sasanoji電台【台湾ポップス専門】

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sasanoji radio Awards 2013 【Best Male Artist】編

【Best Male Artist】部門です。
選んだ候補は以下の6名。

 

林俊傑JJ Lin『因你而在』(3月)

jj-lin2013 

1981年生まれの33歳、シンガポール出身。周杰倫王力宏羅志祥らと共に台湾新四大天王(最近では羅志祥に代えて、前回の金曲獎で最佳國語男歌手獎を受賞した蕭敬騰を入れた記事も見掛ける^^;)の1人に名を連ねる実力派シンガーソングライター、JJこと林俊傑(リンジュンジエ)のデビュー10周年記念作、10thオリジナルアルバムです。

実を言うと、僕はこれまで林俊傑のアルバムを購入したことがありませんでした。彼の柔らかそうな物腰が醸し出す品の良さ、繊細そうな雰囲気がなんとなく苦手で…。ところが今回、このアルバムを通して聴いてみて、僕が今まで彼に持っていたイメージはガラリと変わりました。繊細さだけではない、情熱に溢れた気骨のあるアーティストなのだと感じました。本作『因你而在』には全11曲が収録されていますが、全曲がクライマックス、全曲シングルカットしてもいいくらいの充実度です。一線級の監督陣、実力派俳優、アーティスト仲間らが多数参加した微電影、MV群も、無料公開されているのが信じられないほどの力作揃いです。

 

楊宗緯Aska Yang『初.愛』(5月)

aska-yang2013 

1978年生まれの36歳。情感豊かな表現力と圧倒的技巧を誇る実力派男性シンガー・楊宗緯(ヤンゾンウェイ)の3rdアルバムです。前作『原色』から1年7ヵ月ぶりとなる本作は、渋いモノクロ写真をイメージさせる『原色』とは対照的な、優しく温かい、彩りに満ちた作品に仕上げられています。楊宗緯のリラックスしたボーカルをじっくりと楽しめる1枚です。

楊宗緯は、昨年の金曲獎で最佳國語男歌手に輝いた蕭敬騰や惜しくも受賞を逃した林宥嘉らと同じオーディション番組『超級星光大道』第1シーズン(2007年)の出身、2008年にCDデビューした同期です。が、デビュー直後に大きな契約争議に巻き込まれ、以降1年以上に渡って芸能活動は凍結状態に。同期の2名からは完全に遅れをとってしまいました。2011年、李宗盛がプロデュースした2ndアルバム『原色』でようやく復活を果たしたものの、市場での高い評価とは裏腹に業界関係者の評価は押しなべて平凡。翌年の金曲獎でもほとんど無視をされています。昨年の春、楊宗緯は大陸の音楽番組『我是歌手』に出演し高い評価を受けました。それがキッカケとなったのでしょうか、現在は活動の主軸を大陸へと移しているようです。また彼に対する評価も、本国・台湾より大陸のほうが勝っているような状況です。彼が自分らしく歌える場所を見つけてくれたのは嬉しいことですが、ちょっぴり寂しくもありますね。

 

蛋堡Soft Lipa『你所不知道的杜振熙之內部整修』(7月)

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前作『踩.腳.踏.車』から1年9ヶ月ぶり。ヒップホップレーベル・颜社KAOINCの旗艦アーティスト、蛋堡Softlipa(杜振熙)の5thアルバムです(EP『黃金年代』を除く)。

レントゲン写真を使用したデザインもショッキングですが、アルバムタイトルからも分かるとおり、本作『你所不知道的杜振熙之內部整修』は自己との対話と再生をテーマとしています。杜振熙自身が、『蛋堡』という個性も含め自分の中に存在する様々な『杜振熙』と対峙し再生していく過程を記録した、まるで他人のカルテを目の前に広げられたような感覚に陥る衝撃作です。今回は蛋堡の単独プロデュースということで、曲調は1st『收斂水』、2nd『Winter Sweet』との繋がりを感じさせる彼らしいロマンティックなものを中心としていますが、歌詞のほうはテーマがテーマだけに、文学的色彩の濃い、ひじょうに重く分厚い内容となっています(実際、歌詞カードではなく歌詞本仕様)。各13曲を収録したCD2枚組、全26曲という大ボリューム。全曲が蛋堡の手によるもの。ゲストアーティストは妹分・葛仲珊MISS KO、DANCE SOUL・陳姿陵Nike Chen、香港のソウルシンガー・方大同のほか、女性フルート奏者・蔡子琪Jenni Tsai、日本からは3rdアルバム『月光』で競演したクラブジャズバンド・JABBERLOOPのMAKOTO(Tp)が参加。蛋堡の執念を感じさせる、2013年最重要の作品です。

実はこのアルバム、当初は2012年12月中旬のリリースを予定していたそうです。リードナンバー『你所不知道的杜振熙』のMVも、2012年11月には既にネット上で発表されていてました。ところがここでアクシデントが発生します。11月24日、颜社と台北のヒップホップブランド・REMIXのコラボMV『Melting Gold』を撮影中、共演のロックシンガー・艾偉倫Allen Wesと相対して走り寄ったあとジャンピングハイタッチする場面でタイミングがズレ、蛋堡は右腕上腕部を骨折。12月の簡單生活節出演はもちろんキャンセルとなり、以降のスケジュールにも大幅な遅れが生じてしまいました。おそらく彼はこの状況を利用して再度自分を見つめ直すと共に、アルバムについても『內部整修』を図ったのではないでしょうか。その結果としての大ボリュームだったのではないかと。ジャケット等に自分のレントゲン写真を使うアイデアも、このアクシデントから生まれたものなのかもしれませんね。

 

李榮浩Ronghao Li『模特』(9月)

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1985年生まれ、中国・安徽省出身。楽曲提供やプロデュース、専属ギタリスト等クリエイターとしての活躍も目覚ましい若手実力派シンガーソングライター、李榮浩(リーロンハオ)の初個人作品集です。

李榮浩は10歳の頃から独学でギターを弾き始め、後にプロのベーシスト・尹富源に師事。2004年、彼の楽曲『煩』が内地の有名音楽雑誌『吉他平方GuitarSquare』に注目され、同年、江蘇省の音楽コンテストで優勝するなど頭角を現し始めました。翌2005年、ギタリストとして本格的に活動を開始した李榮浩は、どのような経緯だったのか、アジア最大のメジャーレーベル・艾迴avex(現・愛貝克思)と契約。2007年、蘇見信(信樂團)のソロ1stアルバム『我就是我』に楽曲提供、プロデュースで参加したのを皮切りに、趙薇、陳坤、楊丞琳王心凌、張信哲、李宇春、黃雅莉、范逸臣ほか、大陸・台湾を問わず、これまで数多くのメジャーアーティストの作品に、主にクリエイター側として携わってきました。本作『模特』は、その李榮浩がシンガーソングライターとしてリリースした初めての個人アルバムです。

2013年も、僕はTW-POPを中心にたくさんのC-POP CDを買いました。中には詳しい情報が出ていないにもかかわらず、ちょっと気になって買ってしまったものもいくつかあります。李榮浩の『模特』もそんな中の1枚でしたが、CDをプレーヤーにセットして1曲目『李白』のギターフレーズが聞こえてきた瞬間、ゾワッと鳥肌が立ったのと同時に、『いいものを買った!』という、えも言われぬ満足感が湧いてきたことを覚えています。とにかく渋い。 ブルース感溢れる男臭い楽曲の数々と彼の奏でる渋いギターサウンドは、何度リピートしても飽きが来ない。AORっぽい懐かしい香りは音楽としては少々古いかもしれませんが、個人的には本当に買って良かった!と思っている1枚です。

 

周華健Emil Chau『江湖』(12月)

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前作『花旦』から2年7ヶ月ぶりとなる國民歌王・周華健(ジョウファジエン)の最新作ですが、『花旦』は女性歌手のヒット曲カバー集だったので、オリジナルアルバムとしては2006年の『雨人』以来、実に7年8ヶ月ぶりとなりますね。

本作『江湖』は、これまで周華健がリリースしてきた数十枚にも及ぶアルバムの中で、最も異質且つ挑戦的、そして浪漫溢れる作品です。それは収録されている14曲全ての作詞を担当した中華圏を代表する小説家・張大春の筆力によるところも大きいのでしょう。80年代、当時滾石唱片で製作助手をしていた周華健(1960年生まれ)と新鋭作家だった張大春(1957年生まれ)は、事務所で幾度か顔を合わせるなど既に面識を持っていました。そして年月は流れ、共に大成。2007年、2人は新京劇『水滸108』の脚本家と音楽監督という形で再会したのをきっかけに、東西の文化、伝統と現代、流行と古典の垣根を越えた、国際舞台に通用する華人音楽の創造を模索し始めます。周華健はその頃、流行を追い続けることにちょうど悩んでいた時期で、アルバムリリースが長く途絶えていた理由もそこにあるのですけど、張大春との合作は彼の創作意欲を大いに刺激したに違いありません。3年を掛けて制作された本作『江湖』は、周華健曰く『このまま引退しても悔いはない』というほど満足のいく出来となったようです。実際、作品全体から発せられる熱量は相当なもので、聴いているコチラも思わず身構えてしまうくらい。壮大な一大叙事詩、舞台劇を想起させる超重量級の1枚となっています。

 

拉卡・飛琅Laka『流浪的歌』(12月)

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1969年生まれ、映画『賽德克・巴萊』(邦題:セデック・バレ)で一躍日本でも知られる存在となった台湾の原住民族・賽德克セデック族出身のシンガーソングライター、拉卡・飛琅の3rdアルバムです。民族名は拉卡・巫茂Laka Umaw。愛称は阿飛。

拉卡・飛琅は中学卒業後10年余を軍で過ごし、除隊して後は長く調理師とパブシンガーという二重生活を送っていました。1999年、彼は台北のライブハウス《EZ5》に招待されたのを機に調理師の仕事を辞め、生涯の道を音楽一本に絞ることを決意。以降夥しい数のライブに出演するなど練磨を重ね、2004年、1stアルバム『飛・回家』でCDデビューしました。拉卡.飛琅はこの作品で、第16屆金曲獎の最佳原住民流行音樂專輯演唱新人獎を獲得しています。しかしながら、音楽だけで生活の基盤を築くことはやはり難しく、2006年には2ndアルバム『想・飛』をリリースしていますが、昼は鉄筋工として働き、夜はライブ活動という厳しい暮らしを続けていたようです。転機は2008年。台湾の舞踏集団・雲門舞集が2004年から行なっている若手芸術家支援プロジェクト『流浪者計畫』、若手芸術家たちを極貧の旅に送り出し自分探しをさせる企画らしいのですが、拉卡・飛琅はこれに応募して入選。中国大陸・瀘沽湖を3ヶ月間、現地の人々や音楽に触れながら流浪し、様々な創作インスピレーションを得て戻ってきました。その後、彼は音楽だけでなく俳優活動にも進出。2011年の大ヒット映画『賽德克・巴萊』では悲劇の頭目・ホーゴー社のタダオノーカンを演じると共に、主題歌『看見彩虹』の作詞作曲を担当したことでも注目を集めています。劇場では幕間にこの『看見彩虹』が流れていましたが、僕は知らず知らずのうちに彼の曲を聴いていたのですね。

『想・飛』から7年ぶりにリリースされた本作『流浪的歌』は、賽德克の歌と瀘沽湖周辺に住む少数民族・摩梭人の民謡を融合させるなど、流浪の旅での経験を活かした、従来の台湾原住民族音楽の枠を越えた、大きな繋がりを感じさせる作品となっています。必聴の1枚です。

 

男性陣のほうは陶喆David Taoがほぼ4年ぶりに新作を出したりはしていますが、女性部門に比べるとビックリさせられる場面はそれほど多くなかったのではないでしょうか。出すべき人が出した、ひじょうに落ち着いた1年だったように思います。
その中で要注目アーティストを挙げるとすれば、やはり張震嶽。EP『兩手空空』からは2年4ヶ月ぶり。アルバムとしては2007年の『OK』以来6年ぶりとなる新作です。ほか、蕭煌奇、舒米恩Suming、李宗盛、陳昇、大支、亂彈阿翔あたりも注目でしょうか。

女性部門・謝安琪Kay Tseのところで、ここでも痛恨のミスをした…と書いたのですが、実は当初、ここに師子吼Simhanadaというアーティストを入れていました。ところが調べてみたら、師子吼はソロではなかったのですねー^^;。だいぶ経って気付いたのですが、sehoとJ. Wu、男性2名によるユニットだったのですよ~。今さらグループ部門に加えるのもアレなので、チェックリストに名前だけは入れておきました。でもホントに面白いですよ。機会があったら、ぜひ聴いてみてほしいです。

 

蕭煌奇『好好先生』
溫昇豪『個人首張』(EP)
MastaMic『流行反擊戰』(香港)
徐良『不良少年』
邰正宵『歌者1』
鄧子霆『壞習慣』
庾澄慶『關不掉的月光』
林俊逸『禮物』
辛龍『我就是愛』
陳零九『已讀不回』
畢書盡『COME BACK TO Bii』
鄒宗瀚『第一人稱 I am Hans』
孫協志『不死鳥』
陶喆『再見你好嗎』
黃義達『心盤』
鄭家星『天亮之前,我愛你』
胡夏『傻瓜探戈』
小人『小人國』
嚴爵『好的情人 Love×π』
梁立昂『再三相信 Trust? Trust,Trust.』
張震嶽『我是海雅谷慕』
光良『回憶裡的瘋狂』
黃玠『下雨的晚上』
舒米恩『美好的日子』(EP)
劉子千『都是 愛』
吳建豪『Different Man』
陳世川『那個獵人穿裙子』
陳奕迅『The Key』
范逸臣『搖滾吧,情歌!』
黃鴻升『超有感』
杜德偉『好樣』
張赫宣『宣言』
李健『李健拾光』
李宗盛『山丘』
側田『硬仗』
李代沫『敏感者』(中国)
倪安東『Friends』
孔令奇『懸浮記憶』
陳勢安『非你不可』
陳昇『我的小清新』
張智成『記得,是最好的遺忘』
李唯楓『捨不得』
唐從聖『雙從人格』
蔣卓嘉『十面』
阿堤『Dream on !』
蕭閎仁『我的世界沒有你的音準』
羅志祥『獅子吼』
徐良『情話』
吳是閎『或許。我知道』
言野『我要你相信』
曹軒賓『參宿七』
孫耀威『愛 其實』
馮翰銘『樂章』(香港)
紀佳松『夢遊』
丁衣凡『我不懂,愛』
鐘昀呈『MAGIC』
許志安『情人甲』
林宇中『捨得』
陳思瑋『木頭』
李昶俊『ECHO.1』
張睿『張睿』
邰正宵『歌者2』
歐漢聲『THIS IS O.D』
王大文『你好』
POLO『A Little Dose Of You』
鄧養天『因為所以我愛你』
舒米恩『美式生活』
王宏恩『LOKAH』
大支『不聽』
李劍青『匆匆 In A Flash
亂彈阿翔『破水而出』