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HIMが育てた大陸の逸材、劉力揚。

劉力揚Jeno Liu『轉寄』(2009)

Jeno-liu2009

 

劉力揚(リウリーヤン)。1982年生まれ、北京出身。英語名はJeno Liu。2007年にEP『提線木偶』で大陸デビュー、翌2008年に1stアルバム『我就是這樣』で台湾デビューをしました。172cmの長身(171cm説もアリ)、宝塚の男役が似合いそうなスッキリとした容姿、大人っぽい落ち着いた歌唱が魅力の女性シンガーです。

 

本作『轉寄』は、2008年リリースの台湾デビュー作『我就是這樣』から1年5ヶ月ぶりとなるDVD付きの5曲入りミニアルバムで、その内の3曲がドラマの主題歌・挿入歌となっています。ドラマ『萬卷樓』の主題歌に採用された中華風のポップナンバー『梅花香』以外はジ~ンと聴かせる系のバラードです。1曲目『禮物』と2曲目『崇拜你』、3曲目『一個人就好』は自身の『成長三部曲』としてイメージされた楽曲で、DVDにはこの3曲のMVが収録されています。
デビューEP『提線木偶』を含めてまだ3作と、シンガーにしては作品数は少なめでしょうか…。新作を待っているのですが以来音沙汰がありません。大陸出身ではありますが台湾デビューしてますし、気になるアーティストです。

 

1曲目に収録、『禮物』。ドラマの主題歌となった5曲目『寂寞光年』の自作詞バージョンです。自分に起こった良いこと、悪いこと、全てが『贈り物』と思えるようになった、そんな気持ちが込められたナンバー。

『禮物』とそのオリジナル、シンガポールのドラマ『双子星』の主題歌となった『寂寞光年』は、大陸の音楽創作集団・80timeが作曲しています。
80timeは、浙江省東北部の地方都市・嘉興の若者たち(張葉帆,劉寅,周劍光)が2006年に結成したクリエイター集団で、S.H.Eらが所属する台湾の独立系メジャー・華研國際音樂HIMが2008年に行なったクリエイター発掘オーディション『華研創作大賽』に於いて、劉寅の楽曲『微不足道』が8000人の中から最終10傑に選ばれました。HIM総裁・呂燕清は『浙江嘉興の音楽の発展はスゴイ。音楽文化の比較的薄弱な内地に、80年代末生まれの、若いがこれほど成熟した音楽人がいるとは思わなかった』と語っています。彼らは2009年にHIMと契約し、台湾の業界にも広く知られる存在となっています。

 

小さい頃から音楽が大好きだった…というのはお約束ですね、彼女もそうでした。でもお父さんは軍人、お母さんはお医者さんということで、厳しく育てられたようです。大学2年のときイギリスに留学し、2004年まで広告マーケティングを学びました。自分にとって音楽が捨て難いものであると、はっきり認識したのもその頃です。帰国後は、時計宝飾の展示会で知られるSwiss Exhibition社で企画の仕事をしながら、また空いた時間には、DJ、VJになることを夢見て北京放送学院で勉強もしていました。2005年には実際に歌番組の司会の仕事も得ています。

2006年、大陸のオーディション番組『超級女聲』に出場し、広州地区予選で優勝。全国大会では惜しくも第3位に終わったものの、大陸のレコード会社から注目をされていました。ところがその1ヵ月後、まさに音楽人生をスタートした矢先、不運なアクシデントが彼女を見舞います。CM撮影中に転倒し足を骨折、手術とリハビリで歌手活動を長期中断することとなってしまったのです。

そんな打ちひしがれている彼女を見守っていたのが、台湾のレコード会社・HIMでした。じつは彼女が『超級女聲』に出場していたとき、たまたま内地に出張中だったHIMの副会長・呂世玉がTVでその様子を見ていて、彼女の並外れたスケールと才能はきっとアジア華人市場に通用すると直感していたのだそうです。HIMは彼女を動力火車S.H.E、TANK、飛輪海ら所属アーティストの妹分として庇護下に置き、彼らと共演、デュエットさせるなど、焦らせることなくじっくりと育ててきました。そして2008年、HIMは劉力揚と正式契約、初フルアルバムとなる台湾デビュー作『我就是這樣』が誕生します。

 

台湾デビュー作『我就是這樣』から、『眼涙笑了』。共演は飛輪海Fahrenheitの汪東城Jiro Wang。

2008年5月12日、『我就是這樣』がリリースされる約1ヶ月前、母国中国で四川大地震が発生しました。劉力揚はアルバムのプロモーション活動を一時中断、被災者救済のための慈善公演を行ないたいと会社側に願い出ます。彼女が歌った『眼涙笑了』は、怪我から力強く立ち直ったという自身のストーリーとも相まって、励ましのラブソングとして多くの感動を呼びました。

 

『轉寄』から、2曲目に収録の『崇拜你』。蔡健雅Tanya Chua提供の楽曲です。

歌い方はワザと蔡健雅に似せたのでしょうか。プロデューサーはリーヤンに『柔らかく歌うように』と要求したそうですが、キッチリとした性格の彼女はなかなかそれに合わせることが出来ず、『先に入浴してからスタジオに来なさい』と言われたり、リラックス出来るようにとアロマキャンドルを用意したこともあったようです。ついには『リーヤン、アナタはもっとだらしなくなりなさい!』なんて言われたとか^^;。どうでしょう、柔らかくなってますか?

 

上海でリリースされた1stEP『提線木偶』は、ジャケットが別人のようにケバい女性姿になっているのがショッキングですが、HIMの2作は本来の彼女に戻っています。どれもHMVにラインナップされていますね。もう2年近く新作が出ていませんが、彼女は今どうしているのでしょう、ちょっと心配です。大陸ではなく台湾のオーディション番組に出場していたなら、間違いなくもっと注目されていたアーティストなのに、残念だなぁ。

 

コチラは『禮物』のオリジナル、5曲目に収録の『寂寞光年』。歌詞が異なります。

Unofficial

『寂寞光年』が主題歌となっているシンガポールのドラマ『双子星』は、復讐と愛憎の物語みたいですね。英語の字幕スーパーが入っているので、わかる方はストーリーについていけると思います。第1話はいきなりクライマックス場面から始まり、そこから回想していく流れのようです。わからないなりに引き込まれるのは、たぶんおもしろそうだからなんだろーなぁ。日本語の吹き替え版、TVでやってくれないかな。もし日本でリメイクするなら、主演は中谷美紀でヨロシク^^。