sasanoji電台【台湾ポップス専門】

こちらはsasanoji電台第1廣播、TW-POP専門チャンネルです。

音楽のスープ・聽天湯、オススメです。

 

今夜最初にお送りした曲は、6月25日にデジタル配信されました男女4人組バンド、聽天湯Tin Ten Tanのシングル駱駝(Live Session)でした。

 

令和3年10月17日、日曜日。時刻は午後6時4分になるところです。

皆さん、こんばんは。いかがお過ごしでしょうか。人知れずコッソリ不定期放送中、フェイクラジオ・sasanoji電台です。

 

10月も後半に入りましたね。緊急事態宣言も解除されて、久しぶりにどこか行楽に出掛けたいなとウズウズ、ムズムズしている方、多いことと思います。

僕もバイクの車検が終わりましたのでツーリングに行きたいのですけど、ただ先立つものがね~、乏しいのですよ~。

皆さん知ってました?
きょう10月17日は、『貯蓄の日』なんですって。毎年この日に天照大御神に収穫の感謝を捧げる宮中祭祀神嘗祭(かんなめさい)が行なわれることに因んでいるそうですが、コロナ禍の影響で貯金は減ってますし、気分は一向に晴れないですし、身体もアチコチ痛いですし…。ぐうたらが信条の僕も、さすがに少々こたえてまいりました。

 

ということで今回は、そんなスッキリしない気分に、さ~らに追い打ちをかけるようなww、10月6日に5曲入りEP財富自由精神健康をリリースした男女4人組バンド・聽天湯(ティンティエンタン)をご紹介いたしますよ。よろしければ、しばらくお付き合いくださいませ。

 

 

聽天湯Tin Ten Tan『財富自由精神健康』(2021年10月)

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今夜最初にお掛けした曲『駱駝』のMVを見て『おや?』と思われた方、さすが!そのとおりでございます。

ここでも以前何度か取り上げたことがありました、阿琺Alfa Ann(王阿法Alfa Wang)がボーカルを務める社会学ロックバンド・顯然樂隊Super Obvious(旧・Obviously)なんですね。それが今年の4月に聽天湯Tin Ten Tan(略称:T.T.T.)にバンド名を改めまして、再出発したということです。

現メンバーは、王阿法Alfa Wang(Vo,Gt)と杜哲欣(小杜 / Dr)に、新たに加わった鄧力維Ken Deng(肯鄧 / Ba)、陳品嘉Angus Chen(Gt)の男女4名となっております。

 

顯然樂隊(シィェンランユェドゥイ)について、簡単にご説明しておきます。

顯然樂隊Obviouslyは、女性ボーカル・阿法(阿琺)とドラマーの小杜らが大学在学中だった2012年に結成した高雄出身のインディーズバンドです。2014年に1st EP世界是如此的殘酷又如此的美好をリリースした後、一旦バンド活動を休止し、2016年にメンバーを一部変更して活動を再開。2018年、1stアルバム我最討厭搖滾樂をリリースしています。ちなみに休団中だった2015年、阿法は男性MIDI奏者・MADと結成した短期の音楽ユニット・梁香Fragrance Liangのボーカルとして日本ツアーを行なっているので、ひょっとするとそのとき彼女を見たことがあるという方、いらっしゃるかもしれませんね。

 

ではここで1曲。顯然樂隊の2016年リリースの1stアルバム我最討厭搖滾樂から、2曲目に収録の低賤的人をどうぞ。

 

まあ~歌も凄いし、MVも凄いですよ。彼らは自分たちの音楽を社會學搖滾社会学ロック)と呼んでいて、ワーキングクラスやアンダークラス側から見た世の中、社会の現実を鋭く描いた作品を多く歌っています。阿法の個性的なボーカル、キャラクターを含め音楽としてはかなり面白いので、当時気に入ってS電賞2018でも推してみたのですけど、反応はいまひとつでしたかねww。ネット上で話題にしている日本人も、ほとんど…居なかったように思います。基本的に世界観がネガティブなので、中国語がわかる方には尚さら食いつきにくいところがあったかもしれません。

1stアルバムをリリースして4、5ヶ月経った頃でしたか、彼らはバンドの英語名を、理由はわかりませんけどもSuper Obviousに変更しています。吉他手の奕夫が2019年9月リリースのシングル『優柔寡斷』をもって離団して以降は、ほぼ解散同様の状態となっていたようですね。

 

そして2020年に入って阿法と小杜は重大な決断をするのですが、その前に1曲。2020年10月にリリースされました顯然樂隊名義での最後の作品となる3曲入りシングル虛擬人間から、夏天的夜裡沒有晚風をどうぞ。現・貝斯手の鄧力維と吉他手・陳品嘉が正式加入する前の作品です。

 

2020年、阿法と小杜は大きな決断をしました。活動の拠点を高雄から台北へと移したのです。その前年、2019年に発売された高雄専門誌『megao 大雄誌』のVol.2『高雄發財夢』に、彼らの興味深いインタビュー記事が載っておりました。インタビュー自体は2018年に行なわれたもののようですけども、その中で高雄のアートシーン、業界、イベントに対する不満を語っています。

要約すると、台北はエリアとしては小さいが、その分、人材の相対密度が高くなるため、ジャンルを越えた様々なアーティストたちとの交流がしやすい。一方で高雄は音楽、アニメ、ビジュアルデザインなど人材こそ豊富だが、それが散らばっているため連携が取れておらず、誰がどこで何をしているのかわからないし、それを見つけるのも難しい。台北は人を繋ぐことが出来るが、高雄はそれが出来ていない。イベントも音楽なら音楽だけ。高雄には繋がりを生むイベントが少ない。だから才能のある若者たちがどんどん北へと流出してしまう、と。

 

2020年、悩んだ末に高雄を出て台北に居を移した阿法と小杜は、翌2021年4月、『夏天的夜裡沒有晚風』に参加していた吉他手の品嘉Angusと貝斯手の肯鄧Kenを正式に迎え、バンド名を聽天湯に改名。台北で新たなスタートを切ることとなりました。

 

今夜の4曲目です。9月7日に配信されました聽天湯のシングル獅子(Live Session)をどうぞ。

 

で、10月6日、阿法の誕生日の前日ですね、聽天湯は全5曲を収録したEP『財富自由精神健康』をリリースしました。先に公開したシングル『駱駝』と『獅子』は入っていません。この2曲は『超人誕生三部曲』と題する創作プロジェクトの1曲目と2曲目だそうで、おそらく今年中にはその3曲目が出るのではないかと思います。

本作『財富自由精神健康』ですけども、『豊かさの追求は愛を追い求めるのと同じで、そこに合理性は無く、あるのは盲目とロマンだけ』という…ね、言葉にすると身も蓋も無い感じのテーマとなっておりますww。歌詞がホントにエグいですよ。もちろん僕は翻訳ソフトに入れて読んだのですが、『貧しい人だけがお金の話をする』とか『勇気は何の役にも立たない』とか『生命がプレゼントだとしたら、私達はそれにどう報いればいいのか』とかね、もぉ~心が折れそうになるくらい、言葉の刃をザクザク突き立ててくるんですね。今回ばかりは中国語がわからなくて助かったと、ホンの少しですけど思ってしまいましたww。

 

音のほうはですね、阿法のボーカルは顯然樂隊でのミュインミュイン電波を飛ばしているようなクセのある歌い方ではなくて、梁香に近い浮遊感のある滑らかな歌い方をしています。これは顯然樂隊と違って聴く人を選ばないだろうと思いますね。バンドのサウンドも波の強弱を感じさせる、エモーショナルでかなり洗練された雰囲気となっています。

 

 

以上、顯然樂隊改め聽天湯をご紹介してまいりましたが、興味をお持ちいただけましたでしょうか。今回は、sasanoji電台が自信を持ってオススメいたします。たぶん皆さんにも気に入っていただけるのではないかと思っておりますよ。

 

あ、新しいバンド名の由来をお話しするのを忘れてました。

これは今年に入ってからの話なんでしょうか、阿法が台北の地下鉄の中で気を失って倒れたことがあったそうです。それで救急車で病院に運ばれて検査を受けたのですが、とくに異常は見つからなかった。ただ、記憶の中になぜか『聽・天』の二文字が残っていて、気になってネットで調べたところ、南宋時代の詩人・楊萬里の一首『春花秋月冬冰雪,不聽陳玄只聽天。』(『讀張文潛詩二首』中の一首)が出てきたらしいんですね。で、これは天の声かもと『聽天樂隊はどう?』と他のメンバーに話したところ、みんなに『古臭くね?』と言われて、じゃあ自分たちの音楽を食べ物に例えたら…と考えて思いついた『湯(スープ)』をくっ付けた、それで聽天湯になったとのことです。どこまでがホントでどこからが冗談かわかりませんけどね。そんな話をしておりました。

 

では、今夜のラストナンバーにまいりましょうか。EP財富自由精神健康の最後5曲目に収録の樓中樓を聴きながらお別れです。韓国の女性ラッパー・Haruとの合作『花樣年華 화양연화』で注目を集めている台湾女性ラッパーの新鋭…『饒恕歌手』という冠が付いているんですか、どういう意味ですかね。周穆Murky Ghostをフィーチャーしたナンバーです。

10月に入っても気温が高めの日が続いて、今年は紅葉がちょっと遅れ気味のようですが、今朝あたりは東京でもだいぶ寒く感じました。これからどんどん秋らしくなっていくのでしょう。皆さん、体調管理には十分にお気をつけくださいね。有意義な一週間となりますように。では今夜はこの辺で。皆さん、ごきげんよう。お相手はsasanoji電台でした。

 

 

歌詞の意味がわからないまま聴いたほうが、脳が疲れない、ということがわかりました。

 

 

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