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sasanoji radio Awards 2014 【Best Female Artist】編

sasanoji radio Awards 2014、今回は【Best Female Artist】部門です。選んだ候補は以下の6名。

 

李佳薇Jess Lee『天堂/懸崖』(3月)

jess-lee2014 

 

林凡Freya Lim『歲月這把刀』(5月)

freya-lim2014 

 

張靚穎Jane Zhang『第七感』(7月)

jane-zhang2014 

 

白安Ann『接下來是什麼』(9月)

ann2014 

 

艾怡良Eve Ai『大人情歌』(10月)

eve-ai2014 

 

黃麗玲A-Lin『罪惡感』(12月)

alin2014 

 

候補1人目は、2011年にCDデビューしたマレーシア出身の実力派女性シンガー・李佳薇(リージャーウェイ)です。
【Song of the Year】部門のところでも少し触れましたが、ズバ抜けた歌唱力がありながら台湾人女優・初家晴(韓国人とのクォーター)を起用した1stアルバム収録曲『煎熬』のMVがあまりにも過激だったため、そこばかりがセンセーショナルに取り上げられるなど、ちょっと気の毒なデビューとなってしまった李佳薇。あれから2年半、当然レコード会社はプロモーション戦略を変えているだろうと思っていたのですが、公開された第1弾シングル『像天堂的懸崖』のMVを見るとまたもやエロドロ恋愛系(視聴は18歳以上、テレビでの放映時間は23時から6時までに制限された)。たしかに外見は少々地味…かもしれませんが(ゴメンね^^;)、彼女はこんな阿漕な売り方をしなくてもじゅうぶんに歌唱力のみで勝負出来る本格派のシンガーなのですよ。何なのでしょう、この仕打ち…。もぉ早いとこ事務所もレーベルも移籍してしまいなさい、と言いたくなるくらい。

 

候補2人目は、2000年にCDデビューした実力派女性シンガー、“療愛歌姬”こと林凡(リンファン)です。
日曜夜にJFN系列局で放送中の某台湾ポップス専門番組に選曲協力をしている或るC-POP専門家の方が、今回の彼女のアルバムを『凡庸』と評しておりました。正直、僕も初めて聴いたときは『凡庸』とは言わないまでも、意外と普通かな…と思ったのは事実です。ところが印象は変わるものなのですね、聴けば聴くほど安心感や心地良さが増してくる。これこそ彼女が“療愛歌姬”と呼ばれる所以なのでしょう。個性という点では同期デビューの孫燕姿や戴佩妮には及びませんが、そのかわり林凡には誰の耳にも馴染みやすい穏やかな歌声があります。ドラマの主題歌や挿入歌に彼女の曲が数多く採用されているのも、その滋味深い歌声ゆえでしょう。決して大衆的=凡庸ではない。先達と呼ばれる方々の言葉を鵜呑みにして、もしも自分の感性に合ったであろう作品を聞き逃しているとすれば、それはとても勿体ないことだと思います。

 

候補3人目は、2005年に大陸の巨大オーディション番組『超級女聲』で第3位に入賞、翌年CDデビューした中国四川省成都出身の実力派女性シンガー・張靚穎(ジャンジンイン)です。
本作『第七感』を含め、これまでにアルバム7枚とEP3枚、鄧麗君をカバーしたライブ盤1枚をリリース。オーディション番組ではMinnie Ripertonの『Lovin' You』を歌い、あのドルフィンボイスを見事に再現したことから“海豚公主”とも呼ばれている、美貌と実力を兼ね備えた人気歌姫です。デビュー作から積極的に欧米アーティスト提供の楽曲を取り入れていましたが、その割合は作品を重ねるごとに増してきて、レーベルを索尼音樂Sony Musicに移してリリースした7枚目のアルバムとなる本作では、ついに全12曲中11曲が外国人アーティストの楽曲に(ボーナストラック2曲を除く)。雰囲気はもうほとんど洋楽アルバムです。彼女のメリハリの効いたクリアなボーカルと確かな歌唱力、そこに清楚な色気も加わって、本当にキラキラと輝いています。聴き惚れる~。

 

候補4人目は、特徴的なボーカルと卓越した創作能力が魅力の若手女性シンガーソングライター・白安(バイアン)です。
白安は2012年12月、21歳のときに1stアルバム『麥田捕手』でCDデビューしました。ネット上で公開したMVへのアクセス数は2千万オーバーを記録。第24屆金曲獎では新人賞候補にノミネートされるなど業界からも高く評価され一躍人気者となった彼女ですが、じつは元来とても繊細な神経の持ち主で、体格も小柄で華奢。人前に立つこともあまり得意ではありませんでした。プレッシャーからでしょうか、大きな仕事が来ると体調を崩してしまうこともあったようです。でも周囲は当然のことながらその才能を放っておくはずもなく、彼女のもとには『次はどんな作品?』、『早く次回作を!』といった期待の声が続々と寄せられました。前作から1年8ヶ月ぶりとなるこの2ndアルバム『接下來是什麼What's next?』には、そのときの気持ちが込められています。つまり『次は何?』って聞かないで、ということ。若い才女の成長を温かい気持ちで見守りたくなる、期待を裏切らない1枚です。

 

候補5人目は、2010年、23歳のときに出場した人気オーディション番組『超級偶像』第5シーズンで過去に例のない高成績を収めて優勝した実力派女性シンガー、艾怡良(アイイーリャン)です。
まだ若いながら、王治平ら審査員に“藍調女王(ブルースの女王)”と呼ばせるほどの渋いテクニックとハスキーボイスを誇る本格派のシンガーで、2012年、メジャーレーベル・索尼音樂Sony Musicから1stアルバム『如果你愛我』でCDデビューしました。このブログでもデビュー前から注目をして取り上げていましたが、1stアルバムについては、あまりにも素晴らしい素材を手に入れて大喜びしたクリエイター陣が逆に手を加え過ぎているような気がして…。それでsasanoji radio Awards 2012の新人部門候補には入れなかったのですが、そのあたりがほぼ2年ぶりとなる今回の2ndアルバム『大人情歌』では見事に軌道修正されていて、彼女のボーカルスタイルにピタリと合った、本当に渋くてかっこいい大人の作品に仕上げられています。コレですよ、僕はコレが聴きたかったんだ。

 

候補6人目は、“天生歌姬”の美称を戴く原住民族・阿美アミ族出身の実力派女性シンガー、A-Linこと黃麗玲(フアンリーリン)です。
2006年、メジャーレーベル・愛貝克思avexから1stアルバム『失戀無罪』でCDデビュー。2012年の『幸福了 然後呢』まで6枚のオリジナルアルバムを愛貝克思からリリースしています。A-Linは昨年、所属レーベルを索尼音樂Sony Musicに移しました。本作『罪惡感』は前作からちょうど2年ぶりにリリースされた、移籍後初のオリジナルアルバムとなります。それにしてもレーベルを移籍しただけでここまで変わるとは…。歌謡曲っぽい雰囲気が消し飛んで、かわりに艶かしさが出ました。2007年に8歳年上のプロ野球選手・黃甘霖と結婚。妻であり、現在は1児の母でもあるA-Linですが、このアルバムを聴くととてもそんなふうには見えないくらい艶っぽい。OPナンバー『我值得』と2曲目『我笑到都哭了』は共にイギリスの新進女性シンガーソングライター・Becky Hillが手掛けた楽曲ですが、これで一気に壁が崩れたか。“天生歌姬”の真の姿を見た気がしました。感動…。

 

以上がsasanoji radio Awards 2014、【Best Female Artist】部門の候補6名でした。

いつもならここにいるはずのアノ人がいない、アノ人もいない…という、これまでとはちょっと違う雰囲気となってしまって自分でも驚いています。とくにボーカルのほうを重視したというわけでもないのですが、結果的にシンガーが5名、シンガーソングライターは1名のみということになってしまいました。ボーカリストを活かすも殺すもクリエイター次第ということでしょうか。