sasanoji電台【台湾ポップス専門】

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金曲奬、行政院新聞局主催は今年が最後。

5月20日中央政府の組織改編により行政院新聞局が廃止され、新たに『文化部』が発足しました。

これまで新聞局の下にあった、映画・テレビ・ラジオ・流行音楽等の文化関連業務は、行政院文化建設委員会に統合されるとともに『文化部』に格上げ。今後は『文化部影視及流行音樂產業局』が担当します。金曲獎や金馬獎等のアワードも、来年からは文化部が取り仕切ることになりました。

 

新聞局は1947年に中国・南京で設立され、以来65年間に渡って国策の宣伝、国際放送交流、映画・テレビ・ラジオ・出版等メディア産業の発展支援などに携わってきました。

廃止に先立つ5月15日、馬英九総統、陳冲行政院長、楊永明行政院新聞局長並びに歴代新聞局長らが出席してお別れのセレモニーが催され、楊永明局長は挨拶の中で、『新聞局が持つ力量が広がることで、新たな任務が生まれる』と強調しました。なお、新聞局が行なっていた国際的な宣伝業務は『外交部』、国内での宣伝業務は『行政院広報室』にそれぞれ引き継がれます。

 

文化部影視及流行音樂產業局の初代局長に就任したのは、台北駐日経済文化代表処(日本に於ける中華民国大使館に相当する窓口機関)で広報部長や顧問を歴任した日本ツウ・朱文清氏で、今後台湾と日本、その他の国々との間で映画等関連業界の交流、提携がいっそう促進されるものと期待をされています。

また朱文清局長は挨拶の中で、台湾映画(2010年、国内外での売上は台湾元146億元)、テレビ・ラジオ放送(同、1097億元)、流行音楽・コンテンツ産業(同、153億元)の3つは、文化クリエイティブ産業全体の売上の54%を占める成熟した分野であると紹介して、今後同局が新聞局の各種政策を受け継ぐと共に、人材の育成、関連分野の創作の質と量の向上、生産と販売の環境整備等にもチカラを入れ、国際市場で『韓流』ならぬ『台流』の旋風を巻き起こせるよう努力すると述べました。

 

日本で台湾のポップスやドラマの認知度が低いのは、今まで台湾がこれらコンテンツの売り込みに積極的でなかったことも理由の1つに挙げられるのではないでしょうか。香港や大陸、東南アジアの華人マーケットのほうが圧倒的に広大で日本にまで手が回らなかった、あるいはムリに手を伸ばすだけのメリットがなかったのかもしれません。

台湾でも韓流の影響は日本と同じく甚大で、通信・放送事業を監督する独立行政機構国家通信伝播委員会(NCC)は、海外文化の影響を受けすぎることは自国の文化発展にとって好ましいとは言えないとの立場から、韓国ドラマ等海外ドラマの放送時間があまりにも長すぎるいくつかのケーブルTV局、ドラマ専門チャンネルに対して、今年4月から海外ドラマの比率を80%以下に下げ、かわりに国産ドラマを放映するよう昨年通達を出しています。韓流の影響力を目の当たりにして、自国の文化コンテンツの海外発信にも本腰を入れ始めたというところでしょうか。

東日本大震災以降、日本と台湾の関係はかつてないほど良好な状態にあります。これまで日本のマスメディアは大陸や韓国の顔色ばかりを窺って台湾については及び腰でした。情報が欲しければコチラから積極的に探すしかなかったわけですが、今後はそう苦労せずとも手に入る時代が来るかもしれません。

1つ心に留めておきたいのは、今回台湾の方たちが、『華流』ではなく、敢えて『台流』と強調していることです。『華流』と『台流』は持つ意味が違います。台湾のポップスを表す『TW-POP』というのは僕が勝手に使っているだけの言葉ですが、『台流』は、台湾の方たちが自ら使っている呼び名です。ウェブサイトやブログ等でも『華流』と安易に表記しないで、そこはしっかりと尊重してもらいたい点ですね。