令和4年7月2日、土曜日。時刻は午後5時50分になりました。
皆さん、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。人知れずコッソリ不定期放送中、フェイクラジオ・sasanoji電台です。
さあいよいよ今夜、日本時間で午後8時(レッドカーペットは午後5時50分)から、台湾のグラミー賞こと第33屆金曲獎の発表授賞式が始まります。以前ノミネートリストが出たときに、今回の予想はパスしよっかな〜みたいな、あまり気乗りがしないようなことを言っておりましたがww、台湾ポップスファンにとっては年に一度の大イベントですのでね、勉強を兼ねて今年もやることにいたしました。
ただ、今回の選考基準はいつにも増して不可解…というか、僕にとっては謎の部分が多すぎて、予想ムリ~、というのが正直なところです。前回とはまた違った意味での難しさがありましたね~。その辺りのことについてもポロポロと愚痴りながら、演唱類(ボーカルカテゴリー)の主要部門のみとなりますが予想をしていきます。よろしければ、しばらくお付き合いくださいませ。
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今年は…いや今年もですね、記事が完成しませんでした。スミマセン^^;。なのでアーティストや作品の個別の解説は、出来ていたものも含めてすべてオミットしています。ちょっともったいないですが、また何か別の機会にでも使うことにしましょう。
まずは《作品部門》からです。金曲獎の部門は正式には《出版獎》と《個人獎》の2つに大きく分けられていますが、ここでは便宜的に《作品部門》、《歌手部門》、《関連部門》の3つに分けて紹介しています。予めご了承ください。
《作品部門》
【年度專輯獎】
最優秀年間アルバム賞です。華語、台湾語、客家語、原住民語の各アルバム部門の全候補23作品の中から、真のナンバーワンアルバムを決定します。
昨年は原住民語アルバム、桑布伊Sangpuyの『得力量』が受賞しました。が、久々に“ねじれ”ましたね。つまり言語アルバム賞を獲っていない作品が、年間アルバム賞を受賞した、ということなのですけども、こういった“ねじれ受賞”は前回を含めこれまでに二度ありました。そのいずれもが、偶然だと思いますが同じ桑布伊だったんですね。それで余計に気になってしまいました。昨年の評審団長・鍾成虎Tiger Chungはこのねじれ受賞について、言語アルバム部門と年間アルバム部門では評価のポイントが異なるのでおかしくはない、と言っておりましたが、いや~そこは同じにしないとオカシイんじゃないですか?と、sasanoji電台は思うんですけどね。その辺については前回の反省会でも愚痴ってますので、気になる方はご覧になってみてください。
では、sasanoji電台の予想です。
本命台語專輯
WINNERは、台湾語アルバムから出ると予想します。前回までの受賞順は、原住民語、華語、華語、原住民語、原住民語となっています。原住民語アルバムは2年連続で受賞してますので、いくらなんでも3年連続はないでしょう、華語も既に受賞済み、となると、台湾語か客家語がそろそろ来てもよさそうな気がします。今回は台湾語が最も話されている地域、台湾南部・高雄での開催ということで、台湾語アルバムを本命としました。
追記:
第33屆金曲獎【年度專輯獎】は、蔡健雅『Bluebirds』(華語)が受賞しました。おめでとうございます!予想、外しました~。
【年度歌曲獎】
黃連煜Ayugo『滅人山 feat. 桑布伊』
蔡健雅Tanya Chua『Bluebirds』
魏如萱Waa Wei『奶奶』
黃明志Namewee『玻璃心 feat. 陳芳語』
韋禮安Weibird『如果可以』
茄子蛋EggPlantEgg『愛情你比我想的閣較偉大』
ØZI x 蛋堡Soft Lipa『跑馬燈DEATH TRIP』
徐佳瑩LaLa Hsu『雛形』
最優秀年間楽曲賞です。
候補は8作品です。ここ3年ほど7枠の回が続いていましたが、今回は1枠多くなっています。10年前は5枠だったので、かなり増えた印象ですね。それに関して今回の評審団長を務める音楽プロデューサーの阿弟仔Adiaは、楽曲のエントリー数が年々増加していて選考が難しくなっている。将来的には(WINNERを決めない)年度十大楽曲制にすることも1つの選択肢として提案した、みたいな、とんでもないことを口走っていたようですが、それはヤ、メ、ロと言いたいです。
ノミネート経験者は蛋堡を入れて5名です。蔡健雅と徐佳瑩が3回目。蛋堡、黃明志、茄子蛋が2回目。魏如萱、韋禮安、黃連煜、ØZIは今回が初ノミネートです。あ、魏如萱も初なのですね。これは意外でした。受賞経験者はいません。誰が受賞しても初受賞となります。ちなみに過去最も受賞回数が多いのは蔡依林で、4回ノミネートされて、3回受賞しています。
では、sasanoji電台の予想です。
本命蔡健雅Tanya Chua『Bluebirds』
対抗魏如萱Waa Wei『奶奶』
単穴黃連煜Ayugo『滅人山 feat. 桑布伊』
本命は蔡健雅の12th華語アルバム『DEPART』のOPナンバー『Bluebirds』としました。この部門は例年、メロディよりも歌の内容のほうを重視している印象があったのですが、どうも今回はそうでもなさそうな気がしたので、メロディが最も美しいと感じた『Bluebirds』を選びました。
対抗は魏如萱の7thアルバム『HAVE A NICE DAY』のOPナンバー『奶奶』です。林以樂が作曲で参加しています。いきなり桃太郎の歌が聞こえてきてビックリしますよね。じつは魏如萱と魏如昀の姉妹は両親との縁が薄く、お祖母さんが母親代わりになって2人を育てました。お祖母さんは日本語が喋れる世代なので、きっとWaaが子供の頃いっしょに歌った思い出の歌なのでしょう。愛と感謝の気持ちが溢れる、今回の候補の中で最も温かく微笑ましい曲です。
単穴は、中国共産党と小粉紅[*1]を揶揄した歌詞が話題を呼んだ黃明志の『玻璃心』と迷ったのですが、客家金曲歌王・黃連煜の6th客家語アルバム『滅人山』のタイトルナンバー『滅人山』にしました。これはかつて一攫千金を夢見て大陸から死の山・台湾に渡って来た、自分たちの祖先のことを歌っているのでしょうか。そのゲストボーカルに原住民族・卑南(プユマ)族出身の桑布伊を迎えた意味、おそらく深いものがあるのだろうと思います。もしも黃明志が獲ったら、それはそれでエライことになりそうですよね。
昨年のKKBOX年間シングルチャート1位の茄子蛋『愛情你比我想的閣較偉大』と11位の韋禮安『如果可以』は共に映画の主題歌で、第58屆金馬獎《最佳原創電影歌曲》部門にノミネートされておりましたが、前回の受賞作『刻在我心底的名字』(盧廣仲)も映画の主題歌だったので、今回はないだろうと読みました。『如果可以』は『那些年』に続く映画主題歌の新たなスタンダードになりそうな予感がしますね。
追記:
第33屆金曲獎【年度歌曲獎】は、茄子蛋の『愛情你比我想的閣較偉大』が受賞しました。おめでとうございます!予想、外しました~。
【最佳華語專輯獎】
詹雯婷Faye『Faye詹雯婷 在雲彩上跳舞 嘰嘰喳喳』
李權哲Jerry Li『愛情一陣風』
蔡健雅Tanya Chua『DEPART』
魏如萱Waa Wei『HAVE A NICE DAY』
無實物藝術團Non-physical Troupe(NPT)『夜間模式』
崔健Cui Jian『飛狗』
最優秀華語アルバム賞です。
ここは昨年と同じ6枠ですが、今回は大陸アーティストの作品が2枠を占めています。大陸の音楽プロデューサー・彭飛と作詞家・李聰によるユニット・無實物藝術團と、大陸のレジェンド・崔健ですけども、これはどうなんですかね。評審団長の阿弟仔は、前回の金曲獎から《國語》部門の名称が《華語》に改められたことで、大陸の華語作品もエントリーしやすくなるだろうと語っていますが、それをやり始めたらたぶん収拾がつかなくなると思いますよ。じゃあ広東語作品は?という話も出てくるでしょうし…。愚痴はこれくらいにして。
蔡健雅は6回目のノミネート、これで最多の周杰倫と並びました。次に多いのが莫文蔚、蔡依林、張惠妹、そして魏如萱の4回ですが、蔡健雅と魏如萱は未だ受賞はしていません。え、そうだっけ?という感じですが。この2人は2012年の第23屆で一度いっしょに選ばれてますが、その年は五月天の『第二人生』が受賞しています。とくに蔡健雅は初めてこの部門にノミネートされたのが2006年の第17屆ですから、本人的にはどんな気持ちなんでしょうね。ホントこの2人には同じ回で当たってほしくなかったです。詹雯婷、李權哲、無實物藝術團、崔健は初ノミネートです。
では、sasanoji電台の予想です。
本命蔡健雅Tanya Chua『DEPART』
対抗魏如萱Waa Wei『HAVE A NICE DAY』
単穴詹雯婷Faye『Faye詹雯婷 在雲彩上跳舞 嘰嘰喳喳』
ここも本命は蔡健雅としました。12枚目の華語アルバム『DEPART』です。自宅スタジオで収録したデモテープをほぼそのまま使用したDIY的作品で、2010年以前の蔡健雅に戻ったかのようなシンプルな雰囲気と、これまでにない深みと広がりを合わせ持った作品に仕上がっています。これはもぉ~…あげましょうよ。ねえ^^。
となると対抗はやっぱり、魏如萱ですかね。7thアルバム『HAVE A NICE DAY』です。プロデュースは彼女の長年の盟友・陳建騏、韓立康、黃少雍の3名。安定感、安心感があります。キュートでアンニュイでロマンチックでちょっとキッチュな魏如萱らしいナンバーが揃っています。これも弱点らしい弱点が見つかりません。
単穴は、F.I.R.飛兒樂團の初代ボーカル・詹雯婷の2ndアルバム『Faye詹雯婷 在雲彩上跳舞 嘰嘰喳喳』でどうでしょう。彼女自身が制作プロセス全体に携わったというこのアルバム、これから自分が進んでいく方向性を示した意欲作です。
今回の候補の中で唯一の20代、李權哲の『愛情一陣風』は、とにかくセンスが良いですよね。ちょっと唐突なノミネートだった気がしないでもないですが、期待していいと思います。大陸アーティスト作品の受賞は~、ないでしょう~?
追記:
第33屆金曲獎【最佳華語專輯獎】は、本命・蔡健雅『DEPART』が受賞しました。おめでとうございます!
【最佳台語專輯獎】
新寶島康樂隊New Formosa Band『剪剪花』
百合花Lilium『不是路』
血肉果汁機Flesh Juicer『GOLDEN 太子 BRO』
王俊傑Wang Jun-Jie『看無』
江惠儀Joey Chiang『空』
張涵雅Hanya『下半場』
最優秀台湾語アルバム賞です。
昨年と同じ6枠です。常連・蕭煌奇が入っていないのが少々気になりますが…。受賞経験者はいません。誰が獲っても初受賞となります。
新寶島康樂隊は5回目のノミネート。江惠儀は3回目。百合花と張涵雅は2回目。血肉果汁機と王俊傑は初ノミネートです。ちなみに受賞回数が最も多いのは江蕙で、7回ノミネートされて4回受賞。次いで蕭煌奇が6回ノミネートされて3回受賞。陳建瑋は2回ノミネートされて2回とも受賞しています。
では、sasanoji電台の予想です。
本命百合花Lilium『不是路』
対抗新寶島康樂隊New Formosa Band『剪剪花』
単穴血肉果汁機Flesh Juicer『GOLDEN 太子 BRO』
本命は台湾の伝統音楽と現代のロックを融合させた独特の雰囲気が魅力のバンド・百合花の2ndアルバム『不是路』です。2年前の第31屆金曲獎でノミネートされた1stアルバム『燒金蕉』も傑作でしたが、今作はそれ以上だと思います。プロデュースは前作に続いてワンマンエレクトロユニット・音速死馬が担当。台湾の古典芸能・南管と北管[*2]を本格的に学んでいるボーカル・林奕碩の圧倒的技巧、伝統と現代を激しく行き来するサウンドは目眩しそうなくらい魅惑的です。2年前、獲ると予想して外したのでリベンジも込めて。
対抗は、陳昇、黃連煜、陳世隆ら台湾音楽界の重鎮3名によるベテランオヤジユニット・新寶島康樂隊の12thアルバム『剪剪花』です。5年ぶりのアルバムとなる本作は、新寶島のオヤジ3名に台三線樂團のオヤジ8名を加えた、総勢11名のオヤジによる流行にとらわれない自由奔放な精神が溢れるエネルギッシュな作品。12曲目『海洋之心』では突然日本語が聞こえてきて涙が出そうになりました。前向きオヤジたちに元気を分けて貰ったような気分になる、笑えて泣けてカッコよくてロマンチックな1枚です。
単穴は、昨年の第12屆金音創作獎[*3]で《最佳專輯》《最佳樂團》《最佳現場演出》の3賞に輝いた2006年結成の台湾語ヘビメタバンド、血肉果汁機の3rdアルバム『GODLEN 太子 BRO』です。僕はヘビメタ系がどちらかというとあまり得意ではなくて、ふだん積極的には聴いていないのですが…、血肉果汁機、イイじゃないですかww。金音獎とのW受賞、あるかもしれません。
追記:
第33屆金曲獎【最佳台語專輯獎】は、本命・百合花『不是路』が受賞しました。おめでとうございます!
【最佳客語專輯獎】
黃宇寒Han『虛空現下』
黃連煜Ayugo『滅人山』
羅思容與孤毛頭樂團Lo Sirong & Gomoteu『今本日係馬』
愛客樂iColor『他鄉尋客』
彭柏邑Boiii P『塹』
最優秀客家語アルバム賞です。
昨年と同じ5枠です。受賞経験があるのは黃連煜と羅思容の2人ですね。黃連煜は今回が5回目のノミネートで、2008年、2015年、2018年の3回受賞。羅思容は今回が3回目のノミネートで、2012年と2019年、過去2回とも受賞しています。愛客樂は羅思容が受賞した2019年以来3年ぶり3回目。黃宇寒は1stアルバムでノミネートされた2020年以来2回目。彭柏邑は今回1stアルバムで初ノミネートです。
では、sasanoji電台の予想です。
本命愛客樂iColor『他鄉尋客』
対抗黃連煜Ayugo『滅人山』
単穴黃宇寒Han『虛空現下』
本命は、2013年結成、邱廉欽(Vo)と戴陽(Gt)による2人組ユニット・愛客樂の5thアルバム『他鄉尋客』にしました。かつて海を渡って大陸からやって来た台湾客家の祖先たちの姿と、学ぶため、働くため、夢のために故郷を離れ懸命に生きている現代の自分たちの心情を重ねて描いています。これは《伝統》と《現代》のバランスが絶妙ですね。どの世代の人が聴いても楽しめるアルバムだと思います。邱廉欽の歌唱も素晴らしいです。聴き惚れてしまいました。
対抗は、新寶島康樂隊のメンバーでもある黃連煜の6thアルバム『滅人山』です。客家金曲歌王、3回受賞していても手加減なしです。愛客樂と同じく自分たちのルーツをテーマとした作品ですが、コチラは先人が辿ってきた歴史のほうにフォーカスしています。全体的にハードでブルージー。ズッシリと聴き応えがある1枚です。中でも黃連煜の息子・黃聖丰と黃聖球がギターで参加したナンバー『愛到你』は必聴です。
単穴は、2020年にデビューした新世代の客家シンガーソングライター・黃宇寒の2ndアルバム『虛空現下』です。コチラは現代的なサウンドに客家語を乗せた、若者をメインターゲットとした作品ですね。ネット上での誹謗中傷やイジメといった社会問題を扱うなど、テーマも現代的です。先の2組とアプローチの仕方は異なりますが、これも若者たちにもっと客家語の歌を聴いてもらいたい、客家文化を守っていきたいとの思いが込められた作品ですね。
追記:
第33屆金曲獎【最佳客語專輯獎】は、対抗・黃連煜『滅人山』が受賞しました。おめでとうございます!
【最佳原住民語專輯獎】
野東西Wild Things『溯』
Osay Hongay燕春阿嬤(簡燕春)『靜靜地等待著』
陳建年Paudull『pongso no Tao』
N1『N1:那屋瓦一號作品』
小島大歌Small Island Big Song『我們的島』
Kerekelj禎禎(沈昉禎)『iya manu maitucu 我以為我不知道』
最優秀原住民語アルバム賞です。
候補は昨年より1枠多い6作品です。近年、台湾では民族独自の文化を重視しようというムーブメントが大きくなっていますけども、とりわけ注目を集めているのが原住民族の文化です。それを象徴するように金曲獎でも原住民族作品がクローズアップされる機会が多くなってきました。ここもそのうち6枠が標準になっていくのでしょう。
ノミネート経験者はいません。原住民金曲歌王・陳建年(紀曉君や家家のおじさん)もここは初めてです。陳建年は金曲獎自体には演奏類(インストゥルメンタルカテゴリー)を含めてこれまでに4回、延べ5部門にノミネートされていて、その5つすべてを受賞しているという金曲獎強者です。今回は3部門でノミネートされていますが、どうなるでしょうか。
では、sasanoji電台の予想です。
本命小島大歌Small Island Big Song『我們的島』
対抗Osay Hongay燕春阿嬤『靜靜地等待著』
単穴N1『N1:那屋瓦一號作品』
本命は小島大歌の2ndアルバム『我們的島』です。小島大歌というのはグループ名ではなくて、台湾人プロデューサー・陳玟臻とオーストラリア人プロデューサー・Tim Coleが、南洋の島国の伝統音楽をコレクションし保護していこうと2015年に立ち上げたプロジェクトの名称なのですね。台湾、モーリシャス、マダガスカル、タヒチ、オーストラリア、マーシャル諸島など南洋の島国の原住民族アーティストが参加したコンピレーションアルバムで、これを単純に台湾原住民語アルバムで括ってしまっていいのかと戸惑ってしまうくらいグローバル。そしてアンビエントでエコロジカルな作品です。
対抗は、阿美(アミ)族・太巴塱(タパロン)部落のおばあちゃん、Osay Hongayの『靜靜地等待著』としました。僕はこの方のことも、このアルバムのことも、今回のノミネートリストを見るまで、まっっったく知りませんでした。プロデューサー・TitanがOsay Hongayの自宅で収録したと思われる太巴塱古謡に、排灣(パイワン)族出身のギタリスト・保卜、アルゼンチン出身のジャズピアニスト・Musa(明馬丁)ら実力派アーティストたちによる現代的なサウンドを重ねてカッコよく仕上げています。こんな81歳のおばあちゃんの作品に出会えたりするのも、金曲獎の良いところですよね。
単穴は、2020年の第31屆金曲獎で3部門を受賞した排灣(パイワン)族出身の女性アーティスト・阿爆ABAOが、民族の文化を守ろう、継承しよう、若手クリエイターを応援しようと起ち上げた原住民族レーベル《Nanguaq那屋瓦》の第1号アルバム『N1』です。原住民族出身の若手アーティスト7名の楽曲を収録したオムニバス形式の作品で、とても若々しい現代的なサウンドの原住民語アルバムとなっています。これは外に向けての訴求力が高いですよ。今回の金曲獎では多様性を重視しているとのことなので、小島大歌と同じく期待していいと思います。
追記:
第33屆金曲獎【最佳原住民語專輯獎】は、陳建年『pongso no Tao』が受賞しました。おめでとうございます!予想、外しました~。
【最佳MV獎】
美秀集團Amazing Show『馬克吐溫』(導演:林毛)
徐佳瑩LaLa Hsu『以上皆非』(導演:比爾賈)
余佩真JenJen『甘吧爹ㄋㄟ』(導演:蔡宜豫)
盧廣仲Crowd Lu『自我的介紹』(導演:殷振豪)
血肉果汁機Flesh Juicer『我是一隻瘋狗,爽喔!feat. BAT』(導演:林士鈞)
ØZI x 蛋堡Soft Lipa『跑馬燈DEATH TRIP』(導演:ØZI,李品賢)
作品部門の最後は、最優秀MV賞です。
今回は831本のMVがエントリー、最終候補は昨年より2枠少ない6作品となっております…が、どうですかね。このリストを見たとき僕は…、正直に言っていいですか、ガッカリしました。関係者の皆さん、スイマセン。あくまでも個人的な感想です。
まず全体的に暗いんですよね部門の雰囲気が。陰鬱だし、暴力的だし…。唯一、余佩真の『甘吧爹ㄋㄟ』だけは救いがありますが。たしかに2021年はコロナ禍で明るい年ではなかったかもしれませんが、だからといって…ねぇ。まあ…どうしちゃったのかなこれは、という感じです…。
さて、ノミネートの経験がある監督さんは2人、比爾賈と殷振豪ですね。比爾賈は今回を含めて8回、計11作品がノミネートされている金曲奬の常連…というか今では徐佳瑩のダンナさんとしても知られていますけども、10年前、2012年の第23屆で一度受賞しています。回数と作品数が合っていないのは、一度に複数の作品がノミネートされた回があるからですね。殷振豪は今回が2回目で、初めてノミネートされた2020年の第31屆(告五人『紅』)でいきなり受賞した、近年最も名を上げている監督さんの1人です。
では、sasanoji電台の予想です。
本命余佩真JenJen『甘吧爹ㄋㄟ』(導演:蔡宜豫)
対抗ØZI x 蛋堡Soft Lipa『跑馬燈DEATH TRIP』(導演:ØZI,李品賢)
単穴徐佳瑩LaLa Hsu『以上皆非』(導演:比爾賈)
本命はもう『甘吧爹ㄋㄟ』にするしかないでしょう。S電賞2021でもBest Music Videoに選んでおりますし。監督は国立台北芸大ニューメディアアート系出身の新鋭女性動画クリエイター・蔡宜豫。余佩真の歌もぶっ飛んでますが、MVもクレイジーですよねww。コロナ禍で身も心もヘタっていた時に、このMVを観てホント元気を貰いました。音楽と映像が見事にマッチした、よく出来たMVだと思います。拍手。
対抗は『跑馬燈DEATH TRIP』…かな。監督はØZI本人と、映像制作会社・時間軸影像製作TimeLine Studioの李品賢。先日ピックアップしたLÜCYやLEEのMVを手掛けている監督さんですが…。蛋堡の娘さんカワイイよね、という感想しか出てこないww。
単穴は『以上皆非』にしました。比爾賈のMVはいつも芸術的で美麗なのですが、高尚すぎて僕には理解出来ません。理解出来ませんが、夫婦共作で注目度が高いと思うので、単穴にしてみました。
今回のMV部門はホントわかりません。だぶんこの3つじゃないと思います。
追記:
第33屆金曲獎【最佳MV獎】は、本命『甘吧爹ㄋㄟ』が受賞しました。おめでとうございます!
以上、《作品部門》の予想でした。
最後、投げやりになってしまいました。ゴメンナサイ。でも金曲獎のMV部門、本当に毎年楽しみにしていたのですよ。今までこんな気持ちになったことなかったのですけどね…。手前味噌ですがsasanoji電台が選んだBest Music Videoのほうがよほど良いんじゃないかしら、と思ってしまいましたww。
ではここで一旦休憩です。後半の《歌手部門》も、引き続きおつきあいくださいませ。
こちらは台湾ポップス専門チャンネル・sasanoji電台です。東京練馬の自宅スタジオから生放送でお送りしております。(嘘)
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第33屆星光大道媒體訪問區
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第33屆頒獎典禮得獎感言區
後半の《歌手部門》です。今回の目玉はやはり、主要関連合わせて最多の8部門にノミネートされているベテラン・蔡健雅Tanya Chuaということになるでしょう。正直、また彼女が真ん中に居る金曲獎を観ることが出来るなんて思ってもいませんでした。ただ、たくさんノミネートされたからといって、たくさん受賞出来るとはかぎらないのが金曲獎なので、獲れたとしても多くて3つ、少なくて2つ、おそらく今回もそんな感じではないでしょうか。7部門ノミネートの魏如萱Waa Weiと6つの部門で競合しているので、これは見応えのある金曲獎になりそうですよ。
《歌手部門》
【最佳華語男歌手獎】
盧廣仲Crowd Lu『勵志論』
許鈞Xu Jun『美夢公司』
YELLOW黃宣『BEANSTALK』
馬念先Ma Nien-Hsien『Mama Jeans and Daddy Shoes』
裘德Jude Chiu『最後的水族館』
崔健Cui Jian『飛狗』
最優秀華語男性歌手賞です。
今回最大の謎部門です。枠は昨年と同じ6枠ですが、その内の3枠を大陸アーティストが占めています。半分が大陸アーティストって…、ここ10年では記憶にないです、ていうかそれ以前もないですけどね。
そもそも男性歌手部門は女性歌手部門に比べて低調というか、世代交代が遅れていて、ずっと5枠の状態が続いていました。2017年の第28屆は稀に見る当たり年で7枠まで増えたこともありましたが、ほとんどは5枠でした。それがここ何年か男性陣のほうも世代交代が進んで状況が良くなってきて、前回、前々回は1枠増の6枠で争われたのですけども、その増えた1枠も実際には大陸アーティスト枠、みたいな感じではあったんですよね。それが今回は3枠って…。金曲獎としてはかなり異常だと思います。本当に彼らに勝る台湾アーティストはいなかったんですかと、審査員に問いたくなりましたね。
ここでも何度か触れていますが、台湾では近年、民族独自の文化を重視する動きが強くなってきています。金曲獎も間違いなくその流れに沿った運営をしています。中華圏で最も影響力があると言われた音楽賞から、台湾の独自色を強く押し出した音楽賞へと変わっていこうとしている、これはネット配信が時代の主流となって、台湾でリリースされたCD作品を対象とする意義が失われたということでもあるのですが、そのジレンマが今回大きく出たのかなという気がしました。扱う大陸作品の規模では歴史ある大陸の音楽賞・東方風雲榜に敵わないでしょうし、選考過程のわかりやすさ、公平性ではシンガポールのFreshmusic Awardsに及ばないとしたら…。台湾金曲獎はこれからどこを目指し、どう変わっていこうとしているのか、方向性をもっと明確に示してほしかったなと思います。
何をやっているんでしたっけ、あ、最佳華語男歌手獎の予想だ。もう締めに入っているような気分になってましたww。
ノミネート経験があるのは盧廣仲と、大陸アーティスト・裘德の2人です。盧廣仲は先ほどお話をした当たり年、2017年の第28屆以来2回目。裘德も初めてノミネートされた2020年の第31屆以来2回目です。受賞経験者はいません。誰が獲っても初受賞となります。過去最もノミネート回数が多いのは陳奕迅と王力宏の9回で、陳奕迅は3回受賞、王力宏は2回受賞しています。次いで多いのが周杰倫の8回で、うち2回受賞。その次が林俊傑、陶喆、張學友の7回で、林俊傑は2回、陶喆と張學友は1回、それぞれ受賞しています。いかに彼らの時代が長かったかを物語る数字ですよね。
では、sasanoji電台の予想です。
本命盧廣仲Crowd Lu
対抗馬念先Ma Nien-Hsien
単穴YELLOW黃宣
本命は盧廣仲です。コレを言うと彼のファンに怒られてしまいそうですが、音楽賞に愛されている方だなという印象は、ずっと持っていました。いろいろな音楽賞がありますが、ノミネートされたら9割近い確率で受賞しているんですよね。ただ、金曲獎はこれまでに4回、延べ8部門にノミネートされて5部門受賞しているのですが、最佳作曲人獎が2回、年度歌曲獎が2回、もう1つは最佳新人獎なので、意外と恵まれていなかったりします。今回は最佳作曲人獎と最佳編曲人獎にも名前がありますが、最佳華語男歌手獎、そろそろ獲りそうな予感がしました。アルバムも良かったですよ。作品部門のほうでノミネートされていても、今回は納得したと思います。
対抗は、個人としては金曲獎初ノミネートとなります、糯米糰Sticky Riceのボーカル兼ギタリストの馬念先です[*4]。ノミネートは最佳華語男歌手獎だけ…ですか。ジャケットの装丁を含めアルバムの出来が本当に良かったので、ここ1つだけというのはちょっともったいないですね。映画やドラマの賞で言えば最優秀主演男優賞に相当する部門ですよ。アルバム賞や楽曲賞と絡めればノミネートの説得力が増したと思うのですけど。彼だけではなくて今回は全体的に唐突に感じるノミネートがかなり多い印象を持ちました。単独でポンとノミネートされていたり、2部門、3部門だけノミネートしたりとか…。わざと散らしているようにも見えますね。
単穴はYELLOW黃宣です。金曲獎ノミネートは4年連続となります。今回は最佳華語男歌手獎と最佳編曲人獎の2部門、技術類の最佳演唱錄音專輯獎を入れると3部門ですか、ノミネートされています。昨年は最佳新人獎、残念でした。壞特?teに持って行かれてしまって。でも金曲獎は2019年の第30屆で最佳單曲製作人獎を余佳倫と共同受賞していたり、存在感はもう新人じゃなかったですから。今夜はレッドカーペットのホストですか。頑張ってください。
大陸アーティストは~、避けてもらいたいところですね。
追記:
第33屆金曲獎【最佳華語男歌手獎】は、大陸アーティストの崔健が受賞しました。おめでとうございます!予想、外しました~。
【最佳華語女歌手獎】
Karencici(林愷倫)『99% Angel』
詹雯婷Faye『Faye詹雯婷 在雲彩上跳舞 嘰嘰喳喳』
蔡健雅Tanya Chua『DEPART』
以莉・高露Ilid Kaolo『尋找你』
魏如萱Waa Wei『HAVE A NICE DAY』
袁婭維Tia Ray『月亮失眠了』
最優秀華語女性歌手賞です。
昨年と同じ6枠です。この部門はまずまず説得力がありましたね。詹雯婷、蔡健雅、魏如萱は作品部門との重複ノミネート。Karencici、大陸アーティスト・袁婭維はこの部門単独でのノミネートですが、昨年の女性歌手の中ではずば抜けて良かったので、これは納得でしょう。原住民族・阿美(アミ)族出身の以莉・高露は一瞬アレ?と思ってしまいましたが、今回は華語作品なのでコチラの対象となります。いちおう関連部門の最佳單曲製作人獎にプロデューサーの余佳倫が選ばれていますが、これもやや唐突感があるでしょうか。
あ、そうだ、今回劉若英René Liuの名前が全く出てきていないのが気になりましたね。どうしたのでしょう。蕭敬騰Jam Hsiaoみたいに後進に枠を譲るために自らエントリーを辞退したということであれば理解出来るのですが…。艾怡良Eve Aiが主要部門を逃したのも驚きでしたね。本人的にもショックだっただろうと思います。あと吳汶芳Fang Wuもね~、どこかに絡んでいてほしかったですね。
蔡健雅はこの部門なんと10回目のノミネートです。第17屆(2006年)、第19屆(2008年)、第23屆(2012年)の三度受賞していて、これは張惠妹A-mei(A-mit名義も含む)と並んでトップ。ちなみにノミネート回数が最も多いのは張惠妹の14回で、蔡健雅は第2位です。魏如萱は5回目のノミネートで、2020年の第31屆で一度受賞しています。これは記憶に新しいですよね。詹雯婷は2018年の第29屆以来2回目。Karencici、以莉・高露、袁婭維は初ノミネートです。
では、sasanoji電台の予想です。
本命魏如萱Waa Wei
対抗詹雯婷Faye
単穴袁婭維Tia Ray
ここは作品部門とは順番を変えて、魏如萱を本命としました。やっぱり彼女のボーカルは素晴らしいです。いろいろな種類の味が楽しめるスイーツボックスみたいな感じで、聴いていてハッピーになりました。多様性という点から見ても、彼女がイチバンかなという気がします。
対抗は詹雯婷です。この方のボーカルはF.I.R.時代からそうですが、華がありますよね。歌壇に帰ってきてくれて本当に良かったです。先日コロナに罹ってしまったそうで今回の金曲獎は出席を見合わせるとのことですが、受賞したら自宅と会場を結んで中継、なんてシーンが見れるかもしれません。期待しましょう。
単穴は蔡健雅、ではなく、大陸アーティストの袁婭維にしました。お~い、大丈夫か~。でも袁婭維は本当に上手いですし、sasanoji電台の個人アワード・S電賞でも過去に選んでいるくらい推しているので、あり得ると思っています。これで蔡健雅が受賞したら、かなり恥ずかしいですね^^;。
追記:
第33屆金曲獎【最佳華語女歌手獎】は、蔡健雅が受賞しました。おめでとうございます!予想、外しました~。かなり恥ずかしいです^^;。
【最佳台語男歌手獎】
王俊傑Wang Jun-Jie『看無』
蕭煌奇Ricky Hsiao『舞台』
蘇明淵Justin Su『敢敢』
大支Dwagie『台灣隊長』
張伍Chang Wu『黃昏』
最優秀台湾語男性歌手賞です。
昨年と同じ5枠です。王俊傑は2013年の第24屆以来9年ぶり2回目で受賞はなし。蕭煌奇は最多7回目のノミネートで過去に4回受賞。蘇明淵は初ノミネートで初受賞した2020年の第31屆以来2回目。大支は2019年の第30屆以来2回目で受賞はなし。張伍は初ノミネートです。作品部門と重複しているのは王俊傑だけです。最佳華語男歌手獎と違って大陸アーティストが入っていませんし、実力者揃いなので説得力はありますね。
では、sasanoji電台の予想です。
本命王俊傑Wang Jun-Jie
対抗大支Dwagie
単穴張伍Chang Wu
スミマセン。ここはとくにハッキリとした理由はないです。蕭煌奇が強いのですけども、直近の2018年、第29屆で受賞しているので、今回はないかなと。もう1人の全盲アーティスト・王俊傑のほうが可能性が高そうな気がします。なので本命は王俊傑。対抗と単穴はラッパー2名、大支と張伍にしましたが、全然わかりません。スミマセン^^;。
追記:
第33屆金曲獎【最佳台語男歌手獎】は、本命・王俊傑が受賞しました。おめでとうございます!
【最佳台語女歌手獎】
朱海君Angel Chu『正確的答案』
賴慧如Huiru Lai『愛毋是一種罪』
黃妃Huang Fei『無閂』
江惠儀Joey Chiang『空』
張涵雅Hanya『下半場』
最優秀台湾語女性歌手賞です。
吳蓓雅PiA、台湾語がんばったんですけど入りませんでした。残念ですね~。悔しいだろうな~。どこかに絡めてほしかったですよね。
ここも昨年と同じ5枠です。作品部門と重複ノミネートされているのは江惠儀と張涵雅だけです。朱海君は4回目のノミネートで、2020年の第31屆で一度受賞。賴慧如は初ノミネート。ベテラン・黃妃は10回目のノミネートで、2011年(第22屆)と2016年(第27屆)の二度受賞。江惠儀は4回目のノミネートで、2019年の第30屆で一度受賞。張涵雅は6回目のノミネートですが、未だ受賞はありません。
では、sasanoji電台の予想です。
本命張涵雅Hanya
対抗江惠儀Joey Chiang
単穴賴慧如Huiru Lai
本命は張涵雅としました。今回対象となっているアルバム『下半場』は、昨年ノミネートされた『上半場』の続編にあたる作品で、『上半場』が自身の前半生、『下半場』がこれからの後半生、未来を描いた作品となっています。ということで、そろそろではないでしょうか。対抗は実力派・江惠儀、単穴は1996年生まれの若手女優兼歌手・賴慧如でどうでしょう。
追記:
第33屆金曲獎【最佳台語女歌手獎】は、対抗・江惠儀が受賞しました。おめでとうございます!
【最佳客語歌手獎】
徐世慧A May『簡單不簡單』
黃宇寒Han『虛空現下』
黃連煜Ayugo『滅人山』
謝宇威樂團Hsieh Yu-Wei Band『天空又落水』
龔德Kung Ta『00』
最優秀客家語歌手賞です。
昨年と同じ5枠です。ここは2016年から2020年まで5年連続で4枠だったんですよね。それ以前は多くて5枠、少ないときは3枠なんて回もけっこうありました。しかも男女の区別がないので、客家出身アーティストにとっては狭き門だったし、注目度もあまり高くなくて、なので彼らが自分たちの母語ではなく華語や台湾語で歌うのも仕方がない状況ではありました。ところが近年になって民族独自の文化を大切にしようという気運が高まるにつれて客家語で歌う若者たちが増えてきて、それが明るい兆しとして枠数にも表れているのだろうと思います。
黃宇寒は2020年の第30屆以来2回目。黃連煜は5回目のノミネートで、2008年(第19屆)と2015年(第26屆)の二度受賞。謝宇威は6回目のノミネートで、2004年(第15屆)、18年前に一度受賞しています。徐世慧と龔德は初ノミネートです。
では、sasanoji電台の予想です。
本命徐世慧A May
対抗黃宇寒Han
単穴龔德Kung Ta
本命は徐世慧としました。この方は初ノミネートですが、音楽キャリア自体は長いらしく、30年以上、自分の楽器店を経営されていて、ピアノやギターの先生、バンド・火焰樂團Fireのボーカルなども務めているようです。2016年に1stアルバム『多年以後』をリリース。それ以来のアルバムということでしょうか。
対抗はsasanoji電台の推し・黃宇寒ですね。僕は彼女の登場が近年の客家浮上の呼び水になったと考えています。語弊はあるかもしれませんが、2020年(第30屆)の彼女のノミネートには、客家語でもカッコよく歌えるんだと、現代的なサウンドに乗せて歌ってもいいんだと今の客家の若者たちが思うキッカケがあったのではないかと。単穴に選んだ龔德にも、黃宇寒と同様のイメージを持っています。
追記:
第33屆金曲獎【最佳客語歌手獎】は、黃連煜が受賞しました。おめでとうございます!予想、外しました~。
【最佳原住民語歌手獎】
Osay Hongay燕春阿嬤(簡燕春)『靜靜地等待著』
陳建年Paudull『pongso no Tao』
舞思愛Usay Kawlu『那葡萄樹上的女孩』
舒米恩・魯碧Suming Rupi『O Milaladiway 詠歌者』
Kerekelj禎禎(沈昉禎)『iya manu maitucu 我以為我不知道』
最優秀原住民語歌手賞です。
昨年と同じ5枠です。ここは年によって多いときは6枠とか、少ないときは3枠とか増減の幅がけっこうありますね。
Osay Hongay、陳建年、舞思愛、Kerekeljの4名は初ノミネートです。舒米恩は5回目ですが、受賞はまだでしたか~。舒米恩~、どうしようかな~。
では、sasanoji電台の予想です。
本命舞思愛Usay Kawlu
対抗Kerekelj禎禎(沈昉禎)
単穴舒米恩・魯碧Suming Rupi
本命は1989年生まれの33歳、阿美(アミ)族出身の女優兼歌手・舞思愛としました。人気オーディション番組《超級星光大道》第7シーズン(2010-2011年)の出身で、これまで女優業を中心に活動していたようですが、昨年原住民族レーベル・風潮音樂と契約、1stアルバムをリリースしました。さすが女優、表現力が豊かですね。以前、金曲獎を獲りそうな気がすると第2廣播(Twitter)のほうでつぶやきましたが、獲りそうな気がするよ~^^。
対抗は排灣(パイワン)族出身のシンガーソングライター・Kerekelj禎禎です。これもオススメですね。現代的なサウンドに原住民語を乗せた、若い世代が聴きやすい雰囲気の作品となっています。雅維·茉芮Yaway‧Mawrin(g)に近いでしょうか。客家語にしても原住民語にしても、どうすれば若者たちに聴いてもらえるかが今の重要なテーマの1つなんですよね。
単穴は、阿美(アミ)族出身の男性アーティスト・舒米恩にしました。そろそろ獲ってくれよと、そんな気持ちで。それにしても81歳のおばあちゃんのアルバムのほうがカッコよく聞こえてしまうのは何なんですかね^^。伝統のほうに寄ったほうがいいのか、それとも現代のほうに寄ったほうがいいのか、バランスが難しいですね。
追記:
第33屆金曲獎【最佳原住民語歌手獎】は、簡燕春が受賞しました。おめでとうございます!予想、外しました~。
【最佳樂團獎】
I Mean Us『Into Innerverse』
野東西Wild Things『溯』
美秀集團Amazing Show『多色寶山大王』
無妄合作社No-nonsense Collective『No Mercy』
血肉果汁機Flesh Juicer『GOLDEN 太子 BRO』
TRASH『Holy Trip!』
13月終了Undecimber Fin『和你蠻像的一隻』
最優秀バンド賞です。
なんで傻子與白痴Fool and Idiotが入っていないですかね、拍謝少年SORRY YOUTHが入っていないですかね、A Piece Of Cake 256が入っていないですかね。ここに百合花Liliumが入っていないのはおかしいですよね。なんで…、まあいいや。
昨年と同じ7枠です。ここは相変わらず独立系(インディーズ)が強いですね。TRASHだけがメジャー…、あれ?このパターン、前にもありましたか。2020年の第31屆…だ。TRASHだけがメジャーで、あとの6組はインディーズだったやつですけども、結局その回は独立系の滅火器Fire EX.が受賞しました。いやあメジャーの受賞、ホント最近ないですね。2016年(第27屆)、蘇打綠Sodagreenが『冬 未了』で獲ったのが直近ですか。
金曲獎、今回もまた尖ったバンドを並べてますよww。ノミネート経験アリは、美秀集團と血肉果汁機、TRASHの3組。あとは初ノミネートですが、あ~美秀集團と血肉果汁機は、2組とも2019年の第30屆以来二度目ですね。また一緒になってしまいました。本当にココは悩ましい部門です。
では、sasanoji電台の予想です。
本命TRASH
対抗血肉果汁機Flesh Juicer
単穴無妄合作社No-nonsense Collective
本命は、メジャーのTRASHにしました。ずっとインディーズに浸っていると、たま~に聴くメジャーがすごい聴きやすかったりするんですよ~。今、そういう気分だったということです。で、対抗は血肉果汁機、ですね。これも合う気分のときがあるということでww。そして放心した後に、単穴の無妄合作社を聴くと、収まりが良いかなと。
追記:
第33屆金曲獎【最佳樂團獎】は、対抗・血肉果汁機が受賞しました。おめでとうございます!
【最佳演唱組合獎】
※三牲獻藝の公式MVは見つかりませんでした。
三牲獻藝sam-seng-hiàn-gē『八仙』
新寶島康樂隊New Formosa Band『剪剪花』
動力火車Power Station『都是因為愛』
VH(Vast & Hazy)『文明』
影子計劃Shadow Project『TAKE A BREATH』
恐龍的皮The Dinosaur's Skin『Millions of Years Apart』
最優秀ボーカルグループ賞です。
昨年より1枠多い6枠です。6枠は…2017年の第28屆以来ですか。いろいろなタイプのグループが出てきてますので、その影響もあるでしょう。原子邦妮Astro Bunny、南西肯恩Neci Ken、棉花糖katncandix2は残念ながら今回は入っていません。
動力火車は歴代最多の9回目のノミネートで、2005年(第16屆)に一度受賞。新寶島康樂隊は5回目のノミネートで2012年(第23屆)に一度受賞。VH(Vast & Hazy)は2019年(第30屆)以来二度目。三牲獻藝、影子計劃、恐龍的皮は今回が初ノミネートです。
では、sasanoji電台の予想です。
本命VH(Vast & Hazy)
対抗恐龍的皮The Dinosaur's Skin
単穴三牲獻藝sam-seng-hiàn-gē
本命はVH(Vast & Hazy)です。この中で今いちばん勢いがあるのが彼らだと思います。ギタリストの林易祺は他アーティストのプロデューサーとしても活躍していますし、ボーカルの顏靜萱はボーカルコーディネートや前職を活かして製作の裏方を務めるなど2人ともアクティブですよね。本当に才能豊かなユニットだと思います。
対抗は恐龍的皮です。被り物を含め話題性はじゅうぶんですよね。目にする機会、耳にする機会が多かったので、かなり強く印象に残っています。問題は単穴の三牲獻藝ですけども、コレはいろいろなバンドのメンバーが参加している作品で、本来はアルバム部門で扱うべきだと思うんですね。それをわざわざココに入れたということは、何か思惑があるのではないかな~と深読みして単穴にしてみました。だいたいこういう時って何か企んでいるのですよ金曲獎の人は。
追記:
第33屆金曲獎【最佳演唱組合獎】は、新寶島康樂隊New Formosa Bandが受賞しました。おめでとうございます!予想、外しました~。
【最佳新人獎】
裝咖人Tsng-kha-lâng『夜官巡場』
雷擎L8ching『Dive & Give』
當代電影大師Modern Cinema Master『告訴我他們都在本來的什麼地方』
許光漢Greg Han『許光漢』
呂彥良Matt Lv『新鮮的靈魂』
Haezee(黃瑋昕)『LOVE MAZE』
珂拉琪Collage『MEmento・MORI』
最後は最優秀新人賞です。
昨年と同じ7枠です。ここ最近すっと7枠が続いていますね。新人部門、好調です。ただ今回僕は勉強不足でこの中の3組、裝咖人、當代電影大師、呂彥良は聴いたことがありませんでした。それから、ここにLEEがいないのが謎ですね。張懷顥Mikeもいないですが、彼は新人という扱いにはならないのかもしれませんが。
では、sasanoji電台の予想です。
本命珂拉琪Collage
対抗雷擎L8ching
単穴Haezee(黃瑋昕)
本命は珂拉琪にしました。インパクトはこの中ではイチバンでしょうね。今回の金曲獎のテーマである多様性についても、彼らに勝る新人はいないと思います。対抗は雷擎です。彼については以前からいろいろなところで耳にする機会が多くて、僕は新人とは思っていなかったのですが、新人として評価していいのなら当然選ぶでしょう。単穴は許光漢と迷いましたが、僕は男なのでHaezeeのほうを取りました。いいですよねHaezee。今年の新人枠に花が咲いた感じがしました^^。
追記:
第33屆金曲獎【最佳新人獎】は、本命・珂拉琪が受賞しました。おめでとうございます!
以上で後半の《歌手部門》の予想は終了です。ほぼリアルタイムで書いていましたので、ちょっと駆け足になってしまいました。情報もじゅうぶんに盛り込めませんでした。申し訳ございません。関連部門は候補のみ下に載せておきますので、ご参考になさってくださいませ。このあと金曲獎が始まりますが、YouTubeでも見れるんですかね。コメント欄や第2廣播(Twitter)のほうでも情報をお待ちしております。
それでは第33屆金曲獎、一緒に楽しみましょう!お相手はsasanoji電台でした。ごきげんよう。拜拜!
* * * * * *
《関連部門》
【最佳作曲人獎】
宋念宇(小宇『等妳想起我』)
蔡健雅 (蔡健雅『Bluebirds』)
盧廣仲(盧廣仲『雨時多雲偶陣晴』)
鮮于貞娥 (魏如萱『賣花的人 feat. 鮮于貞娥』)
艾怡良 (艾怡良『貪』)
HUSH(HUSH『衣櫃歌手』)
追記:
第33屆金曲獎【最佳作曲人獎】は、HUSH(HUSH『衣櫃歌手』)が受賞しました。おめでとうございます!
【最佳作詞人獎】
羅思容(羅思容與孤毛頭樂團『測量』)
周耀輝(蔡健雅『Into The Wild feat. 阿雲嘎』)
陳昇(陳昇『去二連浩特的夜車』)
武雄(蕭煌奇『攪擾』)
葛大為(魏如萱『查有此人』)
熊信寬(熊仔『88BARS』)
追記:
第33屆金曲獎【最佳作詞人獎】は、熊信寬(熊仔『88BARS』)が受賞しました。おめでとうございます!
【最佳編曲人獎】
黃連煜(黃連煜『滅人山 feat. 桑布伊』)
鄭各均,林奕碩,林威佐,陳奕欣(百合花『拜六』)
盧廣仲,黃少雍,張瀚中,簡道生,米奇林(盧廣仲『狂迪』)
黃少雍(夏子『fu'is星星歌』)
Robot Swing(Robot Swing『AI敢會愛? feat. 陳以恆 & 洪佩瑜』)
YELLOW黃宣(YELLOW黃宣『PARADIGM』)
追記:
第33屆金曲獎【最佳編曲人獎】は、黃少雍(夏子『fu'is星星歌』)が受賞しました。おめでとうございます!
【最佳專輯製作人獎】
Everydaze(王彙筑『FAC:E』)
黃連煜 (黃連煜『滅人山』)
鄭各均(百合花『不是路』)
李權哲(李權哲『愛情一陣風』)
蔡健雅 (蔡健雅『DEPART』)
陳建騏,韓立康,黃少雍(魏如萱『HAVE A NICE DAY』)
追記:
第33屆金曲獎【最佳專輯製作人獎】は、李權哲(李權哲『愛情一陣風』)が受賞しました。おめでとうございます!
【最佳單曲製作人獎】
詹雯婷,盧律銘(詹雯婷『融雪』)
余佳倫(以莉・高露『Sally』)
陳君豪,韓立康,黃文萱(Robot Swing『AI敢會愛? feat. 陳以恆 & 洪佩瑜』)
荒井十一,彭飛(莫文蔚『這世界那麼多人』)
鍾濰宇(茄子蛋『愛情你比我想的閣較偉大』)
ØZI,杜振熙(蛋堡),Ian Jeffrey Thomas(ØZI x 蛋堡『跑馬燈DEATH TRIP』)
陳君豪,徐佳瑩(徐佳瑩『以上皆非』)
追記:
第33屆金曲獎【最佳單曲製作人獎】は、陳君豪,徐佳瑩(徐佳瑩『以上皆非』)が受賞しました。おめでとうございます!
* * * * * *
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脚注
*1:ピンクちゃん。中華人民共和国における1990年代以降に生まれた若い世代の民族主義者のこと。(Wikipediaより)
*2:大陸から伝わり台湾で発展した古典芸能。17世紀、最も早く台湾に渡った福建省泉州の移民によって伝えられたものを《南管》、清朝中期(1728年~1820年)に北方(中原)から伝わった非閩南系のものを《北管》と呼んで区別した。南管には閩南語で演じられる南管戯と梨園戯、北管には北京官話で演じられる歌仔戲と布袋戲がある。南管の音色はヒョ~ヒョ~、ポロンポロンと穏やかで優雅。北管の音色はビャービャー、トトントトンと賑やかで勇ましい。
*3:中華民国(台湾)政府所属の行政機関・文化部影視及流行音樂產業局が主催するインディーズメインの音楽賞。
*4:バンドとしては2001年の第12屆で最佳音樂錄影帶獎(現在の最佳MV獎)を受賞している。また2020年の第31屆では宋楚琳とのデュエット曲『去年冬天』のMVが同じく最佳音樂錄影帶獎にノミネートされている。