今年5月、新たな音楽賞【音樂推動者大獎】がスタートします。
準備期間2年、その第一屆大獎の候補者・作品が先週発表されました。
台湾の音楽賞といえば、毎年6月に行なわれる行政院新聞局主催の金曲獎が最も影響力のある賞として知られていますが、受賞の理由が明確でない、あるいは審査基準が不透明との理由から、過去には華納音樂Warner Musicが参加をボイコットしたり、第20屆金曲獎では3部門を獲得した周杰倫Jay Chouが授賞式を欠席するなど、実際には運営上の様々な問題点が指摘されています。開催する側も改善努力はしているようですが、たしかに『なんで…？』と思ってしまうような結果が毎年見られるのも事実。重要な賞であることは認識しつつも、音楽祭的色彩の濃い賞、イベントとして参加することに意義がある、というスタンスのレーベル、アーティストが大勢のようです。
そこで、多元化した現在の音楽シーンを視野に入れた新たな音楽賞、【音樂推動者大獎】が企画されました。
この賞は政府主導・レーベル申し込み制の金曲獎とは異なり、選出は昨年末設立された団体・台灣音樂環境推動者聯盟による完全ノミネート制となっています。メンバーは音楽評論家、ライブハウス経営者、インディーズレーベル経営者、音楽関連メディア従事者など音楽業界の最前線に立つプロフェッショナルらで構成され、月毎に審査会議を開催。インディーズ、メジャーを問わず最も評価されるべき作品、潜在力のあるアーティストを選ぶことに主眼を置いています。
金曲獎との違いは今回発表されたノミネート作品を見れば一目瞭然で、例えば年度專輯（Album of the Year）は、
陳昇Bobby Chen『家在北極村』
以莉・高露Ilid Kaolo『輕快的生活』
魏如萱Waa『不允許哭泣的場合』
Tizzy Bac『告密的心』
陳珊妮Sandee Chan『I Love You John』
盧凱彤Ellen Loo『掀起』
…という、金曲獎ではおそらくあり得ないだろう作品が並んでいます。
しかし、評価されてしかるべき作品が並んでいる、というのもまた事実なのです。
年度歌曲（Song of the Year）も顕著で、
Finn『那些』
林宥嘉Yoga Lin『自然醒』
陳昇Bobby Chen＋左小祖咒ZuoxiaoZuzhou『愛情的槍』
陳珊妮Sandee Chan『青春』
乱彈阿翔Luantan Ascent『完美落地』
熊寶貝樂團Bearbabes『一個人的天光』
黃小禎Ze' Hwang『積木DEMO Track 2』
盧凱彤Ellen Loo『雀斑』
…といった具合で、メジャーとインディーズが混在しています。これこそが、台湾音楽シーンの『今』なのです。
ほか、年度單曲企劃（Single/EP of the Year）、年度突破（Breakthrough of the Year）、最具潛力獎（Future Shock Award）、最佳裝幀設計（Best Artwork）、最佳音樂影片（Best Music Video）、美麗島獎（Roots Award）などにも思わずニヤリとしていまいそうなアーティスト、作品がノミネートされていますね。
また敬意賞として、先鋒獎（Vanguard Award）に黃韻玲Kay Huang、經典專輯（Masterpiece Award）に林強Lim Giongが既に確定しているようです。
第一屆音樂推動者大獎の発表授賞式は金曲獎前の5月13日、台北國賓飯店で行なわれます。
一般に定着するかは別として、リアルなTW-POPの情報に飢えている側にとっては、かなり注目してよい賞となるのではないでしょうか。
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