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sasanoji radio Awards 2018 【Best Male Artist】編

2018

 

こんばんは。
人知れずコッソリ不定期放送中、フェイクラジオ・sasanoji電台です。

 

2018年を振り返るsasanoji radio Awards 2018、今夜は【Best Male Artist】編をお送りいたします。前回の女性歌手部門はちょっと入れ込みすぎてしまったので、男性部門のほうはチャチャッと済ませちゃいましょうかね~^^。でも、女性部門ほど激しくはないですけど、コチラもジワッ…と世代交代が進んできてますよ~。

 

僕が選んだ2018年度【Best Male Artist】部門の候補は、以下の6名です!

 

* * * * * *

蕭秉治Xiao Bing Chih『凡人』(6月,相信音樂)

Xiao_bing_chih2018 

1987年生まれ、2017年に解散したロックバンド・MP魔幻力量(旧Magic Power)[*1]のボーカル・廷廷こと蕭秉治(シャオビンチー)の1stアルバムです。蕭秉治はバンド解散と同時に個人名義で新たに相信音樂と契約、昨年本作でソロデビューしました。流石ですね~、楽曲も、ボーカルも。バンドという枠が外れたからでしょうか、彼の持つメロウな部分がより鮮やかに感じられるようになりました。ここ数年、残念な話題が続いて結局バンドは解散となってしまいましたが、再び現場に戻ってきてくれて本当に良かった。今月14日には、ひと足先にソロデビューしていた鼓鼓GBOYSWAGと東京でジョイントライブを行なう予定。これはひょっとすると2人でまた何か始めようという兆し?…なんて期待をしているのですけどね、どうでしょう~。

 

蕭敬騰Jam Hsiao『欲望反光』(6月,華納)

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1987年生まれ、オーディション番組『超級星光大道』第1シーズン(2007年)[*2]から初めて誕生した金曲獎歌手・蕭敬騰(シャオジントン)です。蕭敬騰はPK戦と呼ばれる一騎打ちの挑戦者として番組に出場。本戦メンバーの楊宗緯らと名勝負を繰り広げて注目を集め、2008年に華納音樂Warner Musicからメジャーデビューしました。4thアルバム『以愛之名』(2012年)で第24屆金曲獎最佳國語男歌手獎を受賞。現在は2016年結成のロックバンド・獅子合唱團(現名:獅子)のボーカルとしても活躍中です。本作は2014年の5thアルバム『The Song』以来となる個人作品ですが、歌に集中するためでしょうか、自作曲は3曲しか入れていません。その分、歌手・蕭敬騰の上手さを存分に楽しめるバラエティ豊かな内容となっています。ここまでアピールされたら、もう選ぶしかないですよね~^^。

 

陳勢安Andrew Tan『壞掉的我們』(8月,華納)

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1984年生まれ、マレーシア出身の人気男性シンガー・陳勢安(チェンシーアン)の6thアルバムです。2006年に現地のオーディション番組『Astro新秀大賽』で準優勝。マレーシア代表として出場した第25屆『TVB8全球華人新秀大賽』(香港)で最高栄誉『金麥克風獎』を受賞し、翌2007年、1stアルバム『隆重登場』で現地デビューしました。台湾デビューは3年後の2010年。2ndアルバム[*3] 収録のタイトルナンバー『天后』が台湾の大手KTV(カラオケTV)の國語歌ランキングで100週連続トップを記録[*4]。KKBOXのダウンロードチャートでは754日間も100位圏内を維持し続け、天后哥、K歌歌王と呼ばれる人気者となりました。イケメンで、歌が上手くて、本当に華のある素晴らしい歌手なのですけど、台湾の金曲獎には縁がないですね。ならば、ここでは推しでしょう^^。

 

HUSH『換句話說』(9月,相信音樂)

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1985年生まれ、本名は陳家偉[*5]。2014年に解散したhush!樂團[*6]のボーカルで、現在は楽曲提供者としても活躍中[*7]の個性派シンガーソングライター・HUSHです。大学時代は哲学を専攻する一方で天文学やタロットなど神秘的なものにも傾倒。天文系創作詩人とあだ名された彼独特の世界観と音楽性でバンドは高い評価を得ていましたが、2014年に活動を終了し、翌年1stアルバム『機會與命運』でソロデビューしました。僕は当時そのソロアルバムを初めて聴いたとき、まず戸惑い、それから思いました。HUSH本来の色はこんなにも鮮やかだったのか、そうか、彼はこれをやりたかったんだ、と。2ndアルバムとなる本作ではその色はさらに深みを増し、そしてエッジも鋭くなっています。難しいテーマを扱った作品ではありますが、完成度はひじょうに高く、彼を選ばない理由のほうが見つかりませんでした。

 

謝和弦R-chord『像水一樣』(12月,華納)

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1987年生まれ、南投縣埔里鎮出身の鬼才シンガーソングライター・謝和弦(シェフーシィエン)です。赤ん坊のとき、お祖父さんのギターに触ろうとしたことからギターの和音を意味する“和弦”の名がつけられたとの逸話を持つ彼。それはまさに音楽の神様の思し召しだったのかもしれません。16歳のとき台北に出て来て芸能活動を開始。2009年リリースの1stアルバム『雖然很芭樂』(亞神音樂)で第21屆金曲獎最佳新人獎候補に[*8]、第23屆金曲獎では2ndアルバム『於是長大了以後』で4部門にノミネートされています[*9]。大麻騒動、鬱病の発症等で表舞台から遠ざかっていた時期もありましたが、復帰後はコンスタントに良作を発表し続けていて、中でも5thアルバムとなる本作での重量感、安定感は、これまであまり感じられなかった部分かもしれません。三十路を越えた謝和弦、また1段ギアが上がったようですよ。

 

謝震廷Eli Hsieh『愛麗絲 Where Are We Going?』(12月,十全媒體)

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1993年生まれ、オーディション番組『超級星光大道』第1シーズン(2007年)に当時最年少の13歳で出場、大人顔負けの卓越した歌唱で10強まで勝ち進んで人気者となった少年・謝震廷(シェジェンティン)も現在25歳。短命に終わってしまいましたが、吳汶芳と結成したバンド・Double 2樂團(2011年)で活動している姿を見つけたときは本当に嬉しかった。ずっと音楽を続けてくれていたんだと。それからまた年月が過ぎ、2015年12月31日、1stアルバム『查理』で彼は再び僕らの前に現れた。若きアーティストの面構えとなって。謝震廷はこの作品で第27屆金曲獎最佳新人獎を受賞。そしてまた3年が経ち…、ついに2ndアルバムとなる本作…。凄いです。どれほど神経を擦り減らして生み出したのかと心配してしまうほど繊細で、緊張感に満ちた作品となっています。彼にはこれくらいのペースのほうが良いのかもしれませんね[*10]。

 

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以上がsasanoji radio Awards 2018【Best Male Artist】部門の候補6名でした。
チャチャッと済まそうと思っていたのですが、あまりチャチャッといきませんでした^^;。ここは割と自分らしいチョイスが出来たのではないかと思っているのですけど、どうでしょう。

ほか注目どころというか、敢えて外した人たちからまず挙げていくと、陳奕迅李榮浩。陳奕迅は昨年の金曲獎受賞作『C'mon In~』からは約1年ぶり、広東語アルバムとしては3年5ヶ月ぶりとなりますが、陳奕迅個人というよりthe duo band、イーソンチームの作品かなという感じがしました。大好きだった盧凱彤、彼女が参加した最後の作品でもありますし、入れるかちょっと悩んだのですが、やっぱりここじゃない気がして…。李榮浩は3年連続のアルバムリリース。『耳朵』、本当に落ち着いた良い作品です。落ち着き過ぎているかもしれませんかね。なので、外しました^^。

個人的に注目しているアーティストは、昨年10月に謝和弦と一緒に来日コンサートを行なった陳零九、大陸出身の深情唱作王・關喆、こちらも大陸出身で2017年にデビューした“小陳奕迅”・朱興東、『超級星光大道』第1シーズン出身で6年ぶりにアルバムをリリースした潘裕文、2015年にデビューした渋い歌唱が魅力の柯智棠、英・ロンドンから歌手になるため台湾にやって来た英港ハーフの楊永聰。この楊永聰と柯智棠はタイプが似ていて、僕は楊永聰を入れようか迷ったんですけど、結局両方外れてしまいました。それから新鋭電音製作人・Dizparity、大陸のインディーズバンド・氪元素樂隊のボーカル・鞠起も個人的には推しです。現在期限付きで休団中の蘇打綠のボーカル・吳青峰はシングルを4曲出していますが、なかなか面白いところを狙ってきてますよ。以上、sasanoji電台のオススメでした。

 

では第30屆金曲獎の候補のチェックも。コチラも最佳國語男歌手獎だけ触れますね。

【最佳國語男歌手獎】
謝震廷『愛麗絲 Where Are We Going?』
Leo王『無病呻吟有情抒情』
柯智棠『吟遊』
李榮浩『耳朵』
ØZI『ØZI: The Album』

 

これは…何と表現したらよいのでしょう~。んん~、目立つ柱が…無い?
陳奕迅が入っていればまた違った景色になったのでしょうけど、今回は広東語作品でしたからねー。
それよりも蕭敬騰がいないのは大問題でしょう。また最大遺珠と騒がれますよ、これは。HUSH、謝和弦もいませんねー。この候補決定は同性婚合法化前に行なわれたものですから、もし合法化後だったら、ひょっとしたらHUSHの扱いも変わっていたのでしょうか…。謝和弦は相変わらず金曲獎にはそっぽ向かれたままですかね。逆に金曲獎が似合う謝和弦というのも想像したくないですけどねー^^。

謝震廷、2作目でここに入れてきましたか~。入れてこないと予想していたのですが、これはやられました。夜貓組のLeo王は人気ありますよねー。僕はちょっと苦手ですけど、アリだと思います。あ、柯智棠も2作目で入れてきましたね。第27屆金曲獎で最佳新人獎と最佳國語男歌手獎にノミネート経験ありです。李榮浩は当然でしょうね。新人のØZIは…どうなんだろう、今回の金曲獎のØZI推しはちょっと過ぎる気がしないでもないかな、と僕は思っています。

では金曲獎予想ですが、本命は李榮浩。李榮浩はこれまで5枚アルバムを出していますが、この部門では今回を含め2回しかノミネートされていないんですね。2013年のデビュー作『模特』以来。あるでしょう、これは。対抗は…柯智棠。1stから既に完成されていましたからね。単穴は謝震廷。彼をここに入れてきた今回の金曲獎、ひょっとしたらやるかもしれない。ということで謝震廷に賭けたいところですが、今回は安パイの本命狙い、李榮浩でいきます^^。

 

追記:
第30屆金曲獎【最佳國語男歌手獎】は、Leo王が受賞しました~!おめでとう~!!予想、外しました~^^;。

 

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たぶんこれが最後のS電賞。

 

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脚注

*1:2009年に相信音樂からデビューした男性6人組ツインボーカルロックバンド。メンバーは黃柏翔(阿翔,Dr)、賴世凱(凱開,Ba)、呂思緯(鼓鼓,DJ)、潘俊佳(嘎嘎,Vo)、李柏誼(雷堡,Gt)、蕭秉治(廷廷,Vo)の6名。人気と実力を兼ね備えた将来を嘱望される優秀なバンドだったが、2016年に嘎嘎が度重なる女性問題で事務所を解雇され、そのストレスもあったのか楽曲創作を一手に担ってきた蕭秉治が鬱病を発症し音楽活動を中断。鼓手の阿翔も個人的な理由から退団するなどゴタゴタが相次ぎ、2017年11月9日をもって正式に解散した。

*2:この番組からは林宥嘉(優勝者)、楊宗緯、蕭敬騰、潘裕文、謝震廷ら多くの優れた歌手が誕生した。彼らの活躍で番組は大ヒットし、いくつもの後続番組が生まれ、また台湾音楽界を活性化させる起爆剤ともなった。もしも彼らがいなかったら、もしも超級星光大道がヒットしていなかったら、いま最前線で活躍している若手歌手たちも、ひょっとしたらいなかったかもしれない。そう考えるとちょっと怖い気がしますね。

*3:2009年リリースの2ndアルバム『天后』(マレーシア盤)は全6曲。2010年リリースの台湾盤は米国人ラッパー・Mike Dによるリミックス2曲を追加、全8曲となっている。

*4:2012年10月時点。最終的には169週を数えた。

*5:高校の軽音部では主にボーカル専門だったが、1つ上の先輩に先知瑪莉Mary See The FutureのJoshとFishらがいて、彼らの影響でギターも弾くようになった。

*6:2010年、HUSHが1976樂團の阿凱がオーナーを務める台北公館のライブカフェ《海邊的卡夫卡》(海辺のカフカ)でバイトしているときに鼓手・熊爸、貝斯手・卡貝らを紹介され、スリーピースバンド・hush!樂團を結成。2011年にダウンロード専用EP『Tracks』、2012年3月に初CD作品となる3曲入りEP『天文特徵』、同年12月に1stアルバム『X』、2013年に2ndアルバム『異常現象』、2015年にライブ盤『Everyone’s gonna miss you』(解散後)をリリースしている。

*7:張惠妹孫燕姿、A-Lin、徐佳瑩、丁噹ほか錚々たるメンツに楽曲を提供している。2015第26屆金曲獎では彼が作詞をした徐佳瑩の『尋人啟事』で最佳作詞人獎を受賞した。

*8:受賞者は彼と同じく亞神音樂からデビューした女性シンガーソングライター・徐佳瑩。

*9:MV『寂寞瘋了』で最佳音樂錄影帶獎(導演:比爾賈)を受賞した。謝和弦個人の受賞は無し。

*10:本格デビュー前、外見からイメージされるとおり繊細な神経を持つ彼は、完璧な作品を求めるあまり兵役を免除されるほどの重い鬱病に陥ってしまった。