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JSの2人は日本が大好き!

JS(Justin & Sophia)『The JS Moments - JS的創作故事集』(2009)

Js2009jan

 

1999年デビューの兄妹デュオ、JS(Justin & Sophia)の5thアルバムです。

本作は新曲が3曲と彼らが有名アーティストに提供した楽曲をセルフカバーした15曲、全18曲からなる2枚組で、CD1には新曲3曲のみを収録。新曲といっても既に一度自作EPで発表済みだったり、イメージソングとして使われている曲ですので、やはり『創作作品集』という呼び方のほうがピッタリくるかもしれません。CD2では孫燕姿Stefanie Sunが2003年にリリースした新歌+ベスト集『The Moment』から、JSが大きく飛躍するキッカケともなったタイトル曲『The Moment』、それから劉德華Andy Lau『不後悔』、劉若英Rene Liu『最後倒數』、梁靜茹Fish Leong『路』などなど、この曲も?、あの曲も?というナンバーが次から次へと出てきます。

このアルバムを聴いてから原唱のアーティストを聴いてみる、またその逆もありでしょうね。

 

CD1、1曲目に収録の新曲『回憶的聖誕節』。

 

JS(Justin & Sophia)はお兄さん・陳忠義Justinと、妹・陳綺萱Sophiaによる台湾では珍しい兄妹デュオです。1999年、台灣索尼音樂Sony Musicからデビューした当時はGOGO & MEME(哥哥妹妹)のユニット名で活動していましたが、華研國際音樂HIMから再デビューした2004年以降は現在のユニット名・JSを使用しています。

楽曲提供では主にお兄さんのジャスティンが活躍…ということですので、このアルバムは妹・ソフィアと一緒にセルフカバーしたJSバージョンということになりますね。残念ながらオフィシャルのMVがほとんど無かったのですけど、とてもバランスの良い男女デュオだと思いました。2人とも落ち着いた声質で、『台湾のカーペンターズ』と呼ばれているのも納得です。

じつはこの兄妹、揃ってとても高身長です。公称ではジャスティンが188cm、ソフィアも177cmということで、この安定感のある歌声にも一役買ってそうです。また、兄妹ともに大の親日家で、ジャスティンは2009年、日本にいる友人宅でホームステイしながら日本語学校に通っていたり、妹のソフィアも中島美嘉MISIAの大ファンであることを公言していて、彼女らの曲を歌ったプライベートビデオをYouTube上で公開したりしています。だからでしょうか、自然と日本人にも馴染みやすい、安心して聴けるメロディーラインになっていますよね。

 

お兄さんの陳忠義(チェンジョンイー)は1977年生まれ。英語名はJustin。國立高雄師範大學で美術を専攻。GOGO & MEMEとして1999年にデビューした後、さらに國立台灣師範大學でデザインを学び学位を取得している根っからのアーティストのようです。創作した楽曲は数知れず、それらの作品の多くは提供を受けた有名シンガーらのアルバムの中で聴くことが出来ます。

妹の陳綺萱(チェンチーシエン)は1980年生まれ。英語名はSophia。世新大學で放送・映像学を学びました。ユニットではメインボーカルを担当。デビュー後は一部作詞もしています。マンガ『NANA』の大ファンで、彼女がリスペクトしている歌手・中島美嘉についてもたびたび自身のブログ中で取り上げているようです。

2人は1998年にMTV台湾とレーベル各社が共同で開催した新人オーディション『MTV新聲卡位戰』に出場し、創作ユニット部門で優勝。1999年に台灣索尼音樂Sony MusicからGOGO & MEME(哥哥妹妹)のユニット名で1stアルバム『Say Forever』をリリース、CDデビューしました。彼らはその美しく爽やかなボーカルとサウンドから『台湾のカーペンターズ』と呼ばれ、このデビューアルバムは好評を博しました。翌2000年には2ndアルバムのリリースに向けて日本で新作MVの撮影を行なうなど、本当に順調すぎるほどの2人だったのですが、そんな彼らに思いもしなかった知らせが届きます。所属するレコード会社・台灣Sony Musicの組織改編です。製作スタッフらは解雇され、ニューアルバムの企画も頓挫。兄・ジャスティンはいったん表舞台から離れて國立台灣師範大學に入学し、再びデザインを学び始めます。ただ、その間も創作活動は続けていて、多数のアーティストのアルバムに楽曲提供する形で参加しています。孫燕姿Stefanie Sunや動力火車Power Stationらに楽曲提供したのもその頃です。ちなみに以前紹介した『涙そうそう』や中島美嘉の『雪の華』のカバーでも知られるシンガポール出身の人気女性歌手・蔡淳佳Joi Chuaも、この改編騒動の煽りを喰ってリストラされたアーティストの1人でした。

 

CD2のラストに収録、2005年にS.H.Eが主演したドラマ『真命天女』の挿入歌で『我比想像中愛你』。

Unofficial

 

一方、妹のソフィアですが、彼女も表舞台から姿は消したものの、その後もボーカルトレーニングは続けていて、ジャスティンのデモテープ制作などにも協力していたようです。つまり2人とも、いつでも復帰出来る状態にありました。

彼らは2004年に華研國際音樂HIMと契約し、ユニット名をJS(Justin & Sophia)に改め再デビュー。同年8月に2ndアルバム『遇見未來』、10月に3rdアルバム『Forever And Ever』と、4年間溜まっていたものを吐き出すかのように立て続けにリリースします。アルバムはいずれも大ヒットし、同年デビューのF.I.Rと並んで注目を集めました。翌年、JSは『遇見未來』で第16屆金曲獎の最優秀ボーカルグループ部門にノミネート。また、シンガポールの金曲獎でも最優秀グループ部門の候補に選ばれています。

 

ところがこれだけ高い評価を受けながら彼らがHIMでリリースしたアルバムはこの2作品のみで、2006年には自主レーベル・Inspire Musicを起ち上げて独立してしまうのですね。HIMも独立系のメジャーレーベルではありますが、彼らにとってその大きい小さいはそれほど意味のあることではないのでしょう。2人は自由に発表出来る場を自ら作り、2006年から2009年に掛けて、珠玉の小品と呼べそうな4枚のEP作品をリリースしています。マイペースで。本当にアーティスト、といった感じです。

 

そんな彼らに今年、ちょっとした動きが出てきました。1月にシングル『我們都孤單』を、5月に映画の同名主題歌『與愛別離』を発表したのです。ひょっとするとそろそろニューアルバムを出してくれたりするのかなー、なんて期待をしているのですけれど。

 

映画『與愛別離』の同名主題歌。映画はちょっと怖いです。ホラーという意味ではなくて^^;。