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sasanoji radio Awards 2013 【Best Newcomer】編(改訂版)

sasanoji radio Awards 2013、今年は【Best Newcomer】編からスタートします。選んだ候補は以下の8組!

 

林少緯Willy Lin『為愛而聲』(2月)

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林少緯(リンシャオウェイ)は、2013年に本格稼働した有名プロデューサー・周佳佑Jack Chou率いる新レーベル・後台音樂娛樂Backstage Musicの新人シンガーソングライターです。平井堅を彷彿とさせる風貌と、それを裏切らないソウルフルな歌唱が魅力。パブシンガーをしていた母親(阿美アミ族出身)の影響で3歳の頃からステージに立ち、日本の演歌なども歌っていたとのこと。17歳で自身も母親と同じパブシンガーの道に進み、2011年に出場した『I AM MUSIC 我是音樂 原創及演唱音樂大賽』のボーカル部門で優勝。周佳佑に認められ、2013年2月に1stアルバム『為愛而聲』でデビューしました。このアルバムは林少緯名義ではありますが、2011年に結成したバンド・使壞樂團としての1stアルバムでもあります。ちなみに林少緯は原住民族バンド・GUTS樂團結成時のキーボード奏者で、ライブでは自慢の演歌も披露しています。

 

葉穎Yinosha『出發』(4月)

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葉穎(イェイン)は1990年生まれ、国立台湾大学で国際政治を学んだという高学歴美女(女優・曾愷玹と歌手・陳慧琳を合わせたような、と形容される)。歌好きの両親の影響で高校生の頃から歌唱コンテストに出場し始め、進学後も大学内外のコンテストに積極的に参加。大学2年のときに出場した台北医学大学のコンテスト・金弦獎で第2位となり、プロデューサーに認められアルバムリリースの機会を得ました。清楚な外見どおりの淀みのない素直な歌唱が好印象。その様子から大人しそうなイメージを想像してしまいますが、実際はコンテストで得た賞金を元手にリュックを背負って世界中を旅して歩いたという、かなり行動的な女性のようです。首波主打『愛情門徒』が、中国製作の歴史ドラマ『三国Three Kingdoms』と韓国製作の現代ドラマ『小媳婦女王』の台湾版主題歌に採用されています。

 

王詩安Diana Wang『你好嗎』(8月)

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王詩安(ワンシーアン)も葉穎と同じ1990年生まれ。出身はオランダ(両親は上海人)。メジャーレーベル・華納音樂Warner Musicイチオシの、おそらく2013年度最も注目をされた最重要の新人です。
『大きくなったらアジアに戻って歌手になる』、3歳のときにそう決心したという王詩安は、将来芸能人になるべく6歳からピアノやバレエ、ジャズを学び始め、高校生になって香港のTV局が主催する歌唱コンテストなどに出場、高成績を収めて注目を集めます。2011年、Dianaの名前で出場した台湾の人気オーディション番組『超級星光大道』第7シーズンのPK戦で、Christina Aguileraの『Impossible』をパワフルに歌い上げ本戦出場者に圧勝。これで一気に彼女の存在が台湾でも知られることとなりました。華納の中華地区総裁・陳澤杉はすぐに彼女と契約し、レーベル所属の方大同、蕭煌奇、林俊傑ら大物アーティストのMVに出演させるなど大プッシュ。個人的にはこうしたメジャーレーベルにありがちな露出過剰な演出は好きではないのですが、豪華なクリエイター陣を迎えた1stアルバムは意外にも控えめで、手を加え過ぎることなく彼女の変幻自在なボーカルを存分に活かした佳作となっています。

 

AGA『AGA』(9月)

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AGA(Agatha Kong)こと江海迦(ジャンハイジャー)は1988年生まれ、香港出身の新人女性シンガーソングライターです。2013年4月8日に初めてのオフィシャルMV『哈囉』がYouTube上で公開され、香港の、しかも本格デビュー前の新人ではありましたが、惹かれるものがあってここでも一度ピックアップしています。そのときは彼女がスペイン人の血を引いていること、バンドマンのお父さんとピアノに精通したお母さんとの間に生まれたこと、子供の頃からピアノやギターを学んでいたこと、くらいしか情報がありませんでした。その後伝わってきたところによると、AGAの両親はどうやら彼女が音楽家ではなく堅実な職業に就くことを望んでいたようで、専門的な音楽指導はとくにしていなかったそうです。AGA自身もその意を汲んで、高校卒業後はキャビンアテンダントの職に就いています。それでも音楽の道を諦めきれなかった彼女はプロミュージシャンの下で専門的に学んだり、ときにはレストランで演奏するなど自己練磨に励んでいました。そこで出会ったのが張學友Jacky Cheungの御用ドラマー・Anthony Fernandesで、彼の紹介を受けて2008年に音楽家・舒文に弟子入り。キャビンアテンダントの仕事を辞め、音楽道に邁進することを決意しました。修行期間5年、2013年9月2日に『哈囉』を含む5曲入りダウンロード専用EP『AGA』をリリースした彼女は、その年のYAHOO!人氣大獎、新城勁爆頒獎禮、華語金曲獎などいくつもの音楽賞で優秀新人に輝いています。また、2012年に本名の江海迦名義で薛凱琪、連詩雅、吳雨霏、李克勤ら有名アーティストに楽曲を提供するなど、クリエイターとしても既に非凡な才を見せています。待望のCD版は年が明けた2014年1月7日、4トラックを追加した全9曲+DVDの2枚組でリリースされました。

 

劉思涵Koala Liu『擁抱你』(10月)

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劉思涵(リュースーハン)は1989年生まれ、中国・四川省成都の出身。四川外国語大学フランス語学科卒。2013年10月9日に台湾レーベル・種子音樂Seed Musicから、1stアルバム『擁抱你』でデビューした新人女性シンガーです。ルックスは十人並みですが、“女・楊宗緯”とでも呼びたくなるような新人離れした歌唱力と、李玟CoCo Leeが“天使之音”と讃えた滋味深い美声が魅力。R&B、ソウル、ジャズ、ポップスとあらゆるジャンルを歌いこなす才能を備えた実力派です。フランス語を思わせる独特の発声も特徴的。劉思涵は、2009年に出場したフランス大使館主催によるフランス語歌唱コンテストの全国大会で第10位に入賞しましたが、翌2010年にスタートしたオーディション番組『花兒朵朵』では成都地区予選に出場するも100強止まり。しかも男性審査員から、『まるで中年婦人のようだ』と歌ではなく洋服や髪形など外見を酷評され、とても頭にきたと語っています。当時の彼女の体重は74kg。淘汰された理由が外見ならばと一念発起した劉思涵はフランス留学を取り止めて、3ヵ月で20kg減というダイエットに成功。2011年に出場した第2回『花兒朵朵』では全国大会まで進み見事第4位に入賞、リベンジを果たしました。同年、台湾レーベル・種子音樂と契約。その歌声に惚れ込んだ実力派女性シンガーソングライター・戴佩妮Penny Taiの全面バックアップを受けて制作された彼女のデビューアルバムは、全曲ストライクゾーンという…個人的には大当たりの1枚となっています。

 

阿肆A Si『預謀邂逅』(12月)

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阿肆(アースー)は1989年生まれの24歳、中国・上海出身のカレッジ系新人女性シンガーソングライターです。身長は180cm近くあるそうで、性格も合わせて自身のことを“オトコオンナ”と自嘲気味に語っています^^;。音楽活動を開始した時期は遅くて、ギターを弾き始めたのは2008年、創作を始めたのは2009年とのこと。大学卒業後はごく普通に上海で会社勤めをしていましたが、2011年にネット上で発表した曲『我在人民廣場吃炸雞』(私は人民広場でフライドチキンを食べる)がインディーズで大ヒット。音楽ファンから“炸雞少女”と呼ばれて人気者となり、2012年に北京のインディーレーベル・摩登天空Modern Skyと契約。上海から北京に居を移し、本格的に音楽活動を開始しました。そして2013年12月3日、彼女の1stアルバム『預謀邂逅』が、なんとメジャーレーベル・台灣索尼音樂Sony Musicを通じて台湾でもリリースされたのです。そのおかげでこの作品を簡単に入手することが出来たわけですが、もう1曲目からガツンと頭をぶん殴られた気分です。このブログでは台湾をメインに扱っているので大陸の音楽シーンはほとんど無視していますが、こんなアーティストもいるのかと反省させられました。収録されている10曲すべてが彼女の作詞作曲によるもの。『我在人民廣場吃炸雞』はもちろん、2012年12月リリースのコンピレーションアルバム『摩登天空7』に収録されて好評を博した『浮光掠影』も収められています。プロデュースは広西チワン族自治区出身の実力派バンド・旅行團樂隊The Life Journeyの韋偉が担当。1976樂團の阿凱も絶賛する、驚くべき1枚です。惜しむらくはオフィシャルのMVが出ていないこと…。

 

三秒樂團Samuel『來回』(12月)

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三秒樂團(サンミャオユエトアン)は、三秒Samuelこと林唐鈺(Vo, Gt)が王丰Eddie(Gt)、沙子Blink(Ba)、淮弟Hwaidy(Dr)らを迎えて2013年に結成した4人組バンドです。が、元々はSamuelの1人バンドだったようです。16歳で音楽活動を開始したSamuelのキャリアは既に10年を超えます。作詞作曲、編曲、ミキシングはもちろん、ギター、ピアノ、ドラムなど多彩な楽器を弾きこなすという天才で、2012年にはアメリカに渡ってミキシングエンジニアの学位を取得。帰国後、自身の作品集を制作するにあたって志を同じくするメンバーを募り、現在のメンバー構成となりました。12月27日にリリースされた1stアルバム『來回』は12曲を収録した『來Disc』と、そのアレンジバージョン12曲を収録した『回Disc』の2枚組で、ロックあり、ジャズあり、ファンクありの刺激的でゴージャスな作品となっています(KKBOXで全曲部分試聴が可能)。ちなみにアーティスト名の『三秒』ですが、英語名の『Samuel』と発音が似ていることに由来しているそうです。Google翻訳で聞いてみると…、たしかにそう聞こえますね^^。

 

張赫宣Zhang He Xuan『宣言』(9月)

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張赫宣(ジャンフーシュエン)は1985年生まれの28歳。中国・遼寧省瀋陽市の出身。CDのジャケット写真からは少々お笑い系の香り漂うポップな雰囲気が感じられますが、歌声は力強く、また繊細さも合わせ持っている正統派の男性シンガーです。それもそのはず、瀋陽音樂學院では声楽を学び、卒業後は声楽トレーナーを務めていたという経歴の持ち主。2012年、大陸の歌唱コンテスト番組『中國好聲音』に出場。他を圧倒する歌唱力で一夜にして名を上げ、翌年開催された全国衛星放送歌唱番組対抗戦『直通春晚』に『中國好聲音』代表選手の1人として参加、全国6強に名を連ねました。そのパフォーマンスは業界からも高く評価され、アジアの華語放送局7社が共催する音楽アワード『第17届全球華語歌曲排行榜』に於いて新勢力男歌手に選出。同年9月、1stアルバム『宣言』でCDデビューしました。収録されている全10曲中2曲は彼自身が作曲をしたもの(うち1曲は作詞も担当)で、ソングライターの面も持っているようですが、本作では大陸や香港のトップクリエイター提供の楽曲をメインに歌っています(華研國際音樂HIM旗下のギタリスト・JerryCも1曲提供している)。

 

以上が今回選んだ2013年度の【Best Newcomer】候補8組でした。

一部候補の見直しを行ないました。当初入れていた光引擎Light Engine Bandを、この部門から外しています。2011年末発表の自主制作EP『My Journey』が、翌年3月に一般流通ルートに乗っていたことをすっかり失念していました。光引擎、ゴメンナサイ^^;。空いた1枠には、中国・遼寧省出身の新人男性シンガー・張赫宣を新たに加えています。これで8組中5組が、台湾以外の出身者ということになりました…。アリャ~^^;。

 

鄧子霆『壞習慣』
冰果甜心Bingirls『首張同名EP』
四個朋友『四個朋友』
小人『小人國』
林瑪黛『古老的記號』
詹宇琦『啟程前』
Weko薇格『Aye~Weko 噯~薇格』
依錚依靜『和我在一起』
Mabel美寶『從目的地出發』
蔣卓嘉『十面』
阿堤『Dream on !』
瑪啡因樂團『迴』
LADYZ『Monster』
吳是閎『或許。我知道』
言野『我要你相信』
丁衣凡『我不懂,愛』
陳思瑋『木頭』
玩聲樂團『朱古力
POLO『A Little Dose Of You』
鄧養天『因為所以我愛你』
游智淇『精靈游樂園』
Candy Cola『Candy Cola』
青衣『新鮮魚』