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sasanoji radio Awards 2017 【Album/EP of the Year】編

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2017年を振り返るsasanoji radio Awards 2017、最後は【Album/EP of the Year】部門です。僕が選んだ候補は以下の6作品!

 

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J.Sheon『街巷』(5月,SONY MUSIC

Jsheon2017 

1985年台湾生まれ、YouTuber出身の新人男性シンガーソングライター・J.Sheonの1stアルバム。【Best Newcomer】部門、【Best Male Artist】部門に続いて3つ目。ちょっと推し過ぎのような気もするが、でもそれくらいよく聴いた。メインプロデュースは剃刀蔣。注目の新鋭ラッパー・呂士軒が1曲ゲスト参加している。10曲目『早上Pa Pa Pa feat. J.Sheon』は2016年の陳星翰のアルバム『Welcome to the Next Level』からの再録。これを聴きながらの深夜ドライブ、超オススメ。

 

陳惠婷the Huiting『Voyager 3』(7月,亞神音樂)

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【Best Female Artist】部門、【Song of the Year】部門に続いて3つ目。男女3人組ロックバンド・Tizzy Bacのボーカル、陳惠婷の3rdアルバム。プロデュースは林揮斌Bean、作詞作曲は全て陳惠婷。ゲストミュージシャンとして旺福の小民(Gt)と肚皮(Dr)、宇宙人の阿奎(Gt)、張懸(安溥)のバンド・Algae等で知られる吉他手・杉特(Gt)、コーラスで陳思函が参加している。前2作と同様本作も電気系だが、3つの中では最もアコースティック寄りの音。楽曲、ボーカル共に安定感がありストレス無く聴ける。ソロ・陳惠婷の集大成的作品。

 

天草之間遊牧樂團The Grasslands Ensemble & Daniel Ho『聽見呼倫貝爾』(8月,風潮)

The_grasslands_ensemble2017 

内モンゴル自治区北東部、フルンボイル大草原に居住する多様な民族からなる天草之間遊牧樂團と、6年連続でグラミー賞(最優秀ハワイアンミュージックアルバム賞)を受賞したハワイ出身のウクレレ奏者・Daniel Hoの共演。プロデュースはDaniel Hoと独立系レーベル・風潮音樂の金曲獎製作人・吳金黛。蒙古族の男性歌手・哈斯巴圖、鄂温克エヴェンキ族の女性歌手・其其格瑪、滿族の女性歌手・八音赫赫、蒙古族の男性馬頭琴奏者・韓牟人、蒙古族の女性喉歌歌手・塔米爾、若手民族楽団・哈薩日樂團とDaniel Hoによるワールドミュージックアルバムの傑作。ぜひとも旅の空の下で聴いて欲しい1枚。美しい装丁も所有欲をそそる。

 

李劍青Li jian Qing『仍是異鄉人』(8月,相信音樂)

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【Best Male Artist】部門、【Song of the Year】部門に続いて3つ目。1977年生まれ、中国・広西チワン族自治区桂林出身。名プロデューサー・李宗盛の直弟子、李劍青の初個人作品集。全7曲を収録。作詞は李宗盛と、嚴彬、公路、藍藍ら大陸の詩人たち。作曲は全て李劍青自身が手掛けている。プロデュースはもちろん李宗盛。師匠譲りのブルージーな暖系ボーカル、クラシック出身らしいドラマ性に富んだ流麗なメロディ、広西交響楽団で副首席まで務めたバイオリンの音色は気高く、ギターは郷愁タップリに物語る。李宗盛の薫陶を受けて12年、その精華がここにある。名盤だと思う。

 

程璧Cheng Bi『步履不停』(12月,風潮)

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中国・山東省出身の女性シンガーソングライター、程璧の5thアルバム。彼女の音楽キャリアは少々特殊だ。彼女の美意識は、ほぼ日本で形成された。2009年、当時北京大学で東洋伝統美学を専攻していた程璧は、交換留学生として半年間日本で学んだ。2012年、大学院を卒業後1stアルバム『晴日共剪窗』を発表し、翌年再び来日。無印良品で知られる原研哉のデザイン事務所で働きながら、日本でも音楽活動を開始した。2014年、東京に自身の事務所を構えた程璧は、2ndアルバム『詩遇上歌』をリリース。翌2015年には3rdアルバム『我想和你虛度時光』を、2016年には詩人・金子みすゞの詩を中文訳した4thアルバム『早生的鈴蟲』をリリースし、日本の音楽ファンの間でも話題となった。これまでは既存の詩に曲を付けるパターンが多かった程璧だが、本作では歌詞のほとんどを自身で創作している。プロデュースは鈴木惣一朗。彼のユニット・ワールドスタンダードのメンバーによる演奏と程璧の詩的な世界観が美しく融合した、極めて完成度の高い作品となっている。

 

林瑪黛Ma-te Lin『嗨!又相遇了』(12月,派樂黛唱片)

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【Best Band】部門に続いて2つ目。2012年結成、女性ボーカル・林意倩を中心とする男女4人組インディーズ系エレクトロポップバンド、林瑪黛の2ndアルバム(候補決定時はCD版が出ていなかったため、ダウンロード版を候補とした)。林瑪黛とはバンド名であり、またMVやジャケット等にも登場する猫の目とオウムの羽の冠、犬の耳、鳥の脚を持つ神秘的な女性キャラクターの名でもある。彼女の目を通して見た世界を歌っている…というのがこのバンドのコンセプト。CD版は今年4月にリリースされて結局買い直すことになってしまったが、46ページもの豪華美麗絵本が付いた本作には、それだけの価値があると思う。

 

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以上がsasanoji radio Awards 2017【Album/EP of the Year】部門の候補6作品でした。
ここでは作品コンセプト、ジャケットの装丁含め全体の統一感などを重視していて、人気はあまり気にしていません。だいたい毎年地味なラインナップになっていますが、今回はちょっと個人的な趣味に走り過ぎたかも…と反省をしております^^;。

 

第29屆金曲獎【年度專輯獎】の候補は以下のとおり。

【年度專輯獎】
鄭興『忽然有一天,我離開了台北
徐佳瑩『心裡學』
陳奕迅『C'mon in~』
aMEI『偷故事的人』
林俊傑『偉大的渺小』
丁世光『神經誌』
茄子蛋『卡通人物』
許富凱『縫夢』
陳明章『撼山河』
江育達『根』
蕭煌奇『人生我敬你一杯』
秋林『大嶺腳下2』
黃瑋傑『夜色』
黃連煜『黃泥路』
蕭迦勒『細妹恁靚2017』
Paliulius樂團『圍坐在一起』
桑梅娟『渲染』
CMO樂團『直美』
台玖線樂團『有我陪伴』

 

この年度專輯獎というのは前回、第28屆から登場した表彰枠で、國語、台語、客語、原住民語の各ノミネートアルバムを全部一緒くたにして、その中から1つを選ぼうという意味不明な賞。各言語の受賞アルバムの中から真の一番を選ぶというのならまだ理解も出来ますが、昨年など言語アルバム賞を逃した作品がコレを受賞したのだから、もう『なんで???』という感じでした。また今年もやるんですかー。

金曲獎の予想は~、こんなのわかるわけありませ~ん。桑梅娟の『渲染』にしときますわ~。これ1点買いで。

 

追記:
第29屆金曲獎【年度專輯獎】は、陳奕迅『C'mon in~』が受賞しました!

 

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