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生まれ変わったMon Monは自然体、蔡孟臻。

蔡孟臻Monmon Tsai『非關愛情』(2011)

monmon-tsai2011

 

蔡孟臻(ツァイモンジェン)。生年、出身地等は未公表です。2007年に艾回唱片avex taiwan(現・愛貝克思)が『Mon Mon』の名前でデビューさせた女性シンガーソングライターです。2011年12月29日、蔡孟臻は前作『我們都一樣』からほぼ2年ぶり、自身3作目となる7曲入りのEP作品『非關愛情』(禾廣娛樂)をリリースしました。

 

ラストに収録、静かにアカペラで始まる1曲目『非關愛情(Let it Be)』のギターバージョン『非關愛情(Keep Going)』。以前の彼女をイメージしているとビックリする。

 

今まであったような退廃的なロックは無し。ましてやティーンズポップのようなナンバーは皆無です(4曲目『亂了亂了』はかなりポップではあるけれど…)。前作ではまだ聞こえていた嬌声(日本のアイドルがするような独特な声の吐き出し方)も今作では消え、まるで鼻歌か子守唄にさえ聞こえるほど、とても自然で軽やかです。親しい友人たちとの語らい、泣き、笑い、あるときは酔って寄り添い、幾度か花嫁の介添人となり、宴に参加し、そして誕生した小さくか弱い宝物たちを見つめたこと、すべて夢まぼろしでなく日常だった。愛情だけではない、生まれ、成長し、悩む、ごく当たり前の生活を自然体で描いた作品となっているようです。

 

情報不足です。蔡孟臻はavexが1年以上を掛けてトレーニングし『Mon Mon』の名前で2007年にデビューさせた期待の新人アイドル、でした。デビュー前、徐若瑄Vivian Hsu『好眼淚壞眼淚』のMVに正体を伏せて出演させたり、1stアルバム『夢遊記』が発売されるまで一切メディアに顔を出さないなどレーベルの戦略は大当たり。明かされた可愛らしいルックスに加え、作詞作曲もこなす才能から夢遊女孩(Dream Girl)と呼ばれ注目を集めました。ところが2007年末にDVDを増補した『美夢成真影音版』を追加リリースしたものの、その後は期待したほどの結果を残せなかったのか、どうやらavexとの契約は解除となってしまったようです。2作目となる6曲入りEP『我們都一樣』を出したのはそれから2年後の2010年1月。台北の代理発行レーベル・喜瑪拉雅からリリースしたインディーズ作品でした。

 

1st EP『我們都一樣』から、オープニングナンバー『小世界的女王』。これがリリースされた直後、蔡孟臻はオーディション番組『超級星光大道』にPK戦の挑戦者として出場する。

 

EP『我們都一樣』をリリースした蔡孟臻は、ちょうど行なわれていた『超級星光大道』第6シーズン15週に、PK戦の挑戦者として出場しました。他の出場者と同じく名札を付けて。PK戦には実力のあるアマチュアや台湾デビューしたばかりのアーティスト、一線級の現役も登場します。そして過去に一度デビューしたことのあるアーティストたちも。蔡孟臻は新作をリリースしたばかり。ここでアピール出来ればメジャー復活への道が開かれます。宣伝込みでの出場だったのでしょうが、しかし彼女は敗れてしまいました。6月にも『超級偶像』第4シーズンのPK戦に出場しますが、どうやら失敗しているようです。いずれにしても今作『非關愛情』がリリースされるまで、さらに2年が経過することになります。

 

EP『非關愛情』から、6曲目に収録の『滯留症』。心の脆弱さを描いている。

 

2nd EP『非關愛情』は、喜瑪拉雅と同じく代理発行レーベルの禾廣娛樂からリリースされたインディーズ作品です。1、2作目と比べると、外見的にも音楽的にもすっかり大人になったMon Mon。でも僕は今作がいちばん沁みました。いろいろなことを経験してきたんだろうなあって、よくわかる作品です。ただ、Mon Monという名前はもう卒業してもいいんじゃないかなーって思う^^。

 

1st EP『我們都一樣』から、『Don't be quiet』。

 

同じく1st EP『我們都一樣』から、『留在這首』。

 

同じく1st EP『我們都一樣』から、他の曲とのギャップがすごいタイトルナンバー『我們都一樣』。

 

『超級偶像』第4シーズン(2010年)、PK戦に出場したときの映像。


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最初からオーディション番組に挑戦していれば、けっこうイイ線いってたんじゃないでしょうか。僕はavexが嫌いです。日本メジャーのようなあざといやり方は、C-POP界、TW-POP界じゃ陳腐というもんです。台湾にはとにかくインディーズ、独立系レーベルが多い。自身の音楽性と考え方を一にするレーベルと出会えたアーティストは良い作品を残してくれます。

 

徐若瑄『好眼淚壞眼淚』。カラオケ用だけど、参考に。


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