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sasanoji radio Awards 2015 【Best Newcomer】編

2015年を振り返るsasanoji radio Awards 2015、今回は【Best Newcomer】部門です。選んだ候補は以下の8組。

 

 

核桃KurumiQ『相信自己才是最重要的啊』(7月,亞神音樂)

Kurumiq2015 

核桃KurumiQは雲林出身の双子の姉妹、姉・張瑀Chang Yu(Vo,Gt)と妹・張璿Chang Syuan(Dr,Chor)による癒やし度の高い正妹系新人創作デュオです。
大学在学中だった2011年、地元雲林の環球科技大學、虎尾科技大學、雲林科技大學の3大学が共催した音楽祭『雲弦獎』にソロやバンドで出場。その様子をネットで知った棉花糖katncnadix2の沈聖哲に誘われて、2014年、大学卒業を期に彼の事務所・貳參柒伍工作室2375studioと契約をしました。ユニット名の由来は日本のロックバンド・Mr.Childrenのナンバー『くるみ』(2003年)から。『これから来る未来』という意味が込められたこのタイトルを気に入って、日本語読みのまま名付けたとのこと(後ろの『Q』は形がクルミに似ているからという可愛らしい理由で付けただけらしい^^;)。CDジャケットやMVで使用している写真は昨年来日した時に京都で撮影されたものです。インストゥルメンタル1曲を含む全4曲を収録。

 

丁詩瑀Birdy『做自己』(9月,禾廣)

Birdy2015 

Birdyこと丁詩瑀はフィリピン出身の本格派女性シンガーです。本名はDesiree Cambronero Ting(2013年に台湾人男性・丁佑寧氏と結婚した)。妹は一足先に本国でデビューしている人気シンガーのPaullete Cambroneroです。
2009年、彼女はホテルのラウンジ歌手として来台。ポップス、R&B、ジャズ、オペラなど何でも歌いこなす驚異的な歌唱力で注目を集め、2013年、人気オーディション番組『超級偶像7』のPK戦に出場して勝利。2014年から2015年にかけては『我要當歌手』に出場し、高成績を収めて本CDのリリース権を得ています。また同じ年、大陸の番組『最美和聲』にゲストとして出演、人気男性歌手・楊坤との見事なデュエットで大陸にもその名を知らしめました。本作はインストナンバー2曲を含む4曲入りシングルで歌は2曲しか入っていないのですが、それでも彼女の実力は十分に伝わってきます。必聴の1枚です。なお1曲目収録の『Loving You』はアノ有名曲ではありません。葛揚忠作詞作曲によるオリジナル曲ですが、それはもう素晴らしいバラードで…。MVが無いのが本当に残念。

 

楊凱琳Rosie『一直微笑』(10月,Sony Music

Rosie2015 

1992年生まれ、米・ニューヨーク出身。身長168センチの九頭身美女。女優・林依晨に似ていることから“小林依晨”とも呼ばれている索尼音樂Sony Musicイチオシの超大型新人です。70年代にラウンジ歌手として活躍していた母親・孫芳譲りの美声が魅力。18歳のとき、その母親の勧めで上海の大手芸能プロダクションと契約。『搜神記』や『終極一班2』などいくつかの人気ドラマに出演していますが、事務所はどうも彼女を楊紫瓊の後継にしたかったようで、当時受けた芸能訓練はボクシングやムエタイなど主に運動能力を高めるものが中心だったそうです^^;。その後、歌手になる夢を叶えるためアメリカの大学を一時休学して渡台。2013年、ライブでBirdyの『Skinny Love』を歌ったところ、その華人には珍しい歌声を気に入った索尼幹部にスカウトされ、2年間のトレーニングを経て本作『一直微笑』でCDデビューとなりましました。全11曲、有名クリエイターが多数参加した、新人らしからぬパワーと新人らしい瑞々しさに溢れた1枚です。

 

池端玲名LEINA『獨一無二的存在』(11月,avex

Leina2015 

池端レイナ、台湾では漢字表記の池端玲名となります。1987年生まれ、北海道出身。身長165センチのコチラも九頭身美女。学習院女子大卒のモデルさんで、女優、タレントとしても活躍中。2014年、原田マハの小説『一分間だけ』を原作とする日台合作映画『只要一分鐘』に日本人モデル役で出演したのをキッカケに中国語を学び始め、なんと2ヶ月でマスターしてしまったとか^^;。以降台湾にも活動の場を広げ、バラエティ番組の総合司会や映画に出演するなど日台を股にかけて活躍中です。さらに昨年11月、大ヒット映画『那些年,我們一起追的女孩』の主題歌の日本語カバーや 『日台の懸け橋になりたい』との思いを込めて自身が作詞をした『唯一無二の存在』、その中国語バージョンなど全4曲を収録したEP『獨一無二的形存在』を『LEINA』名義でリリース、歌手デビューも果たしました。とにかく無条件に応援してあげたくなってしまう頑張り屋さんなのですよ^^。超期待!

 

冼佩瑾Celeste Syn『為什麼要乖』(12月,Sony Music

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小瑾こと冼佩瑾は昨年12月に周杰倫の妹分としてデビューしたシンガポール出身の個性派女性シンガーソングライターです。年齢は不詳。見た目はアイドルっぽいですが、中時電子報の記事によると30歳近いとの情報も…。とてもそんなふうには見えませんけどね(でも地声はけっこう低めです)。
冼佩瑾は5歳からエレクトーンを弾き始め、大学ではクラシックピアノを専攻。2005年に旅行で台湾を訪れて以来その環境の素晴らしさに魅了され、3年ほど前に本格移住しました。梁心頤との縁で周杰倫の事務所・杰威爾音樂で制作助手やクリエイターとして働きながら練磨を重ね、昨年12月、本作『為什麼要乖』でCDデビュー。個性的な歌唱もさることながら、風変わりなメロディラインが特に印象的。収録されている10曲は全て彼女が作曲をしたものですが、作業はピアノの前とかではなく、いつもiPadに入れた音楽制作アプリで行なっているというニュータイプのシンガーソングライターです。

 

蘇運瑩Sue『冥明』(12月,Sony Music

Sue2015 

1991年生まれ、大陸南方・海南島に多く住む少数民族・黎リー族出身の新人女性シンガーソングライターです。歌好きの少女がそのまま大人になったかのような天真爛漫なキャラクターと超絶的ボーカルが魅力。幼少の頃から民謡を身近に聴いて育ち、2011年に北京現代音樂學院に進学。 中国歌唱指導の第一人者・衣江風から多くの薫陶を受けました。2015年に出場した大陸の人気歌唱コンテスト番組『中國好歌曲第二季』で彼女の歌った自作曲『野子』と『螢火蟲』が、そのインパクトのあるキャラクターや独特のボーカルと共に大変な話題となり、同年6月、メジャーレーベル・索尼音樂Sony Musicと契約。それから半年後、オリジナルナンバー10曲を収めた1stアルバム『冥明』でCDデビューしました。
蘇運瑩が初めてテレビの画面に登場し一般に存在が認知されたのは2015年1月。つまり彼女はそれを僅か1年でやってのけたわけです。まるで徐佳瑩の再来を思わせる、桁外れの新人の登場です。

 

謝震廷Eli Hsieh『查理』(12月,十全媒體)

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新人ではありますが、この若者の名前をご存知の方、多いのではないでしょうか。1993年生まれ、現在22歳。2007年にスタートしたオーディション番組『超級星光大道』第1シーズンに当時最年少の13歳で出場、大人顔負けの卓越した歌唱で10強まで勝ち進んで人気者となったアノ少年こそが、彼、謝震廷です。その後、2010年に超級星光大道の特番『星光傳奇賽』に一度出演していますが、以降はライブやネット上での活動を中心に地道に練磨を重ねていました。また2011年には、彼にとってはお姉さん的存在の女性シンガーソングライター・吳汶芳と、5人組バンド・Double 2樂團を結成していた時期もあります。メンバーの兵役もあって2本のMVを残したのみと短命に終わりましたが、復活を望む声は今も多く聞かれますね。そして2015年、初心を貫いて真っすぐに成長した若者の姿で、鮮烈なるオリジナルナンバー10曲(1曲目の作詞のみ葛大為)と共に再び僕らの前に現れた。なんと感慨深いことでしょう。

 

李德筠Te Yun Li『價值觀 Vol.01』(12月,野火樂集)

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張芸京をイメージさせる短い髪と飾り気のない端正な顔立ちは中性的で、一見しただけでは女性との確信が持てませんでした。1985年生まれ、新竹の出身(客家系?)。現在31歳ということで、かなり遅めのデビューですね。ただアマチュアでのキャリアは長く、高校生の頃からいろんな歌唱コンテストに出場しては優秀な成績を収めていたようです。成功大學建築學系で4年学んだあと改めて自分の人生について考えた彼女は、さらに政治大學英國語文學系に入り直し、卒業後は英語辞書の編集者として出版社で働きながらライブ活動を続けていました。今回のCDデビューは、いよいよ彼女の中で音楽の世界に生きる気持ちが満ちたということなのでしょう。全10曲(預購版は2曲入りEP付き)、純真で素朴な感覚に溢れた穏やかな1枚です。2曲目収録の『海尼根情歌』は彼女が成大時代、2年間恋愛関係にあった『女性』と別れ、お酒を飲んで酔っ払ったときに突然に湧いてきた歌だそうです。

 

以上がsasanoji radio Awards 2015、【Best Newcomer】部門の候補8組でした。

2015年度は新人が豊作でしたねー。知名度がありながら今までアルバムを出していなかった新人らしからぬ新人も多くて、それを入れるか外すかでかなり悩みました。とくに謝震廷と共演する機会の多かった吳汶芳。彼女も昨年1stアルバムをリリースしていて、ぜひ一緒に入れてあげたかったのですが、既にドラマの主題歌等で活躍しているので涙を飲んで外しました。それからバンド部門で候補に選んでいる史貝絲考克小男孩樂團、グループ部門で候補に選んでいる左安西西も、なるべく重複を避けたかったので席を譲ってもらっています。

ほか、気になった新人を挙げておくと、黃嘉千の後継と言われている女性シンガー・Jennifer、ちょっとクセのある渋い歌唱が印象的な男性シンガーソングライター・柯智棠、マレーシア出身のネットアイドル系女性シンガー・林明禎、後台音樂所属の新世代女性シンガーソングライター・花兒(林佳音)、グループ部門のところで少し触れた大陸出身の姉妹デュオ・咖啡貓、カナダ華僑出身の女性シンガー・九九あたりが個人的には推しです。

 

金曲獎のほうもチェックしておきましょうか。

共通しているのは謝震廷と蘇運瑩だけですね。なるほど、柯智棠が入っているんだなー。いいんじゃないでしょうか。ただ、Hello Nico岑寧兒がここに入れられているのは違和感かなぁ…。香港出身で現在は台湾を活動の拠点としている女性シンガーソングライター・岑寧兒は2011年に『4-6pm』、2012年に『2/2』をリリース済みで、このブログでも過去に何度か取り上げていますし、女性シンガーソングライター・詹宇庭を中心に結成された男女3人組バンド・Hello Nicoについても、2014年度の新人部門のところで既に触れています。張三李四熊仔は、まったくのノーチェックでした。

 

金曲獎予想ですが、本命が蘇運瑩、対抗は謝震廷、柯智棠を単穴としておきます。