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本領発揮、蕭敬騰。

蕭敬騰Jam Hsiao『狂想曲』(2011)

Jam-hsiao2011

 

蕭敬騰(シャオジントン)。英語名はJam Hsiao。1987年生まれ、お母さんが原住民族アミ族の出身です。 2007年にスタートした台湾のオーディション番組『超級星光大道』第1シーズンの道場破り(PK戦)に出場し、爆発的な歌唱力で番組を乗っ取ってしまった、若手実力派男性シンガーです。

本作『狂想曲』は、2008年6月リリースの1stアルバム『蕭敬騰同名專輯』から数えて4作目。3rdアルバム『Love Moments 愛的時刻自選輯』が女性アーティストのカバー集だったので、オリジナルとしてはこれが3作目となります。大物アーティストを楽曲提供に迎えた1st、2ndと同様、今作も小寒、李偲菘、蔡健雅、陳偉など豪華な顔ぶれが集まっているほか、ジャム・シャオ自身も全14曲中、6曲を手掛けています(1曲は作詞のみ)。ちょっと変わった構成の2枚組アルバムで、1枚目に11曲が、2枚目にはCMで使用された3曲(自作曲)のみが収められています。内容的にはポップス、R&B、バラード、ハードなナンバーと、これも過去の作品と同様に揃っていますが、オリジナル3作の中では最もシンガーとしての本領が発揮されているアルバムだと思います。2011年6月リリースの最新作です。

 

蔡健雅が楽曲提供した4曲目収録の第5弾シングル『只能想念你』。一聴しただけでは蔡健雅の曲とわからないくらいに、自分らしく歌いこなしていると思う。

 

前回、楊宗緯Aska Yangを取り上げた以上、好敵手の蕭敬騰Jam Hsiaoも取り上げねばなるまい、ということで急ぎチェックしてみました。

アスカの新作はまだ発売前なので、UPされているMVを視聴した印象のみでの感想となりますが、CD2枚揃えて伝説の対決を再現したくなるような、双方ともに充実した出来になっているのではないかと!

 

アルバムデビューはアスカ、ジャム・シャオともに2008年。『超級星光大道』第1シーズンの優勝者・林宥嘉Yoga Linも同年のデビューです。ヨガ・リンはその年のアルバム売り上げランキング第5位、アスカはヨガに大差をつけての第4位、ジャム・シャオはそれを僅かに上回っての第3位と、番組の盛り上がりどおりのデッドヒート、2人の人気ぶりでした。『超級星光大道』第1シーズンは彼らの活躍もあって大変なヒット番組となり、2007年度のTVアワード・金鐘獎の『娯楽番組賞』を受賞しています。

 

蕭敬騰、あまりにも鮮烈な登場だったため天才と思われがちですが、じつは努力の人です。

それほど裕福でない家庭に育った少年時代、敬虔なクリスチャンである両親に連れられ教会活動に参加していたジャム・シャオは、そこで歌を歌うようになりました。音楽に目覚めたのは小学6年の頃。偶然聴いたBon Joviのアルバム『Crush』に影響を受けて。でも当時はケンカや遊びに明け暮れる荒んだ毎日を送っていたそうです。

15歳のとき、スクールカウンセラーに言われた『なぜケンカする力を音楽にぶつけないの?』というひと言がキッカケで、音楽に本気で向き合うことを決意。母親に頼み込んでドラム教室に通わせてもらいますが、経済的な理由から3ヶ月で辞めざるをえなくなり、あとは独学で学びました。毎日10時間以上練習していたそうです。16歳の頃にはもうプロ顔負けの腕前になっていて、カウンセラーの勧めで自分と同じような境遇にある子供たちにドラムを教える活動を始めました。これが台北市に認められ、ジャム・シャオは2期連続で善心人士(心優しき人々)獎を受賞しています。また同じ頃、お兄さんや友人たちとバンドを組んで、各地でライブ活動も行なっていたようです。

その後キーボードにも挑戦し、五線譜が読めないながらも類い稀なる音感と猛練習でこれを克服。17歳の若さで有名レストランの専属歌手として活躍するようになり、様々なアーティストのヒット曲を歌うことで多彩なテクニックを身に付けていきました。

 

アルバムタイトルナンバー『狂想曲』。なるほど、Bon Joviだ。

 

ジャム・シャオが表舞台に姿を現すのは、2007年5月11日。アスカ・ヤン、ヨガ・リンらが出場していた『超級星光大道』第1シーズンの第18ステージ、PK戦と呼ばれる道場破りの一騎討ち『踢館挑戰賽PartⅡ』でのことです。ジャム・シャオは当初、7月からスタートする第2シーズンへの参加を目指していましたが、彼の実力に目をつけた番組プロデューサーが、第1シーズン途中で道場破りとして本選出場者にぶつけることを思いつきます。

最初の対戦相手としてクジ引きで選ばれたのは許仁杰Stanly。ジャム・シャオは曹格Gary Chawの『世界唯一的你』で挑戦し、これを撃破。続くPK戦2戦目、5月18日の第19ステージで指名されたのが、前回紹介したとおりアスカだったのですが、アスカは緊張のあまり歌詞を忘れるという大チョンボ。ジャム・シャオの見事な歌いっぷりもあって惨敗を喫し、一気に落選対象者ゾーンへと落ちていきます。

そして運命の3戦目となった5月25日、第20ステージ『終極版指名踢館賽』でジャム・シャオは再びアスカを指名し、萬芳Wan Fangの名曲『新不了情』で挑戦。互いをライバルと認めたアスカも同じ『新不了情』で受けて立ち、リマッチの結果ジャム・シャオはアスカに3点及ばず敗北、大きな感動を残して姿を消しました。

その後アスカも年齢詐称問題で涙の謝罪会見を行ない自らステージを降り、最終的にチャンピオンに輝いたのはヨガ・リンだったわけですが、この大会を盛り上げた最大の功労者は間違いなく、アスカ・ヤンとジャム・シャオの2人だったのです。

当然レコード会社各社は彼らを見逃すはずはありませんでした。驚いたのは当時デビュー前だったジャム・シャオを、人気女性シンガー・張惠妹A-Meiがデュエット相手に指名したこと。2人が歌った『一眼瞬間』は2007年8月にリリースされた張惠妹のアルバム『STAR』に収められ、またその年の12月に行なわれた彼女のワールドツアーにも、ジャム・シャオはゲストとして参加しています。

2008年、ジャム・シャオは華納音樂Warner Musicと契約。アスカに遅れること半年、F.I.R.の阿沁や五月天Maydayの阿信、蘇打綠Sodagreenの青峰、彼が得意とする曹格らのナンバーを揃えた1stアルバム『蕭敬騰同名專輯』を同年6月にリリースしました。この作品は大陸やマレーシア、シンガポールなどアジア地域で大ヒット。各新人賞を総ナメにし、台湾の本家金曲獎でも新人賞候補となっています。以降ジャム・シャオは、2nd、3rdとコンスタントにリリースして、順調にキャリアを重ねているようです。

 

現在は俳優としても活躍中。第4弾シングル、11曲目に収録の『好想對你說』は、先月から公開中の主演映画『殺手歐陽盆栽』の主題歌です。10曲目にも同名曲がありますが、そちらは『悲傷版』とクレジットされていますね。共に自身が作詞作曲をしたナンバーです。

 

本作『狂想曲』にはC-POPのCDではお馴染みのバージョン違いが幾つもあって困ってしまいますが、写真集付きの限定盤『寫真預購限量 A版』のジャケットがいちばんカッコイイかなぁ。円高のわりには値段はそこそこするので僕はスタンダード盤をチョイスですが^^;。アスカとジャム・シャオ、セットでいかがでしょうか。

 

コチラはPK戦3戦目、超級星光大道【終極版指名踢館賽】の映像。アスカとのリマッチで敗れ、ジャム・シャオ落涙す。そして再会を誓い合う感動のエンディング。


Unofficial

たしかにこの2人のデュエット、アルバムで聴いてみたいですねー。

 

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