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sasanoji radio Awards 2015 【Album/EP of the Year】編

もうすぐ2016年が終わるというのに、未だに2015年を振り返っているsasanoji radio Awards 2015。今更ですが、残りの【Album/EP of the Year】部門もいちおうやっておきますね~^^;。選んだ候補は以下の6作品です。

 

 

岑寧兒Yoyo Sham『Here』(1月,禾廣)

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1984年生まれ、香港の出身(現在は拠点を台湾に移して活動中)。このブログでもイチオシの女性シンガーソングライター、岑寧兒Yoyo Shamの1stアルバムです。
2011年に1st EP『4-6 pm』(亞神音樂)、2012年に2nd EP『2/2』(寰亞電影)をリリースしていますが、今年の金曲獎ではなぜか新人枠に入っていましたねー。本作『Here』は、Interlude(東京、台北、インドで録音したストリートノイズ)3曲を含む全14曲を収録した待望のフルアルバムで、クルーズ感溢れる彼女のナチュラルな歌声とアコースティックサウンドは旅のお供にピッタリ。チケットの切れ端や絵葉書が挿み込まれた思い出のスクラップブックのような装丁が旅情をさらにかき立ててくれます。アルバムプロデュースは自然卷の奇哥老師が担当。盟友・盧凱彤Ellen Loo、アカペラグループ・張山charatay、陳哲廬Jeraldら音楽仲間たちも多数参加した、ここに至るまでの彼女の足跡がしっかりと感じられる必聴の1枚です。

 

麋先生Mixer『沒名字的人類』(3月,Sony Music

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1stアルバム『馬戲團運動』(2013年)で第25屆金曲獎【最佳樂團獎】を受賞し、一気に台湾バンドシーンのトップへと駆け上がってしまった高雄出身の若手5人組ロックバンド・麋先生Mixerの2ndアルバムです。これも前身となる子安聖皓ZA-SH(2011年結成、2012年改名)の頃から推してはいたものの、まさかこんなにも早く売れてしまうとは…想像もしていませんでした。出来すぎた結果に嬉しい反面、次にどんな作品が出てくるのか楽しみよりも心配のほうが先に立ってしまったのですが、でもそれは杞憂にすぎなかったようです。インディーズからメジャーへ、彼らが大きく羽ばたいていった瞬間を目の当たりに出来た僕は本当に幸運だったと、この2ndアルバムを聴きながら改めて思いました。全10曲、Introからラストまでまったく隙のない完成度の高い1枚です。
これでまた3rdアルバムの心配をしなければならなくなってしまった(10月リリースなので、もう手元にはあるのですけどね^^)。

 

群星Various Artists『女也(Herstory with Mayday)』(6月,相信音樂)

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結成16年、中華圏を代表する男性5人組ロックバンド・五月天MayDayの楽曲を人気女性歌手10名がカバーした贅沢なコンセプトアルバムです。歌っているのは曲婉婷Wanting、林憶蓮Sandy Lam、S.H.E、徐佳瑩Lala Hsu、梁靜茹Fish Leong、鄧紫棋G.E.M.、家家JiaJia、艾怡良Eve Ai、魏如萱Waa、黃韻玲Kay Huangら新進・ベテランの実力者ばかり。五月天の存在あってのこととは言え、これだけの面子をレーベルの枠を越えてよくも集められたなあと感心しました。それから豪華なプロデュース・編曲陣の仕事も素晴らしい。彼女たちは歌いたい曲を自分で選んだそうですが、それぞれのイメージに合うよう見事に生まれ変わらせています。みんな最初から自分の持ち歌だったみたいにハマっている。五月天抜きにしても買って損はしない、超お得ボーカルアルバムだと思います。惜しむらくは普通のプラケースにシールを貼っただけのチープなジャケットか(しかも僕のはナナメってた^^;)。

 

雷光夏Summer Lei『不想忘記的聲音』(8月,Sony Music

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ヒーリング成分たっぷりのウィスパーボイスとメロディ、1995年にCDデビューした“音樂詩人”、女性シンガーソングライター・雷光夏Summer Leiの前作から5年3ヶ月ぶりとなる7枚目のアルバムです。
全12曲、イラスト入りの詩集を音楽アルバム化するとこうなるだろう…というような歌とインストゥルメンタルを交互に配した構成。CDジャケットの装丁もハードカバーの詩集本仕様というこだわりで、この優しさと温もり、重さは実際に手にしてみなければ得られない感覚でしょうね~。雷光夏は20世紀イタリアを代表する作家Italo Calvinoの世界観に影響を受けているそうで、歌詞は幻想的。時間と空間、宇宙と地上、夢と現実を行ったり来たりしているような…正直よくわかりません^^;。でも、このCDジャケットを手に聴いていると…なんとなくわかったような気がしてくる、本当に癒される1枚、1冊なのですよ。

 

黃小琥Tiger Huang『愛情原來沒什麼』(11月,華納)

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1990年にCDデビューしたパブシンガー出身の実力派、『パブ女王』こと黃小琥Tiger Huangの最新アルバム、13枚目の標準中国語(國語)作品です。
子供の頃から西洋音楽に親しみ、80年代はパブシンガーとして活躍。1990年、デビュー作『不只是朋友』で第2屆金曲獎【新人獎】を受賞しました。初期には英語作品もリリースしていて、パブを巡回公演した際その圧倒的な歌唱力で大人気となり“The Queen of Pub”の美称を獲得。現在はオーディション番組の審査員としてもお馴染みですが、容赦のない批評をすることから金庸武侠小説の登場人物になぞらえて“滅絕師太”ともアダ名されています。他の追随を許さない卓越した技巧と歌唱の安定感、これほどの実力者ながら金曲獎の【最佳國語女歌手】部門にノミネートされたのは第21屆(2010年)のみというのが不思議。時にはドキドキするような変化も必要ということなのでしょうか…。でも良いものはやっぱり評価していいと思うのです。

 

蘇運瑩Sue『冥明』(12月,Sony Music

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新人部門、女性歌手部門、楽曲部門に続いて4つ目!2015年、彼女の登場はそれくらい衝撃的でした。1991年生まれ、大陸南方・海南島に多く住む少数民族・黎リー族出身の新人女性シンガーソングライター、蘇運瑩Sueのデビューアルバムです。
今年の金曲獎では最佳新人獎と最佳國語女歌手獎の2部門にノミネートされていましたね。僕はアルバムのほうも高く評価しました。たぶん2016年一番聴いたんじゃないでしょうか、ずっとループさせていましたから^^。プロデュースを務めたのは有名アーティスト作品を多数手掛けているヒットメーカー・陳建騏George Chen。ですが、どうでしょう。彼が関わっているような気配はあまり感じられませんね。ひょっとすると蘇運瑩が突っ走らないよう、個性を活かしつつ手綱を締める役に回っていたのかも…。それでも迸り出てくる彼女のカラフルで強烈な個性。次作、どんな色が飛び出してくるのか楽しみでもあり、ちょっと心配でもある…。

 

以上がsasanoji radio Awards 2015、【Album/EP of the Year】部門の候補6作品でした。

金曲獎の候補とは…まったくカブっていませんね。これはこれで狙いどおりです^^。ただ、謝震廷の1stアルバム『查理』は前段階までは入っていました。本当に鮮烈な作品でしたからね。ほか、最後まで残っていたのは左安西西『你一直在』、彭佳慧『大齡女子』、それから1月リリースのhush!樂團『Everyone's Gonna Miss You』も残っていたのですが、ライブ盤なので最終的に外しています。コレ、スタジオ録音盤よりも出来が良かったりして…^^。

 

金曲獎はビバルディ計画最後の作品となる蘇打綠の『冬 未了』が受賞ということで、これは妥当でしょうね。納得の結果です。