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曹格、本格ジャズアルバムをリリース。

曹格Gary Chaw『Gary Chaw Project Sensation 1 Jazz』(2012)

Gary-chaw2012

 

曹格(ツァオグー)。1979年生まれ、本名は曹佰豪。英語名はGary Chaw(ゲイリー・ツァオ)。第19屆金曲獎(2008年)で最佳國語男歌手獎に輝いたマレーシア・サバ州出身の実力派男性シンガーソングライターです。

来月6日にリリースされる最新作『Sensation』は、マレーシア盤を含め7枚目となるアルバム。曹格をボーカルに据えた完全ジャズバンドスタイルの作品です。曹格といえばソウルフルな歌声を活かしたドラマティックなバラードが印象的ですが、ピアノやストリングスをバックに声量を絞って歌っているときなどは、けっこうスタンダードジャズっぽいボーカルだったりします。今作ではそのあたりをタップリと聴かせてくれそうですね。既に収録曲の一部、『All I Have To Do Is Dream』と『I Just Called To Say I Love You』が昨年末からKKBOXやダウンロードサイト等でボーカルなしバージョンと共に先行配信中。ほか『So What』、『Close To You』、『Every Time You Go Away』、『End Of The World』、ジャズボーカルアルバムの定番『Fly Me To The Moon』など全14トラックを収録しています(うち4トラックは『So What』のベース、ドラムスなどリズムセクションのソロパート。1プレイを4分割したものでなければいいのですけれど…)。※なんと、『Fly Me To The Moon』は曹格作曲の別モノでした~っ!これはイカンやろ~^^;。

 

3曲目に収録の『All I Have To Do Is Dream』。

 

曹格と競演するのはアルゼンチン発のジャズトリオ・MUSA's。ピアノ・キーボード担当のMartin "Musa" Musaubach(30)はブエノスアイレス出身。4歳で音楽の道に進み、13歳からステージで演奏をしているそうです。彼がこのトリオのリーダーです。ベース担当は同じくブエノスアイレス出身のLautaro Bellucca(25)。12歲からベースを学び、20歳のときアルゼンチン政府の援助を得てアルバムをリリースしています。ドラムスはブラジル・サンパウロ出身のAdriano Moreira(25)。4歳からドラムを叩き始め、Dennis ChambersやBuddy Richを手本に独学で学んだそうです。2005年にパーティーバンド・BR Connectionに加入、世界各地で演奏をした経験があります。彼らは2007年からアジア地域に進出。中国大陸をメインに活動中で、現在は曹格と同じ事務所・汎亞龍族音樂Dragon Force Musicに所属しています。なるほど、それで今回のコラボレーションとなったわけですね。発行は昨年11月に設立された新レーベル・美樂帝音樂。ダンスミュージック専門の上點音樂が前身だそうです^^。

そういえば今月初め、曹格のナンバーを得意とする男性シンガー・蕭敬騰Jam Hsiaoもジャズボーカルアルバム『Mr. Jazz A Song For You』をリリースしていましたね。蕭敬騰のほうはまだちょっと若い感じがして今回はパスしたのですけど、曹格はなかなか良さそうですよー、と言っても2曲しか聴けてないんですけどね。ジャズボーカルって人生経験値がテキメンに現れてしまいますから難しいですよね。

 

曹格はマレーシア・サバ州の出身。1歳のときに両親が離婚し、9歳からお姉さんと一緒にカナダで暮らしていました。15歳のとき単身でニュージーランドに渡り、オークランド大学で土木工学を専攻。友人2人とデモテープを作るなど音楽活動も始めています。ときどき彼のプロフィールに、その頃の作品『只有你』、『我走了』、『我的問題你沒回答』の3曲が香港四大天王の1人・郭富城Aaron KwokのEP『渴望無限』に採用されたと出てきますが、いずれの曲にも曹格(曹佰豪)の名前は無く、作曲者名はRudi Wibowo Jr.となっています。定かではありませんが、これはその友人たちとの共同ペンネームだったのではないかとの解釈もあるようです。彼の公式ウェブサイトには、ゲームセンターでストファイをやっていたときに対戦したタイ人が郭富城と知り合いで、デモテープを渡したところ4ヶ月後に郭富城のマネージャーから連絡があったという、ホントかよ~みたいな話も出ていました。

 

1999年、曹格はマレーシアの新人歌唱コンテスト『Astro新秀大赛』に出場。残念ながら入賞は逃したものの、華納音樂Warner Malaysiaに注目をされ、2001年にアルバム『Gary』で現地デビューしました。ちなみにこのときの準優勝者はマレーシア出身の女性シンガー・馬嘉軒Athena Behでした。また、符瓊音Meeia Fooや陳勢安Andrew TanもこのAstro新秀大赛で入賞経験のあるアーティストです。

 

デビュー直後こそ現地で新人賞を受賞するなど注目を集めた曹格ですが、以降はパッとせず、 長い不遇の年月に沈みます。その彼を引っ張り上げてくれたのが、今も所属するレーベル・汎亞龍族音樂Dragon Force Musicの創設者、台湾の有名プロデューサー・涂惠源Michael Tuでした。曹格は2003年から拠点を台湾に移し、涂惠源の厳しい指導を受けながら再起の機会を待ちます。そして2006年、滾石唱片Rock Recordからリリースした再デビュー1stアルバム『格格Blue』が高い評価を受け、ようやく長年の努力が実ったのでした。このアルバムのオープニングナンバー、彼の代表曲となるKaryn Whiteのカバー『Superwoman』はカナダ時代にお姉さんがよく聴いていた曲で、曹格はその影響を受けて音楽に目覚めたのだそうです。

2007年、曹格は2ndアルバム『Superman』で第18屆金曲獎最佳國語男歌手部門にノミネート。翌2008年の第19屆金曲獎でも3rdアルバム『Super Sunshine』で再び同部門にノミネートされ、こちらは見事受賞をしています。また、2ndアルバム『Superman』収録のナンバー『背叛』は、2007年に始まった新人発掘オーディション番組『超級星光大道』の中で楊宗緯Aska Yangと蕭敬騰Jam Hsiaoが歌って再注目をされ、KKBOXの年間チャートでトップになるなど、この年最大のヒット曲に化けています。

 

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