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歌手歴20年以上のベテラン・萬芳、金曲獎最優秀女性シンガー部門に初ノミネート。

萬芳Wan Fang『我們不要傷心了』(2010)

Wan-fang2010

 

歌手歴は20年以上、ラジオパーソナリティー歴10年以上、女優としても活躍している実力派女性シンガーです。昨年6月、萬芳(ワンファン)は前作からは8年ぶりとなるオリジナルアルバム『我們不要傷心了』をリリースしました。本作では自らプロデュースにも携わっていて、今までの作品よりも彼女自身のオリジナリティが反映された、よりヒーリング成分の濃い1枚となっているようです。タイトルが表しているとおり、心の傷が癒されそうな全10曲入りのアルバムです。

 

2曲目に収録、『看見快樂對我笑』。

不思議な曲ですね。ずっとスローなメロディが続いていたと思ったら、後半3分10秒あたりから急にアップテンポになってきて。傷が癒えても、笑顔を取り戻すまでには幾ばくかの時間が必要、ということなのでしょうか…。

 

萬芳はこのアルバムで、今回の金曲獎・最優秀国語女性シンガー部門にノミネートされています。女優としてはすでに2004年、台湾テレビ界の最高栄誉・金鐘獎で主演女優賞を受賞するなど高い評価を受けていますが、意外なことに音楽の最高賞である金曲獎にノミネートされたのはこれが初めてのようです。

 

1967年台湾生まれ、本名は林萬芳。子供の頃から合唱や伝統音楽を学ぶなどはしていたそうですが、歌うことに目覚めたのは大学生のとき。当時流行していたフォークソングコンテストに参加したことがキッカケだそうです。デビューは、昨年20周年とのことでしたので1990年頃でしょうか。直後から数多くのドラマや映画の主題歌、とくに1993年公開の香港映画『新不了情』の主題歌を大ヒットさせるなど、すぐに台湾歌謡界での地位を確立。 毎年のように新作をリリースする人気シンガーとなりました。ところが2002年、アルバム『相愛的運氣』のリリースを最後に、突然歌謡界から一歩退いてしまったのです。

 

3曲目に収録、アルバムタイトル曲『我們不要傷心了』。

 

一線を離れて以降彼女は、ラジオのパーソナリティー、映画や舞台、ドラマでの仕事をメインに活動してきました。その中で女優としての才能を開花させ金鐘獎も受賞することが出来たのですが、歌から離れた理由については『自分にとって歌うことはただの職業ではないのに、ヒットソングを歌い続けるうちに歌うこと自体が職業化してしまった』と語っていたそうです。

今回8年ぶりに新作をリリースする心境に至ったのは、音楽人としての自身の迷いが吹っ切れた、ということなのでしょうか。その8年間の気持ちの揺れが、『幾ばくかの時間』として曲の中に表れている気がします。

 

9曲目収録の『孤單』。

作詞は彼女が金鐘獎を受賞した主演ドラマ『冷鋒過境』の監督、王明台。本格復帰するにあたって、ぜひにと、恩人である監督にお願いしたのだそうです。

 

この8年間オリジナルアルバムは出していませんが、新曲が3曲入った2枚組のベスト盤『ONE芳 新歌+精選』が2005年に出ています。こちらは入手可能のようですね。YouTubeで見ると以前の曲もイイですよ。『睡.醒』は中島みゆき『誰のためでもない雨が』のカバー。のんびり、ゆったりした曲が多いアーティストさんです。

 

コチラは昨年10月からスタートした自身初となるアジアツアー『你所不知道的那些夜晚』のPV。台北は10月30、31日だったみたいです。さすがキャリア20年だけあって曲が次から次へと。彼女が歌った『新不了情』は、今でも多くの歌手がカバーする名曲です。

 

それにしても、これだけ長いキャリアがありながら今まで無冠なんですねー。今回の金曲獎、さて、どうなるでしょうか。