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縱貫線SUPER BAND、第22屆金曲獎【最佳年度歌曲獎】を受賞!

★ 祝!第22屆金曲獎【最佳年度歌曲獎】、受賞!★

縱貫線SUPER BAND『南[下]專線』(2010)

Super-band2010apr

 

縱貫線(ゾングアンシエン)。2008年に羅大佑Tayu Lo(ルオダーヨウ,56歳,台湾)、李宗盛Jonathan Lee(リーゾンシォン,52歳,台湾)、周華健Wakin Chau(ジョーファジエン,50歳,香港/台湾)、張震嶽Ayal Komod(ジャンジェンユエ,37歳,台湾・阿美族)ら台湾音楽界の重鎮4名によって結成されたスペシャルバンドです。2009年にリリースした1st EP『北上列車』で昨年の第21屆金曲獎に於いて最佳樂團部門にノミネート。今回、最佳年度歌曲獎に輝いた『給自己的歌』は2nd EP『南[下]專線』に収められている曲で、作詞と作曲を担当した李宗盛はこの2つの賞(最佳作詞人獎,最佳作曲人獎)も受賞しています。メチャクチャ渋くてカッコイイ、ヤンチャなオヤジ臭がプンプン香る全6曲入りの作品です。

 

5曲目に収録、最佳年度歌曲となった『給自己的歌』。

 

今回の金曲獎では作詞、作曲と合わせて三冠となった李宗盛は、80年代初めから活躍しているシンガーソングライター兼プロデューサーで、生み出したヒット曲は無数、関わった作品も無数。それ故に『百万製作人』の威名でも呼ばれる台湾音楽界の大御所です。マレーシア出身のラブソングの歌姫・梁靜茹Fish Leongも、彼に見出され育てられた歌手の1人です。

 

『南[下]專線』より、2曲目に収録の『握手』。

 

バンド最年長者の羅大佑は、僕を含めて最近C-POPを聴き始めた人にとってはあまり馴染みがないでしょうか。台北の私立医科大学・中國醫藥學院(現・中國醫藥大學)出身という異色の経歴の持ち主で、デビューはコチラも80年代の初め、1982年。政治的色彩の濃い作品が多く、外見などから反逆者のイメージを持たれていますが、哲学的なメッセージを優しく語りかけるように歌うスタイルが当時の大学生たちに人気でヒット曲も多数。『華語流行樂教父』と呼ばれ敬愛されました。日本の60~70年代に似た雰囲気なのでしょうか、その世代の人々にとっては今も思い出深いアーティストとのことです。

 

2009年リリースの第1作『北[上]列車』より、5曲目に収録の『亡命之徒』。

 

このMVのアタマでラップを担当している張震嶽はメンバーの中では最も若い37歳。台湾の原住民族・阿美アミ族の出身で、愛称は阿嶽(アユエ)。1993年デビューのDJ、ロックシンガーです。アルバムはEP、ベスト盤含め現在まで11枚をリリースし、2004年にはアメリカ10大都市でライブツアーも行なっています。数本のドラマや映画に俳優として出演もしているようです。

それにしてもこのMVの中の4人、みんなヤンチャそうですね~。あの周華健までもがチョイ悪オヤジに見えてきます~^^。でもこの出会いは周華健にとって、とても大切な意味を持つものとなりました。

 

1985年のデビュー以来数多くのアルバムをリリースし、健康的で前向きなイメージから『陽光歌手』とも呼ばれる華人トップシンガー・周華健ですが、近年台湾ポップス界で流行しているラップやヒップホップが自身のスタイルに合わず、一時作詞出来ないほどのスランプに陥っていたのだそうです。その彼を救ったのが、中華圏では誰もが知っているC-POP界の巨匠、李宗盛でした。李宗盛は女性の気持ちを描くのが得意なヒットメーカーで、大物女性歌手たちも好んで彼の作品を歌っています。周華健は、李宗盛とのコンサートで男性歌手にとって難しいとされる『完全に女性のために書かれた歌』をカバーすることにチャレンジしました。結果、観客からは拍手喝采を浴び、このことがスランプから抜け出すキッカケになったのだそうです。従来の流行歌を作ることの大切さに気づいた周華健は、今年5月、女性歌手のヒットソングをカバーした新作『花旦』をリリースしています。

 

第2作『南[下]專線』のOPナンバー、『歸來』。

 

先日、このバンドが獲ったらすごいこと…と書いたものの、まさか受賞するとは。昨年は現役バリバリの張惠妹A-Meiでしたので、これはもの凄い揺れ戻しですねー。C-POPの底深さを実感させてもらいました。おめでとう!そして世のオヤジたちに乾杯!ヽ(´▽`)/