sasanoji電台【台湾ポップス専門】

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Mary See the Futureのスペシャルセッション、これがあるのが台湾。

令和2年1月18日土曜日、午後8時を回りました。

こんばんは。
人知れずコッソリ不定期放送中、フェイクラジオ・sasanoji電台です。

 

今回は2020年1月15日に公開された、とってもカッコイイMVをご紹介いたします。

 

Ariel

 

先知瑪莉Mary See the Futureの3rdアルバム『musickness』(2019年10月)収録のナンバー『Ariel』のスペシャルセッションを収録したMVなんですけど、参加しているゲストの顔ぶれとゴリゴリのギターサウンドがとにかくカッコイイので、まずはコチラからご覧ください。

 

先知瑪莉Mary See the Future、『Ariel feat. 聖皓,宇庭,易祺』。

 

先知瑪莉Mary See the Futureと、麋先生Mixerの吳聖皓(Vo)、Hello Nicoの詹宇庭(Vo)、Vast & Hazyの林易祺(Gt,Synth)によるスペシャルセッションでした。

 

如何でしょう。僕はこの顔ぶれを見て鳥肌が立ってしまいました。全員所属レーベルが違っているんですね。Mary See the Futureは未卜娛樂Wayfarer Entertainment、麋先生は相知國際B'tween、Hello Nicoは黑市音樂Black Market Music、Vast & Hazyは添翼音樂Team Ear Music。レーベルの枠を越えてこれほどのメンツが揃ったMVというのは、願ってもそうそう見れるものではないと思います。

 

先知瑪莉Mary See the Futureは2007年結成。Josh(Vo,Gt)、Roger(Gt)、Fish(Ba)、Eric(Dr)による本格派のギターロックバンドです。ブリティッシュロックをベースに、クラシックの優美さ、メタルの激しさ、シューゲイズの儚さ、ポップミュージックの明朗さなど、メンバーそれぞれの好みを反映した多彩なアレンジが魅力。2011年リリースの1stアルバム『Yes, I Am』で第23屆金曲獎【最佳樂團】部門にノミネート。2010年、沖縄国際音楽祭に出演。一昨年、8年ぶりに来日して東京でライブを行なっています。

日本では2010年リリースの2ndシングル『Cheer』で彼らを知った方が多いのでしょうか。僕は第23屆金曲獎のノミネートリストが発表されるまで全くその存在を知らなくて、正直、なぜ彼らが選ばれているのかもわからないくらいノーチェックでした。今は本当に素晴らしいバンドだと思っています。当時は失礼なことを言ってしまってゴメンナサイ^^;。

2018年の東京ライブに合わせてTapioca Milk Recordsさんがインタビュー記事を公開されてます。数少ない日本語によるインタビュー記事ですので、ぜひご覧くださいませ。

 

麋先生Mixerは2011年に林子安(現・喆安,A.Gt)と呉聖皓(Vo)を前面に立てたユニットバンド・子安聖皓ZA-SHとして活動を開始し、同年9月、1st EP『然後,我們懂了』でCDデビュー。2012年10月、バンド名を子安聖皓から麋先生に改めました。メンバーは喆安(A.Gt)、聖皓(Vo)、小B(余柏羲,E.Gt)、以諾(張以諾,Ba)、逸凡(盧逸凡,Dr)の5名。2013年リリースの1stアルバム『馬戲團運動』で第25屆金曲獎【最佳樂團獎】を受賞した、清々しさが漂うストレートなボーカルと若々しい疾走感溢れるサウンドが魅力の人気ロックバンドです。

彼らについては子安聖皓時代からたびたび取り上げてきましたね。注目し始めてもう8年になりますか。本当に感慨深いものがあります。麋先生は2014年9月に南青山の《月見ル君想フ》で日本初ライブを行なっているのですけど、当時は一般の人の耳がようやく台湾の音楽に向き始めた頃で、台湾バンドブームが訪れた今から思えば、ちょっと早すぎた来日だったかなぁ…という気がしないでもないです。彼らの“冷静と情熱”を兼ね備えたエモいサウンド、今であればもっと話題になっていたのかも、と。

 

Hello Nicoの結成は2013年。詹宇庭(Vo)、李詠恩(Gt)、陳信伯(Ba)の3名からスタートし、2016年に鼓手の關惠中(Dr)が正式加入して現在の4人編成となりました。詹宇庭の憂愁を感じさせる個性的なボーカル、様々な音楽ジャンルを融合させたちょっと歪みのあるサウンド、エモーショナルな歌詞と成熟したアレンジで業界からの評価も高いバンドです。2015年リリースの1stアルバム『熟悉的荒涼』で第27屆金曲獎【最佳新人】部門の候補に選ばれていますが、2014年の1st EP『浮游城市』で既に話題となっていたので、この新人賞ノミネートは当時ちょっと不思議に思った記憶があります。

詹宇庭は数多くのアーティストを輩出している淡江大學の出身で、同校ギター部主催の金韶獎や政治大學主催の金旋獎など、いくつもの学生音楽コンテストにソロやデュオで出場して優秀な成績を収めています。2011年にクリエイターズサイト・StreetVoiceが製作したコンピアルバム『冬季選集』に彼女の楽曲『左撇子』が収録されていますが、当時は初期の張懸を彷彿とさせるアコースティックスタイルで、そこから現在のHello Nicoをイメージするのは難しいかもしれませんね。彼女のソロ時代の楽曲はStreetVoiceで聴くことが出来ます。それから余談ですが、2011年冬に発売された『StreetVoice 冬季選集』と2012年夏に発売された『StreetVoice 夏季選集』には、いま最前線で活躍しているアーティストたちの原点が収録されているので、それも合わせてオススメしておきます。

 

Vast & Hazyは女性ボーカル・顏靜萱(咖咖,大咖)と男性ギタリスト・林易祺による男女2人組オルタナティブロックユニットです。結成は2011年。当初はリズムセクションも揃えたアコースティック寄りのバンドスタイルでしたが、2014年の1st EP『Vast&Hazy』リリース後に一旦活動を休止。2016年、重層的でドラマチックなアグレッシブサウンドへと大きくスタイルを変えた2人組ユニットとして再始動しました。2017年、2nd EP『次等秘密』をリリース。翌2018年リリースの1stアルバム『求救訊號』で第30屆金曲獎【最佳演唱組合】部門にノミネートされています。

大咖と易祺、2人とも淡江大學のギター部出身で、実はHello Nicoの詹宇庭とは同期生、旧知の間柄なのですね。その頃は全員アコースティック寄りだったわけですけど、易祺は2012年に結成したエレクトロポップバンド・林瑪黛Ma-te Linのギタリストも務めていて、林瑪黛で培った経験もおそらく大いにあったのでしょう。今回の『Ariel』セッションではギターだけでなくシンセサイザーを操る彼の姿も見ることが出来ます。Vast & Hazyや林瑪黛ではMVの性質上、彼が真ん中に映っているものはほとんど無いので、これは貴重かもしれません^^。Vast & Hazyと林瑪黛、ぜひ来日してほしいですね。とくにVast & Hazyはボーカルの大咖が日文系卒なので、イケるんじゃないかと思います。

 

以上がこのセッションに参加しているアーティストの概要でした。

 

最初に紹介したとおり、このセッションはレーベルの枠を飛び越えて行なわれ、それが堂々とネット上で公開されているわけですが、アーティストの縛りがきつい日本では特別な企画モノでもない限り、これだけの顔ぶれが揃うというのはあまり見られないパターンではないでしょうか。

 

僕は、これが台湾独特の音楽業界構造ゆえの自由さなのだろうと思っています。

 

以前、台湾在住の日本人エッセイスト・青木由香さんが、台湾には700以上のレーベルが存在するとラジオで仰ってました。そのほとんどはインディーズ。日本ではインディーズというとマイナーなイメージを持たれがちですが、台湾インディーズは近年の金曲獎(台湾のレコード大賞)の様子からも分かるように、現在の台湾ミュージックシーンを牽引しているのはインディーズであると言っても過言ではないくらい、大きな影響力を持つ無視出来ない存在となっています。

彼らが所属する4つのレーベル、未卜娛樂、相知國際、黑市音樂、添翼音樂もインディーズ。向こうの表記では『独立系』と書きますが、台湾ではその独立系のレーベルやミュージシャンたちの縦横の繋がりがとても濃いのですね。理由は、音楽人口比率の問題や、現在は停止されていますが義務兵役制度の影響など、いくつかあると思うのですけど、これは本当に調べれば調べるほど、その濃さに魅入られてしまいます。

それから上で少し触れましたが、金旋獎(政治大學)、金韶獎(淡江大學)、新弦獎(世新大學)、音韻獎(臺灣大學)といった大学が主催する音楽コンテストの存在も大きいかもしれません。易祺と宇庭の出身校・淡江大學だけを見ても、これまでに大変な数のアーティストや業界関係者らを輩出していて、人口や国土面積を考えれば、台湾ではほとんどのミュージシャンが友人、知人だったり、先輩、後輩だったりするのではないかと思えてしまうほどです。

 

今回の『Ariel』スペシャルセッションは、Mary See the FutureのRogerがニューアルバムを録音中、聖皓が歌っているように聞こえた、とJoshに言ったのがキッカケだったそうです。そのちょっとした呟きをこうして実現出来たのは、やはり縦横に濃い繋がりを持つ台湾インディーズだからこそのものなのだろうと、なんだか羨ましく、そしてカッコよく思ってしまいました。MVの中の彼らの真剣な表情、一投足を、1秒たりとも見逃したくない素晴らしい映像作品です。

 

それでは最後に『Ariel』のオリジナルバージョンを聴きながら、今夜はお別れです。明日は今日よりも少しだけ気温が上がるみたいですけど、皆さま、どうぞ風邪などを引かれませんよう暖かくしてお休みくださいませ。ごきげんよう。sasanoji電台でした。

 

2020年、まだ始まったばっかりですが、これを超えるMVって出てくるのでしょうか…。ハードル高くなりましたね~。

 

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本日のオンエア曲

 

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