄妹ユニット・JS(Justin & Sophia)は2005年の第16屆以来、2度目の同部門ノミネートです。今回対象作となった『聽見』は5thアルバム『The JS Moments』(2009年)からはじつに3年4ヵ月ぶりとなる作品。この間、お兄ちゃんのJustinは他アーティストへの楽曲提供やCM音楽に携わるなどクリエイター中心に活動。妹のSophiaのほうは子育てをしながらちょくちょくプライベートで来日しては、自身のブログで日本の魅力を発信してくれていました。JSとしての動きが見えてきたのは2011年1月です。まずシングル『我們都孤單』をリリース。5月には映画『與愛別離』の同名主題歌を歌いました。11月発表の台湾HONDAキャンペーンソング『Take a chance [CR-Z Remix]』も衝撃的なカッコ良さで、今回のアルバムタイトル曲『聽見』はその中文バージョンです。ボーナストラックには日本人ミュージシャン・松井寛氏によるリミックスバージョンが収録されていますが、個人的には『CR-Z Remix』のほうも入れてほしかった。昨年7月、JSは松井氏とのつながりで渋谷初ライブも行なっています。6thアルバム『聽見』はマイペースで歩んできた2人の3年間が詰まった、JSの個展といった趣きの作品集です。

 

暗黑白領階級は客家語とホーロー語(閩南語)を中心とするアコースティック感たっぷりの音作りが印象的な男性2人組ユニットです。メンバーは新竹出身のシンガーソングライター・黃子軒と、アメリカで多数の有名ジャズプレイヤーに師事した同じく新竹出身のギタリスト・周岳澄Ken Chou。2人は高校の頃からの友人とのこと。2011年原創音樂大獎・客家語部門で優勝。新聞局による2012年度アルバム製作補助対象楽団にも選ばれました。昨年12月に野火樂集からリリースされた『回家的路』は彼らの1stアルバムです。

暗黑白領階級は完全に見落としていました。モウレツに悔しいです。というのも、今年3月にピックアップした男女2人組ユニット・光引擎の1stアルバム『沿途風景』、僕が2013年前半で一番のメッケものだったと思っている作品ですが、その光引擎の男性メンバーこそが周岳澄でした。彼のプロフィールの中に暗黑白領階級の名前もあったはずなのに、なぜ記憶に残っていなかったのだろう…。ひょっとしたら名前がアレだから、メタル系と勘違いしたのかも…^^;。

ボーカルを担当する黃子軒は閩南人と客家人のハーフです。發條人樂團のボーカルとしても活躍しています。神木與瞳『守護者』の作曲者と言ったほうがピンとくる方が多いでしょうか。これはぜひ買っておいたほうがよさそうなアルバムですね。今年の金曲獎、侮りがたし…です。

 

東海岸の音樂頑童こと湯姆與哈克Tom & Huckは、今回で2度目の同部門ノミネートです。前回は2011年の第22屆でした。この年は最佳台語專輯獎にもノミネートされていましたね。

湯姆與哈克は花蓮出身の湯姆(黃黎明)と哈克(馮正義)による男性フォークデュオ。ユニット結成からおそらく20年近くは経っているのではないでしょうか。台湾語をメインとする、南国らしいゆったりと優しい空気感が魅力のアコースティックユニットです。今回候補となった『夾腳鞋』は前作『野狼125』と同様、過去に発表した自主制作盤2作からの楽曲に新曲を加えたベスト集的な構成となっています。S電賞2012 【Best Group】部門でも候補に挙げたかった1枚です。

 

歐開合唱團O-Kai Singersはここでもノミネートされていますね。これは当然でしょう。新人賞編でも触れましたが、僕は歐開合唱團をS電賞2012 の【Best Group】に選びました。

 

この部門に新寶島康樂隊がいないのはちょっと意外でした。今回は最佳台語專輯獎と最佳作詞人獎、2部門のノミネートとなっています。その分、ここがひと枠空いた感じでしょうか。

さて、予想は…

歐開合唱團が本命です。他の部門での重複ノミネートが気になりますが、正直これしかないと思っています。対抗は暗黑白領階級、単穴はJSにしておきます。