sasanoji電台【台湾ポップス専門】

こちらはsasanoji電台第1廣播、TW-POP専門チャンネルです。

マンドポップとC-POPと中国のポップスのこと。

 

今夜最初にお送りした曲は、4月23日に公開されましたニューシングル、シンガポール出身の実力派アーティスト・林俊傑JJ Lin(リンジュンジエ)と、こちらもイギリスの実力派ですね、Anne-MarieのデュエットでBedroomでした。

 

 

令和3年4月29日、木曜日。時刻は午後10時4分になるところです。

今日は祝日『昭和の日』ですね。皆さん、こんばんは。いかがお過ごしでしょうか。人知れずコッソリ不定期放送中、フェイクラジオ・sasanoji電台でございます。

 

またまた久しぶりの放送となってしまいました。1ヶ月半ぶり…ですか^^;。その間に2回目の緊急事態宣言が解除されて、ここ東京は現在、25日から3回目の緊急事態宣言下に入っている、という…ね。
まぁ~いつまで続くのでしょう。一向に明るい出口が見えてきませんけども、お上からの指示があろうなかろうと、結局のところ一番重要なのは、一人ひとりの行動、心掛けですからね。それが全体を救うことにも繋がります。そう信じて、One for All, All for One1人はみんなのために、みんなは1つの目的のために、の気持ちを忘れないで、引き続き冷静に行動しましょう。

 

 

さて今回は、ちょっとお固いというか、ややこしいテーマのお話です。

え~と先日…4月24日ですね、日本のある有名な音楽WEBマガジンが、OPでお掛けした林俊傑『Bedroom feat. Anne-Marie』紹介してくれていました。検索していただければすぐに分かると思いますので、どこの記事かは申しませんけども、C-POPアーティストの作品が日本のメジャーな音楽メディアで取り上げられること自体、そんなに多くはありませんのでね、僕らからすれば本当に喜ばしいこと…だったのですが、ただ、最初の段落のところでイキナリ、これはちょっと違うのではという…、いや、ちょっとじゃないな、かなり大きな勘違いをされておりまして。そのあたりのことについて、お話をしていこうと思っております。しばらくお付き合いくださいませ。

 

 

ではその前に、本日の2曲目いきましょう。大きな電飾ウサギヘッドを装着した正体不明のアーティスト、大陸のメジャーレーベル・太合音樂Taihe Musicからのリリースなのでおそらく大陸の方だと思います、DJ兼プロデューサー・USAGii無厘兔(ウーリートゥー)のナンバー貓奴をどうぞ。ボーカルにオーディション番組2016超級女聲の優勝者・圈9(WineQ)をフィーチャーしていますよ。

 

 

皆さんはマンドポップ(Mandopop)という音楽をご存知でしょうか。C-POPを聴き慣れている方でしたら、これがどんなカテゴリーの音楽を指すのか、ご存知のことと思います。

マンダリン(Mandarin)、つまり標準中国語(華語)で歌われるポピュラーミュージック(華語流行音樂)のことですね。日本にも標準語(共通語)があるように、中華圏にも北京語などの大陸北方方言を基に作られた共通語があります。それが標準中国語です。俗に北京語と呼んだりもしますが、厳密には同じではありません。標準中国語は中国(中華人民共和国台湾(中華民国シンガポール公用語として使用されているほか、インドネシアやマレーシアなどの東南アジア地域でも広く話されている言語です。中国では普通話、台湾では國語あるいは華語と呼んでいて、使用国ごとに若干の差異はあるようですが、相互理解は可能だそうです。

その標準中国語によるマンドポップを、件の記事の中で台湾語・原住民語ポップスの総称説明していたんですね。さすがにこれは、ちょ待てよ、となる案件でしょうww。

 

日本の一般の音楽ファンにマンドポップというカテゴリーの存在認知され始めたのは、おそらく2019年あたりからではないかと思います。これにはまあ…アテにならない根拠のようなものがあって、僕は2012年に『マンドポップ』という呼称は…なんかイヤ。という記事を書いたんですけども、その記事へのアクセス数が2019年に入って急増したんですね。それで訝しんで調べてみたところ、どうやら韓国の大手芸能プロダクション・SMエンターテイメントが、2019年1月に中国で新たにデビューさせた男性7人組グループ、WayV(威神V)に関連したものであるらしいことがわかりました。そう、彼らは標準中国語(Mandarin)で歌うグループなんですよ。それを目が早い日本のK-POPファンたちが見つけてApple MusiciTunesで聴いたところ、ジャンルのところにマンドポップと書いてある。で、マンドポップって何?と一斉に検索したため、その2012年の記事へのアクセス数が急増したようです。

僕はApple MusicやiTunesを使っていないので、いつ、そこにマンドポップというカテゴリーが設定されたのか正確なことはわからないのですが、意味はともかく、日本の一般の音楽ファンにマンドポップの存在を知らしめるキッカケとなったのは、Apple Music(iTunesWayV(威神V)ではないか、と僕は考えています。

 

ちなみに、僕が2012年にマンドポップについての記事を書こうと思ったキッカケは、なんだっけ…。たしか当時、旧民主党政権のときに起きた2010年の尖閣諸島中国漁船衝突事件で日本人の中国(中華人民共和国)に対する好感度が最悪だったんですけど、逆に台湾への好感度は東日本大震災を機に爆上がりしていたんですね。そんな中、マンドポップ=台湾生まれのポップス、として推そうという動きが一部に見えて、いや、マンドポップは別に台湾生まれではないし、台湾だけの音楽でもないでしょうと。その表現では誤解する人が出てしまうんじゃないの?という懸念があって書いたような記憶があります。ま、残念ながらその懸念は現実となってしまっているようですけども~^^;。以上、余談でした。

 

 

さ、ここから話が更にややこしくなっていきますが、その前に1曲入れておきましょう。本日の3曲目は、台湾の原住民族・阿美アミ族出身の女性ボーカル・夏子Natsukoとギタリスト・王家權Hunter Wangによるユニット、珂拉琪Collage台湾語のナンバーです。蓮花空行身染愛をどうぞ。

 

 


ハイ、台湾語出てきました。

台湾語は中国語ではないの?と疑問に思う方、いらっしゃるでしょうね。カテゴリー的には中国語に含まれるんですけども、ただ、日本語は日本語、韓国語は韓国語、みたいにひと括りに出来ない複雑さが中国語にはあります。

一般的中国語と言えば、NHK中国語会話などで教えている大陸で話される標準中国語(普通話を指すことが多いですが、そのほか大陸各地で使われる方言、ま、方言というより、ほぼ別の言語ですね。例えば福建省南部で話される閩(びん)南語、広州や香港等で話される広東語客家人の言語である客家語、それから少数民族それぞれの言語や台湾で話されている台湾語台湾客家語など、複数の民族の言語を含む総称としての『中国語』という解釈がなされています。基本的に日本人しか喋らない日本語と違って、中国語というカテゴリーは1つの言語を意味していないんですね。

その中に含まれる台湾語は、17世紀以降に中国大陸福建省南部から大量に移民してきた閩(びん)南人の言語である閩南語をベースに、原住民語、そして日本統治時代を経て日本語の語彙などを加えながら独自進化した、台湾人の7割が喋れるローカル言語です。イデオロギーや解釈の違いから、閩南語、福建語、ホーロー(福佬,河洛)語と呼ぶ人もいます。なのでルーツの違うマンドポップ台湾語・原住民語ポップスの総称と紹介するのは、完全に間違い、ということになりますね。

この記事を書いたライターさんは、おそらく今までC-POPを意識して聴いたことがなかったのではないでしょうか。最初にAnne-Marieがあっての林俊傑の紹介、だったのでは…という気がします。

 

 

では続いて、C-POP中国のポップスについてお話をしていきましょう。その前に1曲。大陸のメジャーレーベル・太合音樂Taihe Musicからデビューした現在14歳という驚異の新人、吳惠雲Emily(ウーフイイン)Vagabondをお聴きください。太合は近年、新人の発掘・育成に力を入れていて、彼女もそのプログラムから誕生したシンガーソングライターの1人です。

 

 

C-POP中国のポップス、この区別も難しいですよね。

C-POPというカテゴリーの存在自体は、ここ数年で日本の一般的な音楽ファンにもかなり知られてきたように感じますが、意味のほうはどうでしょう。正確に伝わってますかね。C-POP=中国のポップス、と誤解されている方、まだまだ多いのではないでしょうか。

先日たまたま、香港の英字紙・South China Morning Postの記事を元にした音楽評論家・岡田敏一さんによる中国のC-POPがK-POPを打破し、世界を席けんできるか…というタイトルの、2年前…2019年3月22日の産経新聞のコラムが目に留まって読んだのですけども、音楽視聴スタイルの主流がCDからサブスクに移った今読んでみると、なかなかに興味深いフムフムと思わせる内容で、未読の方にはぜひお読みいただきたいのですが、ただ、大いに気に障った部分もありまして^^;。冒頭、導入部のところで、C-POP『C』を、中国(China)『C』と紹介していたのですよ~。コレも僕らからすれば、ちょ待てよ!と言いたくなる案件でしょうww。大手メディアでコレをやられると、かなりマズイよな~と思いますね~。

C-POPChinese popular musicの略で、中国語では中文流行音樂と書きます。中文というのは中国語のことですね。なのでC-POPの『C』は、中国語(Chinese)『C』と解釈するのが正しいかと思います。中国語、ですので、広東語の粵語流行音樂(Cantopop)台湾語台語流行音樂(Taiwanese pop)客家語客語流行音樂(Hakkapop)などもここに含まれるわけですが、ただ、その『C』の概念も、時代とともに変わってきています。今夜最初にお掛けした曲、林俊傑とAnne-Marieのデュエット曲『Bedroom』は英語だけどC-POP?台湾のユニット・珂拉琪Collageは台湾語だけでなく原住民語や日本語でも歌っているけど、C-POPで括っていい?吳惠雲Emilyの英語曲『Vagabond』もC-POPと呼んでいいの?という、中文(中国語)の『C』では括りきれない作品やアーティストがどんどん出てきているんですね。なので現在では、中国語のポップス、というよりも、中華圏から発信されるポップス、の意味合いで使われることのほうが多いように思います。

まぁ~この分類も難しいところで、アメリカやカナダに移民した中華系の人たちが発信する中華ポップスはどうなるの~という問題もありますし、サブスクが発達して、インターネットで世界中どこからでも楽曲を発表出来る時代となっていますので、この先、中華的、の意味合いのほうが強くなっていくのかもしれませんね。

 

 

では、本日の5曲目です。2017年結成、知更John Stoniae(Vo,Gt)[*1]、劉啟鍠Liu Chi-Huang(Ba)、孫仲熙Jhong Si Sun(Dr)による台湾のスリーピースバンド・hueの同名1stアルバムhue(2020年,福茂唱片)から、6曲目に収録の爛情歌をお聴きください。Chillやシティポップが流行っている昨今、こういったストレートなロックで正面から攻めてくる若手、僕は好きです^^。

 

 

2012年に「『マンドポップ』という呼称は…なんかイヤ。」という記事を書いた当時、僕は台湾のポップスをC-POPとして紹介することに、ひじょうに抵抗がありました。ほとんどの日本人が台湾の音楽を聴いたことがない、台湾をよく知らない、あるいは中国(China)との区別がついていない人が少なくない時代で、そんな中で紹介すると中国のポップスと混同されて埋没、敬遠されてしまうのではないか、という恐れみたいなものがずっとあったんですね。それで台湾から発信されるポップスをTW-POPと勝手に名付けて呼んでみたりもしたんですけどww。

でも今は、そんな抵抗感も薄れてきました。J-POP、K-POPC-POPのような台湾の音楽を表わす決定打的な呼称は結局出てきていませんし、相変わらずC-POP=中国のポップスと勘違いする人もいるようですが、それ以上に日本に於ける台湾の存在感そのものが大きくなって、中国(China)と混同される恐れがなくなりました。そしてサブスクの登場で、こと音楽の世界では、ジャンルの枠だけでなく国の壁、顔の有無さえも意味をなさなくなった。一人ひとりが自由に作品を発信し、自由に好きな音楽を聴ける時代になったんですね。今、Twitterで“C-POP”と検索してみると、つぶやいている外国人が本当に増えていてビックリします。彼らがC-POPをどこで知って、どのように解釈しているのかはわかりませんけども、入口の目印として既にC-POPという呼称は定着しつつある、そう感じます。仕掛け人がいるのか、些か気になるところはありますが、今はこの波に乗ってみるのも悪くはないかな、と思ったりもしています。

 

 

それでは本日最後の曲です。これを中国(China)のポップス、と紹介されたら、僕は怒りますよww。2018年結成の香港の男性5人組バンド・The Hertz、今年2月にリリースされましたニューシングル千世書を聴きながら、今夜はお別れです。今日からGWに入っているという方いらっしゃるかと思いますが、お天気のほうがね、まるで外出するなと言っているみたいで悲しいですけども、どうぞ有意義な休日をお過ごしくださいませ。皆さま、ごきげんよう。sasanoji電台でした。

 

 

このMVを担当している十田中太郎って何者なんですかね~。検索しても『うちゅう人田中太郎』しか出てこなくてww。

 

 

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追記:

ラジオネーム・しのぶさんから十田中太郎の情報をいただきました~。90年代生まれの香港のデザイナーさんだそうです。しのぶさん、情報ありがとうございました!
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本日のオンエア曲


※珂拉琪Collageの『蓮花空行身染愛』はSpotifyにラインナップなし。

 

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脚注

*1:知更は2019年の第10屆金音創作獎に於いて、個人アルバム『劉庭佐』で最佳創作歌手獎、最佳新人(團)獎、最佳民謠單曲獎、最佳另類流行專輯獎の4部門にノミネートされ、最佳民謠單曲獎を受賞した。