sasanoji電台【台湾ポップス専門】

こちらはsasanoji電台第1廣播、TW-POP専門チャンネルです。

無尽蔵のエネルギー、黃韻玲。

黃韻玲Kay Huang『美好歲月』(2010)

Kay-huang2010

 

1964年生まれ、デビューして四半世紀になる超ベテラン実力派女性シンガーソングライター・黃韻玲(ファンユンリン)の最新アルバムです。2009年リリースのEP『在我們之間的事』からは1年4ヶ月ぶり、フルアルバムとしてはじつに1994年の『黃韻玲的黃韻玲』以来となります。全10曲のうちの8曲が彼女のオリジナル。デュエットあり、バラードやソウル、ちょっとファンキーなものまで、とてもバラエティーに富んだ構成となっていますね。
衝撃的だったのはこのアルバムの装丁で、国際郵便で使用されるような紙製のエンベロープの中に厚紙でクリップされたCD、ポスター、歌詞カードなどが入っており、裏面のジップをビリリ…と破いて開封する。つまり復元不可能…。C-POPがCDジャケットの統一感にこだわらないことは承知していますが、さすがにこれは保管場所をどうするかアタマを抱えてしまった…。

 

1曲目に収録、香港を代表する男性シンガー・陳奕迅とのデュエットで『楽園』。黃韻玲には珍しくファンキーなナンバー。映画『ベルリン・天使の詩』を使ったこのMVは非公式のプライベート作品のようですが、オフィシャルと見紛うばかりの素晴らしい出来。

Unofficial

『楽園』は彼女が2009年に創った曲で、2人はレコード会社側にぜひデュエットしたいと熱望していたそうですが、なかなかスケジュールが合わず、今回ギリギリのタイミングで実現したのだそうです。黃韻玲には珍しい、とてもスリリングなナンバーに仕上がっていますよね。陳奕迅も翌2011年にリリースした自身のアルバム『Stranger Under My Skin』にさっそく収録しています。

 

黃韻玲は14歳のとき若者を対象とした音楽コンテスト・金韻獎で優勝し、1986年に1stアルバム『憂傷男孩』歌手デビュー。作詞、作曲、編曲、楽器の演奏もこなすマルチな才能から『音楽の才女』、『音楽の妖精』と呼ばれました。自身のアルバムプロデュースはもちろん、他アーティストのプロデュース、楽曲提供、女優、 人気オーディション番組の審査員、ラジオのパーソナリティーとしても活躍する才媛…。
こう書くと男性としてはちょっと退いてしまいそうですけど、MVなどから受ける印象はとてもソフトで、ちっともそんなふうには見えません。

 

10曲目に収録、アルバムタイトルナンバー『美好歲月』。

Unofficial

『美好歲月』の意味について黃韻玲は、アルバムタイトルであることのほかに、『過去』だけでなく『今』、そして『未来』であり、彼女を含む私たち一人ひとりの物語を指す言葉でもあると語っています。

 

2曲目収録の『素描』は、2010年のドキュメンタリー映画『被遺忘的時光』の主題歌です。

Unofficial

MV『素描』には、映画『被遺忘的時光』を元にした別バージョンもあります。昨年11月に公開された『被遺忘的時光』は、認知症を患った方、その家族を描いたドキュメンタリー映画です。そちらのMVもとてもよく出来ていて、観ているうちにいろんな気持ちが湧いてきてしまって涙ボロボロ…。下のMVは映画バージョンの『素描』と、映画『被遺忘的時光』の予告編です。

 

黃韻玲曰く、このアルバムは『市場には合わせないが、ファン達が一生聴いても飽きないものに…』をコンセプトに、2年間かけて誕生させた作品。また、『皆が前向きになるように』という思いも彼女の作品に込められた重要なメッセージです。

 

TW-POPを買って、台湾に感謝!
いつまでも尽きることのない彼女のエネルギーを分けてもらおう!