S.H.E『SHERO』（2010）
前作『我的電台 FM S.H.E』からは1年半ぶり、新曲入りのベスト盤を含め2001年のデビュー以来通算12枚目のアルバムとなります。S.H.EはSelina（任家萱）、Hebe（田馥甄）、Ella（陳嘉樺）の3名からなる台湾のガールズボーカルトリオで、それぞれの名前の頭文字を取ってグループ名が付けられた…なんてことは、C-POPファンなら誰でも知っていること。しばらくメンバーそれぞれの活動が目立っていたため解散説も流れていたようですが、見事に払拭。健在ぶりをアピールしてくれました。バラードからハードなナンバーまで揃った全10曲入り。今回の金曲獎では、久しぶりに最佳演唱組合部門にノミネートされています。
1曲目に収録、アルバムタイトルナンバー『SHERO』。
『SHERO』とは、グループ名の『S.H.E』に『HERO』を絡めた造語…かと思ったら、既に存在しているワードだったようですね。フェミニズムを提唱し、且つフェミニズム運動に積極的に参与する人、または映画や文学作品に表れる女性の英雄を意味する…だそうです。
1981年生まれのEllaとSelina、1983年生まれのHebeは、2000年に華研國際音樂HIMの前身である宇宙唱片とTV局の共催によるオーディション『宇宙2000實力美少女爭霸戰』で発掘され、翌年ボーカルトリオ・S.H.Eとしてデビューしました。3人を姉妹にたとえると、中音域を華やかに歌いあげる活発な末っ子Hebe、美しい高音域で優しく彩る次女Selina、そして安定感ある低音域で2人を支えるしっかり者の長女Ella（実際もSelinaより少しだけお姉さん）という感じでしょうか。
3人の特徴がよく出ているラストナンバー『愛就對了』。元は英語の歌で、中国語の歌詞をそのメロディに合わせたため歌うのに苦労したそうです。
本当に安心して聴いていられる見事なハーモニーですね。ここまで完成されたガールズトリオがいると、彼女らに続く同様のグループが今後出てくるのか心配になってしまうくらい。今回の第22屆金曲獎でも最佳演唱組合部門にノミネートされているガールズユニットはS.H.Eだけですし、最近では飛兒樂團F.I.R.や今回ノミネートされている神木與瞳Y2Jなど、男女混合ユニットの活躍のほうが目立っている状況です。
S.H.Eはこのアルバムでデビュー以来初めて台湾語の歌にも挑戦しています。3曲目収録の『我愛雨夜花』は台湾の懐メロ『雨夜花』をフィーチャーした、なんだかほのぼのとしてあったかいヒップホップチューンです。
アルバム発売時、これを書いた張錫安は兵役に行っているとのことでしたが、現在はどうなのでしょう。台湾期待のソングライターだそうで、今後必ず表舞台へ出てくるであろうアーティストのようですよ。
本作にはDVDが付いた2種類のバージョンあって、1つは以前台北で開催されたコンサート『FM S.H.E』の全記録を収録した『前衛時尚版』、もう1つは2008年と2009年に発表されたMV全曲が収録された『華麗絢爛版』です。ん～、これはちょっと悩ましい、というか阿漕だ^^;。フトコロに余裕のある方は両方ドーゾ。
S.H.Eは現在、ユニットでの活動は休止状態となっています。ご存知のとおり昨年の10月22日、メンバーのSelinaが上海でのドラマ撮影中に爆発事故に巻き込まれ、全身の50％以上にも及ぶ大火傷を負ってしまいました。今年1月19日の退院会見での痛々しい姿を思い出すと今でも涙が出そうになります。現在もリハビリは続いていると思いますが、きっといつの日かS.H.Eは復活してくれるはず。神木與瞳Y2Jが気になるのだけれど、その願いも込めて、最優秀ボーカルグループ賞はS.H.Eで決まり！
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田馥甄Hebe『To Hebe』（2010）
ソロではEllaは女優として、Hebeは歌手として活躍中です。昨年、Hebeは本名の田馥甄（ティエンフージェン）名義でソロ1stアルバム『To Hebe』をリリースしました。さすが、歌唱力バツグン！でもS.H.EのHebeともちょっと違う雰囲気ですね。このアルバムはソロアーティスト・田馥甄からS.H.EのHebeへのメッセージでもあります。だからタイトルは『To Hebe』。
8曲目に収録、『你太猖狂』。
このMVは日本でロケしたみたいですね。河口湖で撮影中、彼女の放つオーラに魅かれてやって来た地元小学生たちとのほのぼのとしたやりとりを裏話として語ってたみたいですヨ。小学生たち～、すげぇネーチャンと話したんだゾ～。わかってんのかなww。
