sasanoji電台【台湾ポップス専門】

こちらはsasanoji電台第1廣播、TW-POP専門チャンネルです。

アミューズ所属の爽やかカップルユニット、慢慢說樂團。

慢慢說樂團Murmurshow『MURMURSHOW』(2014)

murmurshow2014

 

今回は4月16日リリース、日本の大手芸能プロダクション・Amuseが2011年に設立した台湾子会社・雅慕斯娯樂Amuse Taiwanの第1号契約アーティスト、男女2人組ユニット・慢慢說樂團(マンマンシュオユエトワン)の1stアルバム『MURMURSHOW』です。

 

まずは1曲。アルバム4曲目に収録の『標準解題』。

MVの監督は近年金曲獎の常連・比爾賈Bounce。ヘアメイクを日本人メイクアップアーティスト・赤松絵利@esperさん(宮﨑あおい、綾瀬はるか蒼井優ほか多くの女性たちから絶大な信頼を得ている)が担当しています。

 

慢慢說樂團は、女性シンガーソングライター・利得彙Freda Liと男性ギタリスト・沈志方Jack Shenによる男女2人組ポップユニットです。Amuseの公式プロフィールでは2012年結成となっていますが、2011年中には既にユニットでの活動を開始していました。このブログでも2012年2月、自主制作EP『等』がリリースされた際に一度取り上げていますね。

本作『MURMURSHOW』(発行は亞神音樂)は彼らにとって2年2ヶ月ぶりとなるCD作品です。作詞は全て利得彙、作曲は利得彙と沈志方の共作。プロデュースを務めたのはなんと、ヒットメーカー・陳建騏George Chenです。日本からはflumpoolやAimer、fumikaほか数多くのアーティストの楽曲を手掛けた名アレンジャー・釣俊輔も参加。台湾と日本の一流スタッフが全面バックアップした、これまでのシンプルな慢慢說樂團のイメージを覆すリッチな作品となっています。全10曲を収録。

 

3曲目に収録、首波主打『五虎』。 釣俊輔が編曲と打ち込みを担当した派手なナンバー。

 

利得彙(リーダーフイ)は1985年生まれの29歳。2006年、大学対抗歌唱コンテスト『校園歌喉戰』に靜宜大學代表として出場。成績は13位と振るいませんでしたが(優勝者は台灣大學代表の韋禮安)、番組のコンピレーションアルバムに参加する機会を得て注目を集め、2009年、台北の独立系レーベル・擎天娛樂Skyhighから2曲入りEP『不要你的我』でCDデビューしました。翌2010年4月には自作のダウンロード専用シングル『愛陪』を発表。アンプラグドスタイルのフォークロックやポップスが似合いそうな、良質の新人女性歌手の誕生を予感させたのですが、同年5月リリースの1stアルバム『花痴』ではイメージが一変。プロデューサーはいったい彼女をどう育てようとしたのか、じっくりと聴かせるバラードがあるかと思えば、明らかにK-POPの影響を受けたと分かるアイドル然としたナンバーを歌わせるなど、まったく方向性が定まらない不明瞭な作品となってしまいました(彼女の自作曲は2曲のみ)。結局、利得彙の人気はブレイクには至らず、2011年はいくつかの音楽番組に出演はしていますが、そのまま表舞台からはフェードアウト。再び浮上するまでの間、彼女は本来のシンガーソングライターに戻って、ライブを中心に地道に音楽活動を続けていたようです。

沈志方(チェンジーファン)は1983年生まれの30歳。これまでの経歴等詳しいプロフィールは不明ですが、利得彙が2011年6月に行なったアコースティックライブでは既にギタリストとして彼女をサポートしています。以降、利得彙の隣りには常に彼の姿がありました。2011年10月、香港のオーディション番組『超級巨聲』第3シーズンのPK戦にもこのユニットで登場して息の合ったところを見せています。現在2人は公私に渡るパートナーという間柄。僕は結婚秒読みではないかと思っているのですけれど、どうでしょう?

 

2012年2月リリース、2nd EP『等』からタイトルナンバー『等』。利得彙の名義となっていますが、これも沈志方とのユニット・利得彙×慢慢說樂團による作品と言っていいでしょう。

EP『等』は、友人知人らの助力を得て完成した手作りのインディーズ作品で、プレス枚数も少なく、彼らのウェブサイトや一部店舗を通じて販売されたのみでした。当時このEPの製作資金を捻出するために2人はかなり切り詰めた生活をしていたようで、ご飯にケチャップをかけただけ…といった食事を半年間も続けたとか。最後にはとうとう耐えられなくなって、全家(ファミリーマート)までおでんを買いに走ったこともあったと、その頃の思い出として語っています(2人は全家を『我が家』と呼んでいる)。

 

ところが、チャンスは思わぬところに転がっているものなのですね。2012年4月、2人はCATV局Diva Universal AsiaとSony Musicの共催による米ドラマ『Smash』のアジア地区公開に合わせて行なわれたネット歌唱コンテスト『SMASH歌唱比賽』[*1]にエントリーし、見事優勝。それで6月20日、ドラマの中文版声優を務めた女優・葉瑋庭、香港の人気俳優・白梓軒らと共に記念イベント『SMASH之夜』に出演することになったのですが、どうやらそこでアミューズの関係者の目に留まったようです。2012年10月、2人は来日し本社を訪問。そして12月、慢慢說樂團はアミューズが契約した初めての台湾人アーティストとなりました。

 

彼らはこの『Let Me Be Your Star』を歌って優勝した。下は『SMASH之夜』の様子。

 

契約後1年間、ライブや創作活動を精力的に行ないつつ露出を増やしてきた慢慢說樂團は、今年1月にダウンロードシングル『Higher』を発表。続いて4月16日、ついにこれまでの精華となる1stアルバム『MURMURSHOW』をリリースしました。台湾各紙は慢慢說樂團をサザンオールスターズ福山雅治Perfumeの後輩として大きく取り上げ、話題を呼んでいます。

また、アルバムリリースの直前に中国大陸の歌唱コンテスト番組『中國好歌曲』[*2]に出場。最終8組には残れませんでしたが、彼らの歌った『五虎』は審査員の1人・蔡健雅選定による仮想アルバム『美味人生』の8曲目に採用され、これも良い宣伝となったようです。

 

アーティスト仲間たちからのエール。最後に登場するのは…^^。

 

今回のアルバム、メジャーがバックに付いたこともあって、かなり豪華なサポートメンバーが集まっています。従来のアコースティックな雰囲気を期待して聴くと少々戸惑うかもしれません。そのあたりが個人的には心配なのですが、とにかく応援したくなる2人なのです。優しく見守りながら育てていってほしい、そう願っています。

 

 

それにしても、アミューズよりも先に目をつけていた僕の目、なかなかのもんでしょ^^。

 

* * * * * *

慢慢說MURMURSHOW - Facebook

 

* * * * * *

関連記事

利得彙は今、しっかりとここに立っている。(2012年2月25日)

 

* * * * * *

脚注

*1:ドラマの挿入歌をカバーしたビデオをYouTube上で募集、視聴者の投票によって勝者を決定する。

*2:中華圏の優秀シンガーソングライターを決定すると共に、審査員4名それぞれが選んだアーティストたちによる仮想コンピレーションアルバムを制作する、淘汰スタイルのコンテスト。