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曾檐『一』、例えるなら…『地球』という舞台劇のサウンドトラック。

曾檐Zeng Yan『一』(2011)

Zeng-yan2011 zeng-yan2010

 

昨年12月、僕にとっては未知のアーティストだった曾檐(ゾンイエン)。新作『一』はリリース前で、詳細な情報はおろか音すら無かったにもかかわらず、ビビッときてピックアップしてしまいました。あの後さっそくデビューアルバムである前作『愛夢遊』の先行シングルでしょうか、『祈祷』と『思念』が収録された『Sing for Home Pray for Soul』と一緒に購入。時折取り出してはジ~ンと浸っています。このあたりで一度フォローしておきますね。

 

彼女もジャンル分けが困難なアーティストの1人かもしれません。前作『愛夢遊』の曾檐は『祈祷』、『思念』の他はYouTube上にUPされている音しか聞けていませんが、環境音楽的、あるいはニューエイジ的であっても、C-POPアーティストと呼んで差し支えなかったでしょう。それが台湾デビュー作となる本作『一』では、全13曲のうち明確に歌としてイメージされている曲はわずか数曲にすぎません。多くは民族的、伝統的なアコースティックサウンドと現代的なロック、エレクトリックサウンドの間を縦横に巡るインストゥルメンタル様式で、この世界に存在する様々な音…水滴、せせらぎ、風、雷鳴、鳥や獣の鳴き声、人間が発する悲鳴やおぞましい銃声さえも、存在する『音』としてサンプリングしています。そしてメロディに乗る歌声も、やはり同様に『音』として融合させているかのようです。

2009年10月、曾檐が作詞作曲を担当した中国映画『米香』の主題歌『遇見』が台湾金馬獎・最優秀歌曲賞を受賞、彼女が注目を集めるキッカケとなりました。また同年7月には台湾映画『追愛 Great Wall My Love』(2011年)の音楽監督も務めています。本作『一』もそういった劇的なイメージ、大自然をテーマとした『地球』という物語のサウンドトラックのようなコンセプトを持つアルバムとなっています。

 

Production I.Gが制作したシリアス系アニメーションのサントラにしても違和感がないくらい^^。業界の皆さん、どうですか?

 

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