sasanoji電台【台湾ポップス専門】

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マイペースのクリエイター、蕭賀碩。

蕭賀碩Debbie Hsiao『STAY』(2009)

Debbie-hsiao2009

 

1978年生まれ。クリエイター出身の実力派女性シンガーソングライター・蕭賀碩(シャオハーシュオ)の2ndアルバムです。2008年リリースの4曲入りEP『三十...飛』からは10ヶ月ぶり、2007年の1stアルバム『碩一碩的流浪地圖』からは2年4ヶ月ぶりの作品となります。立ち止まったり悩んだりしながら夢に向かって都会で生きている、リアルな彼女の心情を描いた全10曲入りの秀作です。

ジャケットはとてもシンプルな作りで、二つ折りB6サイズもどきの厚紙の右ページ内側に、CDをホールドする凸があるのみです。歌詞のブックレットも間に挿むだけなので、気をつけないと凸でキズが付きます(僕は仕切りに厚紙を1枚入れました)。ちなみに1stアルバム『碩一碩的流浪地圖』のほうは三つ折りのCDジャケットサイズもどきで、これも紙製。デザインはタイトルのとおり地図をイメージしたものとなっています。ずいぶん経ってから気がついたのですが、内側に彼女が楽曲提供している孫燕姿からのメッセージがプリントされていました。

 

OPナンバー『Stay』。アルバムタイトル、そしてコンセプトにもなっている英語曲。

Unofficial

 

蕭賀碩は2007年に1stアルバム『碩一碩的流浪地圖』でCDデビュー。翌年の第19屆金曲獎で最具潛力新人獎(最佳新人獎に相当)を獲得していますが、優しさと強さを湛えた大人っぽいボーカルは見事で、とても新人とは思えない。それもそのはず、じつは彼女は長い間、楽曲提供やアルバム制作など業界の裏側でクリエイターとして活動をしていました。表舞台に現れたのがつい最近というだけで、しっかりとした才能とキャリアを持っているアーティストだったのですね。ただ、そこに至るまでの経歴がちょっと変わっているかもしれません。

幼い頃からピアノに親しみ、大学時代も積極的に創作活動を行なっていた蕭賀碩でしたが、大学を出たあと一度音楽とは離れた道を歩んでいます。それは医療検査技師というお仕事。じつは彼女、台北醫學大學(医科大学)卒というエリートで、半年間ほど病院で働いていました。でも結局音楽の世界を諦めきれず、安定した職を捨てて業界の裏方で働く道を選んだのでした。

 

蕭賀碩はそもそも自分が歌手になることなど考えていなかったようです。孫燕姿や蔡健雅、鄭秀文ら有名歌手への楽曲提供、アルバム制作などをメインにクリエイターとして活動をしていました。その気を変えさせたのが、2006年、自分で歌った曲『사랑해요(サランヘヨ) 我愛你』が台湾ドラマの主題歌に使用されたことでした。

 

1stアルバム『碩一碩的流浪地圖』に収録、台湾のアイドルドラマ『我們結婚吧』の主題歌となった『사랑해요(サランヘヨ) 我愛你』。

Unofficial

 

ドラマ放映後、この曲はダウンロードランキングで1位になるなど大ヒットしたのですが、彼女は当時ほとんど無名だったため、歌っているのはいったい何者だ?との問い合わせが殺到。それほどに自分の歌を聴きたい人がいるならばと、2007年1月に1stアルバム『碩一碩的流浪地圖』をリリースしました。

 

1st、2ndともに伍家輝作曲の1曲を除いた全てが彼女自身の手によるもので、しかも良品揃いという驚異的な創作能力を見せてくれる作品集です。年に1枚アルバムを出すなんてことは約束出来ない、でも出したものについては保証する…彼女はそう語っているそうです。そしてこれからもインディーズをメインとするスタイルは変えない、とも…。クリエイターならではの、彼女らしいスタンスがそこにはあるのでしょうね。