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許哲珮、デビュー20周年記念アルバムとなるアコースティックベストをリリース!

令和4年2月2日、水曜日。時刻は午後10時を回りました。

新年快樂~!皆さん、こんばんは。いかがお過ごしでしょうか。人知れずコッソリ不定期放送中、フェイクラジオ・sasanoji電台です。

 

昨日2月1日は、新年を旧暦で祝う中華圏のお正月・春節でした。台湾の旧正月のお休みは、今年は1月29日から2月6日までの9日間。今日はちょうどその真ん中ということになりますね。そして2月2日は、sasanoji電台を台湾ポップスの沼へと引きずり込んだ張本人、個性派女性シンガーソングライター・許哲珮Peggy Hsuの誕生日でもあります。

今夜は昨年12月31日にリリースされましたPeggyの最新アルバム、In My Placeを聴きながらお話をしていく予定です。よろしければ、しばらくお付き合いくださいませ。

 

許哲珮Peggy Hsu『In My Place』(2021年12月)

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2001年に1stアルバム『氣球』でデビューした許哲珮(シージャーペイ)は、昨年デビュー20周年を迎えました。10枚目のアルバムとなる本作には過去7作品の中から厳選した8曲を、アコースティックバージョンで収録しています。Peggyにとって初めてのベスト集的な作品です。

ギターの演奏は、彼女の長年の友人であるギタリスト・徐研培Eric Hsuです。15歳のときグアムに移住。そこでギターと出会い、米・Musician Instituteで本格的に学びました。2009年に台湾に戻り、許哲珮、陳珊妮、林宥嘉、蔡依林、棉花糖、徐佳瑩ほか、これまでに数多くの有名アーティストの作品やライブでギタリストを務めています。
Peggyとは帰国した2009年頃から交流があったようで、2010年リリースのEP『馬戲團1號』に彼女の専属バンド・馬戲團のギタリストとして参加。馬戲團の団長で現在は隱分子Infancyのメンバーとしても活躍するチェリスト・劉涵と共に、長くPeggyを支えてきました。徐研培が北投溫泉小鎮にあるPeggyの住居の階下に引っ越してきてからは、部屋に集まって演奏する機会が増えたそうで、本作のレコーディングも全て彼女の自宅で行なっています。
劉涵@隱分子Infancyはもちろん、初期の作品でギタリストを務めた事務所(彎的音樂Wonder Music)の同僚バンド・旺福Wonfuの小民、デビュー作『氣球』ほか数々のPeggy作品で重要なポジションを担った林揮斌がミキシングで参加するなど、彼女の仲間たちへの感謝の気持ち、懐かしさと温かさがジ~ンと溢れるアルバムです。

 

 

では、ここから最新作『In My Place』を聴きながらお話をしていきましょう。

 

 

本作は全8曲を収録したデジタル配信専用アルバムです。

①氣球 / 1stアルバム『氣球』(2001年)より
②德國下雪了 / 2ndアルバム『許願盒』(2007年)より
③日光戀人  / 3rdアルバム『美好的』(2009年)より
④最後一封情書 / 9thアルバム『失物之城』(2019年)より
⑤巧克力之吻 / 5thアルバム『馬戲團1號』(2010年)より
⑥沒落貴族 / 4thアルバム『雪人』(2009年)より
秋天的落葉跳了一支搖擺舞 / 8thアルバム『搖擺電力公司』(2015年)より
⑧美好的 feat. 旺福小民 / 3rdアルバム『美好的』(2009年)より

 

 

6thアルバム『奇幻精品店』(2011年)と7thアルバム『圓舞曲』からは入っていない…ですね。

 

1曲目は、2001年リリースのデビューアルバム『氣球』から、タイトルナンバー『氣球』です。僕はこの頃はまだC-POPを意識して聴き始める前で、彼女のことはぜんぜん知りませんでした。2009年の3rdアルバム『美好的』でファンになって、そこから過去に遡って聴いていった感じですね。ただ、2009年当時はもう1st、2nd共に入手が困難な状況で、2ndのほうは大陸盤がなんとか入手出来たのですけども、1stは個人出品の高額モノとかしかなくて、長らく聴けていませんでした。ちゃんと聴いたのは2018年だったかな、Amazonデジタルミュージックストアにラインナップされて、それで初めてフルで聴きました。鮮烈…、そうですね、まさに鮮烈という表現が相応しい作品だと思います。

 

2曲目は2007年リリースの2ndアルバム『許願盒』からのナンバー『德國下雪了』です。このアルバム、大陸盤もリリースされてまして僕はやむなくそれを購入したのですけども、先ほど五大唱片のサイトを覗いたら、再プレスしたのでしょうか台湾盤の在庫がありますね。これは買いでしょう。
Peggyはデビュー作『氣球』で第13屆金曲獎《最佳新人獎》にノミネートされるなど中華圏で高い評価を受けましたが、所属レーベルの経営不振で契約が解除となってしまい、舞台裏でクリエイターとして働くことを決意し渡米。バークリー音楽大学でジャズボーカルを学びながら創作活動を続けました。2006年には彎的音樂所属の同僚バンド・Tizzy Bacの2ndアルバム『我想你會變成這樣都是我害的』に共同プロデュースで参加して、翌年の第18屆金曲獎で《最佳專輯製作人獎》を受賞。同2007年、メジャーレーベル・種子音樂Seed Musicから、6年ぶりのアルバムとなる本作をリリースしました。10曲目に収録の陰鬱な雰囲気のナンバー『瘋子』は、長いあいだ作品を発表出来なかったストレスから鬱になってしまったときの気持ちを歌った曲だそうです。

 

3曲目は僕が大好きな作品、2009年リリースの3rdアルバム『美好的』に収録のナンバー『日光戀人』です。この作品から彼女が所属する事務所・彎的音樂の同僚バンドであるTizzy Bac宇宙人Cosmospeopleのメンバーたちの参加が目立つようになります。彼女の専属バンド・馬戲團の名前が登場するのも、このアルバムからですね。徐研培はここではまだ参加しておりません。この曲(オリジナル)のギターは、宇宙人の陳奎言が担当しています。

 

4曲目は一気に新しくなって、2019年リリースの9thアルバム『失物之城』から『最後一封情書』です。この曲で使用されている楽器は、オリジナルではピアノとアコーディオンだったのですけども、それをギター1本で録ったんですね。オリジナルも良いですが、コレも、痺れますね~。

 

5曲目は馬戲團をフィーチャーしたEPアルバム、2010年リリースの『馬戲團1號』から、OPナンバー『巧克力之吻』です。この作品から徐研培が馬戲團のギタリストとして参加しています。

 

6曲目は『美好的』と同じく2009年にリリースされた4thアルバム『雪人』から、独特の世界感に魅了されてしまうナンバー『沒落貴族』です。この2枚のアルバムは四季をテーマとした二部作として制作されました。明るくポップなナンバーが揃った『美好的』が春と夏、ダークでゴシックなムードが漂う『雪人』が秋と冬をイメージしています。傑作ですね。それにしてもこの曲をギターでやるとは思いませんでした。

 

7曲目は2015年リリースの8thアルバム『搖擺電力公司』から『秋天的落葉跳了一支搖擺舞』です。この曲もオリジナルはギターが入っていないですね。他の曲では徐研培が弾いているのですけども(一部、王希文)。このアコースティックベスト、徐研培が入っていない曲を敢えて選んでいるような気もしますね。

 

ラストは、僕が台湾ポップスの沼にハマるキッカケとなった曲。2009年リリースの3rdアルバム『美好的』から、タイトルナンバー『美好的』です。ここはオリジナルでギターを担当した旺福Wonfuの小民が再び弾いているようです。
ホントこの曲に出会っていなかったら、どうなっていたんだろうと思いますね~。その経緯については2020年3月8日の放送『僕を台湾ポップスの沼に引きずり込んだ3枚のCD。』で詳しく話しておりますので、よろしければご覧ください。

 

さ、8曲聴いてまいりましたが、いかがだったでしょうか。ちょっと変則的なベストアルバムでしたけども、まさにアルバムタイトルどおり、自分の部屋でくつろいでいるようなシンプルで優しい雰囲気の作品でしたね。身動きが取りづらい今だからこそ生まれた1枚、とも言えるでしょうか。今夜は許哲珮のデビュー20周年記念アルバム『In My Place』をご紹介いたしました。

 

 

では最後に『In My Place』に収録されている曲のオリジナルを聴きながら、今夜はお別れいたしましょう。ぜひね、アコースティック版と聴き比べてみてください。お相手はsasanoji電台でした。ごきげんよう。拜拜!

 

 

Peggyはもう、フィジカルは出さないかもしれませんね~。

 

 

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