sasanoji電台【台湾ポップス専門】

こちらはsasanoji電台第1廣播、TW-POP専門チャンネルです。

フォークロックとヒップホップを器に入れてみたら…光り輝くひと粒の『卵黄』になりました^^。

蛋堡Soft Lipa×黃玠Dadado Huang『放個假』(2012)

Softlipa-huang-jie-x-2012 Photo_2

 

7月6日にリリースされる本作『放個假』は、台北の独立系レーベル・風和日麗A Good Day Recordsに所属する実力派男性フォークロックシンガー、929樂團の元ギタリスト兼ベーシスト・黃玠(ホァンジエ)と、JABBERLOOPや徐佳瑩LaLa Hsu、MATZKAほか国内外のジャンルを越えた様々なアーティストたちとの競演でいつもハッとさせてくれる人気ラッパー、SoftLipaこと蛋堡(ダンバオ)が融合した2曲入りのEP作品です。

 

タイトルナンバー、『放個假』。

 

2人の頭文字『蛋』と『黃』を強調したジャケットの真ん中でアピールしていますが、『蛋黃』とは『卵の黄身』のこと。

そもそもこの蛋堡という風変わりなアーティストネームは、幼少の頃、彼を溺愛する父親が毎朝マクドナルドのハムエッグバーガー(火腿蛋堡)を彼に買い与えていたことに由来する。ある日蛋堡少年は、この名前が将来必要になる、との天の啓示を受けてサインの練習に励むようになったのだとか。何度読んでもウソくせぇ~エピソードだなぁ^^。

黃玠は台北出身のシンガーソングライターです。吳志寧(ウーチェニン)を中心とするインディーズバンド・929樂團の元メンバーで、ギターとベース、リコーダーなどを担当(2005年~2009年)。これまでに『綠色的日子』(2007年)と『我的高中同學』(2010年)の2作品をリリースしています。

 

この2人、普段はフォークとラップというまったく異なるステージで活躍するアーティストなのですが、昨年11月に開催された『誠品屋頂音樂節 Rooftop Live』で奇跡的な邂逅を果たしていて、今月14日にLegacy Taipeiで行なわれる風和日麗10周年記念イベント『風和日麗連連看』ライブで再び融合をします。今回リリースされた『放個假』はそれに先駆けての作品ということのようですね。

 

昨年の『誠品屋頂音樂節』の映像。蛋堡の名曲『少年維持著煩惱』を黃玠のギターで。このアコースティックバージョンは『放個假』の2曲目に収録されています。下は黃玠が主演した『風和日麗連連看』のCF。

 

なんちゅ~切ないラストだ、このCFは^^;。

それにしても蛋堡×黃玠、このEPでお終いだったらもったいなさすぎる。ぜひともフルアルバムを聴いてみたいです。かなりおもしろい作品が出来そうな気がするんですけど^^。

 

黃玠は、かつて南米をバイクで旅したのちに革命を成し遂げたキューバの英雄チェ・ゲバラの話に影響を受けて、2006年、自身もスクーターに跨り台湾全島を巡る旅に出ました。彼にとっての音楽革命は、その日に始まったのだそうです。

ハードな旅から戻った黃玠は、2007年に6曲入りEPアルバム『綠色的日子』をリリース、ソロデビューしました。その中の2曲、『25歲』と『做朋友』は、2006年に喉を痛めて自然捲を離脱した魏如萱Waaとのデュエット。6曲目『香格里拉』はWaaに提供した楽曲のセルフカバーです。黃玠自身は兵役に就いていた頃の抑圧された心情や憤り、現実に当時その状況にあった友(志寧のことかな?)を思い歌った曲『綠色的日子』のほうに注目をしてもらいたかったようですが、本人の気持ちとは裏腹に、ゆったりとした、暖かくて優しい『香格里拉』のほうが人気を集めてしまいました^^。

 

Waaとのデュエットで、『25歲』と『做朋友』、黃玠のセルフカバーで『香格里拉』。

 

こちらは2011年版『香格里拉』。WaaのEP『在那裡』に収録。初出は2006年末リリースの企画盤『2007 future maker』。

 

2010年にリリースした10曲入りのフルアルバム『我的高中同學』も、アコースティックサウンドが好きな方には鳥肌モノの1枚です。『我的高中同學』から、3曲目に収録されている『夢的距離』と、7曲目『忘了』。

 

黃玠がゲバラを真似てスクーターで旅したことだけでも、Rebelde(反抗的)な僕のストライクゾーンど真ん中です。見て呉れがそれほどイケてないところも個人的には好感が持てます^^。この卵、さっそく注文してしまいましたヨ。

 

2003年に設立された独立系レーベル・風和日麗は、同じ年に陳綺貞が男朋友・鍾成虎と共に立ち上げた個人レーベル・cheerego.comで制作した第1弾シングル『Sentimental Kills』を代理発行したことで名を知られるようになりました。翌年、魏如萱Waaがボーカルを務めていたユニット・自然捲Natural Qの1stアルバム『C'est La Vie』を手掛けて大ヒット。2005年には第五屆海洋音樂大賞(2004年)にノミネートされていた929樂團の1stアルバムをリリースし、さらに自然捲の『C'est La Vie』が第16屆金曲獎の最優秀アルバム、最優秀バンド、最優秀編曲の3部門にノミネートされたことでレーベルの知名度は一気に上昇しました。その後の陳綺貞や盧廣仲の一連のシングル作品も、風和日麗から代理発行されています。

現在レーベルに所属しているアーティストは黃玠、吳志寧のほか、男女デュオ・Nylas、女性ボーカルの5人組バンド・草莓救星We Save Strawberries、個性派女性シンガーソングライター・黃小楨、DJもやっているベテラン・何欣穗ciacia、女性バイオリン(瑞奇)が特徴的な弦楽器メインの3人組バンド・煙圈樂團Smokeringら少数ではありますが、精鋭が揃っていて好印象です。Websiteからも奇を衒わず良いものを出していこうとしている雰囲気が感じられて、こういうレーベルは好みですね。

 

* * * * * *

風和日麗唱片行 - Website
黃玠 - Facebook
蛋堡 Softlipa - Facebook