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sasanoji radio Awards 2018 【Best Newcomer Group/Band】編

2018

 

こんにちは。
人知れずコッソリ不定期放送中、フェイクラジオ・sasanoji電台です。

 

2018年を振り返るsasanoji radio Awards 2018、今回は【Best Newcomer Group/Band】部門の候補を発表します。昨年はソロ、バンドとも2017年以上に新人が大豊作で、どれも甲乙つけ難く、考えあぐねた末【Group/Band】編と【Solo】編に分けることにしました。今回は【Group/Band】編です。

 

僕が選んだ2018年度【Best Newcomer Group/Band】部門の候補は、以下の8組!

 

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Dusty Bottle『Don't You Know feat. Sophy』(6月,環球)

Dusty_bottle2018jun 

2016年結成。環球Universal旗下の新レーベル・Brave Nusicに所属する香港の男性4人組アーバンポップバンド。メンバーはJef(Gt)、JNY(Key)、Matthew(Ba)、Kay(Dr)の4名。ボーカルがいませんが、昨年リリースしたダウンロードシングル4曲『That Shit Raw feat. Shimica Wong』(3月)、『Don't You Know feat. Sophy』(6月)、『Forever Summer feat. Jace』(9月)、『How Could You? feat. Moon』(10月)では、それぞれ異なるゲストの女性歌手がボーカルを務めています。ソウル、R&B、ヒップホップをベースとしたアーバンサウンドがとってもクール。中でも王嘉儀Sophyをフィーチャーした『Don't You Know』がダントツにイイ。今年2月、モデル兼歌手のKerryta Chauがボーカルに正式決定、現在は5人組となっています。最新シングルは2019年2月リリースの『You Don't Know Me』。

 

害喜喜HighCC『害喜喜』(9月,好有感覺音樂)

Highcc2018 

2016年結成。桃園市楊梅出身の唱歌小妖精・嚴文康(Vo)と吉他帥仙人・巫康裘(Gt)による男性2人組フォークユニット。現在は劉哲愷(Ba)と白濰愷(Dr)を加えたバンド編成で活動中。2017年、StreetVoiceが主催する次世代のブレイクスルーアーティスト発掘アワード・The Next Big Thing大團誕生で鬼才プロデューサー・柯智豪に認められ、昨年6月アルバムデビューしました。文康のよく伸びる美しい高音、迫力タップリの唸るような低音、激しく、優しく、ドルフィンボイス、ウィスパーボイスまで絡めた変幻自在のボーカルは圧巻。若き求道者・康裘は芸術一家に育ったクラシック出身のギタリスト。大学時代に出会ったインディーミュージックに音楽の本質を見てこの道に進みました。彼の奏でる無駄を削ぎ落としたギターの音色は1つ1つが明瞭で、文康の個性的なボーカルの中にあっても埋もれません。

 

The Fur.『Town』(9月,空氣腦)

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高雄を活動の拠点とする男女4人組ドリームポップバンドです。現メンバーは柚子Savanna(Vo,Gt)、中凌Zero(Gt)、唯任Ren(Ba)、溫溫Wen Wen(Key)の4名。2016年8月、柚子と中凌が作った最初の曲『Final Defence』が音楽フェス・搖滾台中のコンピアルバムに入選。ライブに出演することになったため、低明度時期(…鼓手は大象體操の涂嘉欽)解散後ブラブラしていた唯任を誘って結成しました。バンド名は動物好きの中凌の発案。その後、2017年10月に発表したシングル『We Can Dance』のMVが海外でも注目を集め、欧州フェスへの参加に向けて女性シンセ奏者を募集。2018年2月に溫溫Wen Wen(Syn)が加入し現在の編成となっています。この1stアルバム『Town』は大阪に本拠を置くインディーレーベル・2670recordsからもリリースされ、新人ながら日本でも既に高い評価を得ています。

 

I Mean Us『OST(10月,禾廣)

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結成は2015年11月29日。男女ツインボーカルのシューゲイズ、ドリームポップバンドです。メンバーは章羣Zebrateens(Vo,Gt)、夏日Mandark Ravel(Vo,Syn)、永純Vitz Young(Gt)、漢克Hank Chen(Ba)、佩蓬PP L(Dr)の5名で、結成時から変わっていません(…Mandarkは甜約翰Sweet John、永純はTriple Deerでも活動中)。2016年5月に初めての楽曲『I Don't Know』のDemoをStreetVoice、iNDIEVOX等ネット上で発表。続いてUPした『Søulмaтe』が同年9月公開の映画『我的蛋男情人』(監督:傅天余)の挿入歌、ED主題歌に採用され広く知られる存在となりました。昨年10月にリリースした待望の1stアルバム『OST』は日本でも傑作の呼び声高く、今年4月13日に開催予定のレコードの祭典・RECORD STORE DAYで限定販売されるアナログ盤89タイトルの1つにラインナップされています。

 

13月終了Undecimber Fin.『宋咪』(10月,好有感覺音樂)

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2015年結成。メンバーは舞台女優としても活動している康雅婷Kang(Vo)、全作曲を手掛ける周莉婷Adlian Chou(Key)に、藥仙Yao Hsien(Gt)、林克Link(Gt)、無品Pin Wu(Ba)、他口Tako(Dr)の男女計6名。彼らはこの年、台湾の行政機関・文化部による補助政策『文化部藝術新秀補助』に本作の企画を応募して補助枠を獲得、宋咪計畫『Our lives are not our own』をスタートさせました。『宋咪』はDavid MitchellのSF小説『Cloud Atlas』(2004年)中の一編『An Orison of Sonmi~451』の世界観に着想を得た作品で、どうやらそのサウンドトラックをイメージしているようです。つまりこのアルバムを出すために生まれたバンドとも言える。サウンドは劇的で前衛に寄っていますが、康の浮遊感のあるボーカルとの相性は良く、キャッチーなフレーズもあったりして何周でも聴ける完成度の高い作品に仕上がっています。

 

春麵樂隊ChuNoodle『狐狸莫笑貓』(10月,三十而立)

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正式結成は2018年5月。メンバーは高承胤(B.Cl)、楊蕙瑄(Cl)、葉超(Gt)、賴予喬(Vo)の男女4名。クラリネットが2本も入っているという珍しい編成のバンドです。結成後わずか5ヶ月でこのEPをリリースしていますが、2月にはもう予喬、葉超、蕙瑄が一緒に写っている様子が見えていたので、おそらく以前から実験的にセッションをしていたのでしょう。使用言語は國語(華語)、台湾語客家語となっています。さて、客家語で歌う女性ボーカルのバンドと聞いてピンときた方、流石です。そう、賴予喬は4人組客家バンド・二本貓UrbanCatのボーカルさんですね。個性の強いクラリネットの音を意識してか、二本貓のときよりも発声にメリハリをつけているように感じます。タイトルの『狐狸莫笑貓』は、客家の諺『狐狸莫笑貓,共樣尾翹翹』から。五十歩百歩、目くそ鼻くそを笑うといったところでしょうか。重鎮たちも絶賛する1枚です。

 

白頻率White Frequency『如果你能到我的雨裡面』(10月,好有感覺音樂)

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メンバーは張芷瑈Mango(Vo)、陳祐霖Yo0(Gt)、林冠宏Kuan(Ba)、蕭志任Xiao(Dr)の男女4名。結成は2016年8月。2年間ライブをメインに練磨を重ね、昨年10月、4曲入りの初EP作品『如果你能到我的雨裡面』でCDデビューしました(…オンラインリリースは8月)。8秒で惚れました。メロディもギターのリフも全部自分のツボで。とくに1曲目『殘酷』のイントロ、3曲目『如果你能到我的雨裡面』の間奏、ギターソロのカッコ良さときたらもう…。この素晴らしい原石に巡り合ったような高揚感、以前にもありました。2011年、子安聖皓を初めて聴いたときです。現在の麋先生ですね。当時の聖皓と比べれば芷瑈のボーカルはまだまだ荒削りで不安定に聞こえてしまうところもありますが、でもそれがまったく負の印象には繋がっていなくて、むしろこれからもっともっと上手くなるだろう可能性に感じられたのです。白頻率、要注目ですよ。

 

藍色窗簾Blue Curtain『陽光普照的小島』(11月,禾廣)

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2016年に政大、台大の学生たちを中心に結成された男女ツインボーカルバンドです。現在のメンバーは周瑩慈(Vo)、廖邦儒(Vo,Gt)、鄭昭元(Key,Syn)、林恩立(Ba)、陳關文(Vc)、黃子瑋(Chor)、簡聿民(Dr)の7名。CDに封入されている歌詞カードのクレジットを見ると、上記7名のほかに鄭立偉(Tp)、陳鋼彥(Vl)、古芹(Melodica)、楊友豪(Gt)、潘亮竹(Gt)らの名前もあって、正直誰がこのMVに映っているのかよくわかりません(…ちなみに主演は台湾在住の日本人俳優・大西由希也さんです)。2017年に出場した政大主宰の音楽賞・第34屆金旋獎で、藍色窗簾は中國信託(文教基金會)人氣獎を、鍵盤手の鄭昭元は最佳作曲獎と最佳樂手獎を受賞。女性WEBメディア・妞新聞niusnewsによる事前予想アンケートでは創作組冠軍に選ばれています。若々しく清々しい、青春の香り溢れるオシャレなバンドです。

 

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以上がsasanoji radio Awards 2018【Best Newcomer Group/Band】部門の候補8組でした。
僕がどれも外せなくなってしまった理由、おわかりいただけましたでしょうか^^。もうみんな素晴らしい!みんな1位!既に日本でも注目を集めているバンドがいくつか入っていますが、それ以外のバンドも、イイでしょう~?要チェックですよ~。

 

第30屆金曲獎の候補が発表されたので追記しておきます。今回のS電賞ではバンド部門とソロ部門に分けているので、ここではバンドのみ取り上げますね。

【最佳新人獎】
The Fur.『Town』
王艷薇『框不住的艷薇』
Karencici『SHA YAN』
美秀集團『電火王』
ØZI『ØZI: The Album』
厭世少年『青春校園戀愛物語 Campus Romance』
劉柏辛『2029』

 

The Fur.のほうでしたか。I Mean Usではなく。金曲獎もこういったタイプのバンドがノミネートされる時代になったのですねー。なぜI Mean UsではなくThe Fur.だったのか、そこは興味あります。美秀集團は台湾らしいバンドですね。今回、最佳樂團獎と最佳裝幀設計獎にもノミネートされています。厭世少年も台湾らしい~^^。美秀集團も厭世少年も僕のストライクゾーンからはちょっと外れているので入れませんでしたけど、金曲獎では伝統的に選ばれてきたタイプのバンドですよね。

金曲獎予想は、次回のソロ部門のほうで。

 

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たぶんこれが最後のS電賞。